最近よく耳にする「イクボス宣言」って何?

近年、地方自治体や企業によるイクボス宣言のニュースをよく目にするようになりました。イクメン(子育てをする男性=メンズ)という言葉もすでに一般的にかなり浸透してきているため、このキーワードから「なんとなく内容の想像がつく」という方も多いかもしれません。しかし、実際にイクボス宣言にどんな意味があるのか、どんな取り組みが行なわれているのか、ご存知でしょうか?今回は、知っているようで知らない方も多そうな、イクボス宣言の中身について取り上げてみます。

 

イクボスとは?

そもそもイクボスとは、“男女ともに働きやすい職場環境を整備するために”と群馬県がつくった造語です。群馬県のホームページによると、イクボスは下記のように定義されています。

“職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のこと。”
<引用 http://www.pref.gunma.jp/06/g2200405.html

おそらく多くの方が想像されている通り「イク(子育て)」「ボス(上司)」が合体してできた造語です。
実際、もし職場にイクボスの上司がいたなら、その下で働くワーキングマザーはもちろん、妊娠中の方、これから結婚される方や妊娠を希望されている方、さらにはそうした女性のパートナーである男性にとっても、非常に働きやすい環境であることでしょう。
イクボスは、ぜひ全国のあらゆる職場に浸透していってほしい概念です。

 

イクボス宣言とは?

イクボス宣言とは、従業員がワーク・ライフ・バランスを保ちながら安心して子育てに取り組めるような環境をつくると、自治体や企業が公に宣言することをいいます。

とはいえ、公的な認定制度があるわけではないため、宣言方法やその内容、宣言書のフォーマットなどにも特に決まりはありません。
現在は、「ファザーリング」や「ワーク・ライフ・バランス」をテーマに数多くの講演・セミナー・研修などを手がけてきたNPO法人Fathering Japan(ファザーリング・ジャパン)が主体となり、イクボスプロジェクトが進められています。すでに多数の地方自治体や大企業・中小企業が参画していますが、今後もその数はますます増えていくことでしょう。

ちなみにイクボス宣言を行なった組織の取り組み例としては、「有給休暇の取得を推進する」「会議を削減する」「リモートワークを導入する」「仕事を効率的に終わらせて早く帰る社員を評価する」「孫休暇を設ける」などが挙げられます。

 

広がるイクボスの輪

イクボスという言葉をつくったのは群馬県ですが、初めてイクボス宣言をしたのは大阪府の堺市でした(2014年11月17日)。堺市の首長である竹山市長が自らイクボスとなることで、堺市内全体にイクボスを増やし、子育てがしやすい環境をつくることを目的とした取り組みです。
それ以降、様々な自治体で続々とイクボス宣言が行なわれてきました。

最近では、2016年9月に東京都の小池都知事が、同年12月に厚生労働省の塩崎大臣がイクボス宣言を行なったことでニュースでも大きく取り上げられ、イクボスという言葉はますます注目度が高まっています。

また一般企業でも、イクボスを育てていく企業ネットワークとして2014年にイクボス企業同盟が立ち上がりました。
みずほフィナンシャルグループや全日本空輸、富士ゼロックスといった有名企業が設立当初から加盟したことで注目を浴び、現在の加盟者数は136社までに上っています(2017年3月14日現在)。

 

女性の活躍には「ボスの理解」がカギ

安倍政権が成長戦略の1つとして掲げていることもあり、近年、女性の活躍推進という言葉が至るところで聞かれるようになりました。しかし、女性のワーク・ライフ・バランスばかりに目を向けていても、女性が活躍できる社会づくりはなかなか進みません。

ママが社会でいきいきと働ける環境をつくるには、その職場における理解が大きなカギとなります。
特に、直属の上司(ボス)あるいは経営陣がどれだけ理解し、協力する意識があるかが大事です。どんなに制度を整えても、周囲の理解がなければうまくいきませんし、上司が無理解であればメンバーの意識もなかなか高まらないでしょう。

また、子育てにおいては、男性(パパ)の協力が不可欠です。パパが積極的に育児に参加できる環境が整っていれば、「家のことはママに任せきり」という状態にもならず、ママにかかる家事・育児の負担が軽減されます。
しかしながら、パパが積極的に育児に参加する意識があっても、毎日が残業、あるいはどうしても仕事が休めない環境ですと、実行するのは非常に難しくなります。

核家族がスタンダードとなった現代社会では、男性社員の長時間労働や休みの取りづらさも時代にそぐわなくなってきています。子育て世帯が生きやすい世の中をつくるためには、男性も積極的に育児に参加できる制度や環境を整えることが大切です。(たとえば、パパ社員の定時退社や育休取得を認めることなどが挙げられます。)
そうした取り組みの第一歩として、管理職の古い価値観を変えるために企業がイクボス宣言を行なうことは有効だといえるでしょう。

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