【助成金】働き世代の従業員のために!「介護離職防止支援助成金」はじまる

介護離職

現在、雇用における問題点として「介護離職」が大きく取り上げられています。あるとき、急に従業員から相談が・・・という経験がある人事や社長も多いのではないでしょうか。今回はこの「介護離職」への対策として導入された「介護離職防止支援助成金」について解説します。


 

「介護離職」とは?

介護を行いながら仕事を続ける生活に限界を感じ、仕事を辞めてしまうという「介護離職」をご存知でしょうか?
「介護離職」は、今や社会問題となっています。

日本は世界に名だたる長寿大国ではありますが、同時に介護が必要となる高齢者も増え続けています。主要な介護施設も人気が高く、特に負担金が安いとされる特養(特別養護老人ホーム)などは数年待ち、という地域もみられるほどです。
このような状況から、自宅でデイケアサービスやヘルパーを活用しながら介護を続ける、というケースが増加しつつあります。

ここで考えなければならないのは、親世代が高齢となり、介護に対する不安を抱え始めるのがちょうど働き盛りの40~50代であるという点です。
クリエイティブの現場で言えば、ディレクタークラスの層がこの年齢層です。プロジェクトをまとめる重要なポストに位置する働き盛り世代に介護の負担がかかることで、精神的・肉体的なストレスが蓄積し、「介護離職」を選択するというリスクが生じます。
特にクリエイティブ業界のように拘束時間の長い業界では、このリスクは相当高いと言えます。

政府は、このような仕事と介護を両立する従業員を支援するため、既存の介護支援取組助成金の見直しを進め、平成28年10月に「介護離職防止支援助成金」を創設しました。会社にってコアであるディレクターなどの働き盛りの優秀な人材を失わないためにも、積極的に活用し、取り入れていきましょう。

 

介護離職防止支援助成金ってなに?

「介護離職防止支援助成金」とは、介護離職をする人を「ゼロ」にするために創設された助成制度で、既存の「介護支援取組助成金」がパワーアップしたものです。

助成の対象となるのは、次の3つの取り組みを実施した事業主です。
1. 育児や介護を両立するための職場環境を整備する
2. 介護の必要性が生じた従業員に対する「介護支援プラン」の作成と導入を行う
3. 「介護支援プラン」の指示通りに従業員が介護休業を取得し、職場に復帰する、もしくは介護両立制度を従業員が利用する

 

支給までの具体的な流れ・気になる助成金額は?

前述の手順について、より詳しく見ていきましょう。

1.育児と介護を両立するための職場環境を整備する
ここでは、まず社内の介護休業制度を見直すことから行います。
就業規則や労使協定で「介護休業制度」が導入されているか、されている場合は取得経験者がいるのか、いない場合はこれから取得する可能性がある者はいるのか、などを検討していきます。

次に、実際に今働いている従業員を対象に、仕事と介護を両立することに関する「アンケート」を実施し、実態を把握します。
アンケートのフォーマットは、厚生労働省のホームページ「企業における仕事と介護の両立支援実線マニュアル」よりダウンロードすることが可能です。また、アンケートをもとに会社側が現状把握・対策を立てるためのチェックリストも同じホームページに掲載されているため、あわせて活用すると効率よく進めることができます。

その上で、介護が必要な事態に直面した場合に備え、従業員に対して仕事と介護を両立するためのマニュアルを周知させます。
社内会議やセミナー講習を利用し、従業員の介護に対する意識を高めることが重要です。

2.介護の必要性が生じた従業員に対する「介護支援プラン」の作成と導入を行う
「介護支援プラン」とは、実際に介護が必要な事態を迎えた従業員支援するためのマニュアルです。
介護支援プランを作成する場合に検討することには、主に以下の内容が挙げられます。

・疑問点や悩みを相談するための窓口設置
・法定の介護休業や介護休暇制度の周知や、法定の内容を超えた部分のサポート制度導入、休業取得時の面談制度などのフォローアップ体制の確立
・介護と仕事を両立させるための多様な働き方制度の検討や導入
・介護と仕事を両立させる従業員に対する上司や同僚の理解や見守り体制の確立
・介護と仕事を両立させる従業員同士のコミュニケーション機会を設けること

これらの観点から、総合的に従業員をサポートするためのプランを作り、実施していくことになります。

3.「介護支援プラン」の指示通りに従業員が介護休業を取得し、職場に復帰する、もしくは介護両立制度を従業員が利用する
2で作りあげた介護支援プランに沿って会社側が後押しをした上で従業員が実際に介護休業を取得し、職場に復帰した場合や、介護者となる従業員が介護両立制度を活用した場合に、次のような金額の助成が行われます。

a. 従業員が1か月以上の介護休業後に復帰した場合
1人あたり40万円(中小企業は60万円)

b.従業員が、介護のために所定外労働の制限、時差出勤、深夜業の制限などの勤務時間にまつわる両立支援制度を3か月以上活用して働いた場合
1人あたり20万円(中小企業事業主30万円)

なお、これらの助成金は、それぞれ1つの事業主につき無期雇用従業員・有期雇用従業員で1人ずつ、つまり最大2人分の支給がされる点に注意が必要です。

 

導入に向いている会社とは?

介護離職防止支援助成金は、対象となる業種が指定されていることはないため、どのような会社でも活用することが可能な制度です。
その中でも、専門性が高く、個人のスキル・センスに頼る面が多いクリエイティブ業界にとって、優秀なディレクターの存在は何ものにもかえがたい貴重な財産となることでしょう。将来性のある伸び盛りの若手デザイナーにしても同様です。優秀なディレクター・デザイナーが「働き続けたい」と思えるような万全な職場体制づくりは、助成制度を抜きにしたとしても非常に重要な対策となります。

その他、支給対象となる従業員の人数と雇用形態に指定があるため、期間の定めなく働く正社員と有期雇用のパートタイム労働者などが混在する会社により向いているといえるでしょう。

そして、もっとも重要な点は「実際に介護と仕事を両立させるための制度を従業員が利用した場合」に助成が行われるということです。
つまり、介護を行いながら仕事を続ける従業員がいない場合は、助成金は支給されません。
壮年の従業員が重要なポストに就いている会社の場合は、早急に対策を取る必要があるといえます。

また、この助成金により「介護離職」を防げたとしても、一時的に従業員が休業することになります。
その間の社内体制・制作体制をどう補うかも想定しておくことを想定しておく必要があります。この場合は、一時的な対応となるため、派遣やアルバイトといったスポット的な人員の増強が適しているでしょう。

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