海外のデジタル広告トレンド2018~話題のアメリカCM4選!

6月に行われた米朝首脳会談や、移民親子引き離し政策(後に撤回)など、常にメディアを騒がせているアメリカ。IT・デジタルのリード国でもアメリカでは、毎年いろいろな状況を鑑みながら様々な広告が登場しますが、今年は激動期を迎えた不安定な社会情勢を反映した広告や新しい企業ブランディング方法などが注目を集めています。今回はそんな中から、4つをご紹介します。

 

1. テクノロジーとヒューマニティー「アップル」

“Earth – Shot on iPhone”は、効果的な音楽と落ち着いた口調で語られるナレーションとともに、夕日や群れをなして飛ぶ鳥、流氷、アンコールワットなど、ユーザーがiPhoneを使って撮影した歴史遺産の映像を次々と映し出します。
アップルは現在の溢れたテクノロジーを通して、リアルな(アナログな)人々が捉えた風景を連続で一つの作品として届けることで、観る者の心の琴線に触れる壮大な広告を創り上げました。

 

2. ダイバーシティをフューチャー「ハイネケン」

SNSが普及したことで人々が異文化や他民族について知る機会は増えたものの、それでもお互いについてよく知らないまま過ごすことの方が多いかもしれません。ハイネケンの“Worlds Apart”は、ダイバーシティ( = 多様性)を表現しています。

まず、人種や政治的見解の全く違う見ず知らずの2人をペアにし何組か引き合わせ、それぞれ「工作の共同作業」を行ってもらいます。その後、お互いの性格などについて質問表に沿って話し合います。すると、実際のプロフィール上は相容れないであろうはずの2人に笑顔が見られ、次第に共感や理解が生まれていきました。
物事に対し「偏見なしに見ることで、ダイバーシティを受け入れることが可能である」、というメッセージが伝わってくるような作品になっています。

 

3. ソサイエティ風刺「Sandy Hook Promise」

ほのぼのとした片思いストーリーと思わせて、実はアメリカの社会情勢を痛烈に風刺したコマーシャル“Evan”

切ないギターのBGMとともに展開する高校生の淡い恋物語と見せかけ、中盤で銃を持った少年が体育館に入りそこで生徒達の悲鳴、ここでカメラのフォーカスが変わります。実は、それまでの映像も主人公Evanのバックグラウンドで、さらに「退屈だ」と机に掘り込んだり、銃についてインターネットで調べたり、Instagramに銃を構える写真を投稿したり、校内でいじめられたりするもう一人のEvanが浮き彫りになるのです。
そこで「銃犯罪は防ぐことが可能だ。もしその前兆に気づいていたなら」というキャプションが入ります。

銃乱射などの事件でたびたび話題になるアメリカで、思いがけない展開にハッとさせられる一本。

 

4. 企業ブランドを前面に押し出す「バドワイザー」

一方、商品よりも“企業ブランディング”を前面に押し出したバドワイザーの“Folds of Honor : A Dream Delivered”

ある一般家庭にハリウッド俳優アダム・ドライバーがカメラマンとともに突然訪れ、驚く父と母、娘の三人。
そこで、アダムから娘がカレッジから奨学金が与えられ、在学中における生活費のスポンサーがバドワイザーになるというニュースが告げられます。家族たちの表情から伝わってくるのはリアリティそのもの。
商品名には一切触れず、バドワイザーという名の企業として好感度をアップさせる新しい広告の在り方を示しました。

流行や好み、商品の移り変わりが激しい時代だからこそ、企業の好感度という視点からブランディングを進めていくことで、これからの時代を生き抜くための普遍的価値を見出そうとした手法とも言えそうです。

 

まとめ

このようにアメリカでは、テクノロジーとヒューマニティを映像化したアップル、ダイバーシティを表現したハイネケン、高校生の恋愛ストーリーのように見せかけて実は社会問題を風刺したコマーシャル、商品よりも企業としてのブランディングを打ち出したバドワイザーなど、社会派メッセージの強い作品から企業アイデンティティに目を向けたデジタル広告が注目を集めています。こういった作品から、日本にはない表現の仕方、新しいマーケティング手法など、何かインスピレーションが得られるものがあるかもしれませんね。

 

出典・参考
https://www.studiobinder.com/blog/creative-digital-advertising-trends/
https://tvsquared.com/ebook-top-2018-trends-for-tv-advertising/

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