【ディレクターになるには?】まずはデザイナーの7つのスキルが重要

デザイナーからディレクターになるにはどうするの?と言う質問をよく受けます。
デザイナー。ディレクター。よく耳にする言葉ですが、使う人によってその境界は変わります。職場によっても役職や肩書きに関わるので定義がいろいろと違うようです。しかし、それらをずっと引いて俯瞰すると、一般的に言えるデザイナーとディレクターの大きな違いがあるように思えます。今回は、デザイナーとディレクターの違いについて、スキル、意識、思考などを複数回に分けて解説します。

 

はじめに

ディレクターヘスキルアップする第1回目として、まずその準備段階としてデザイナーに必要なスキルを確認しておきます。
ディレクター側からデザイナーに望む、最低限の条件です。
 

デザイナーに必須なスキル

以下にあげる項目はどれも基本的なものばかりで、あなたがアートディレクターやWebディレクター、さらにクリエイティブディレクターとなって指示する立場になれば実感することばかりでしょう。
 

1)色のスキル

基本スキルの中でも最も基本的なものです。美術・デザイン系の学校を卒業した人は、1年生で習ったと思います。その時は退屈な授業だと思った人も多々いることでしょう。
デザイン教育を受けずにデザイナーになる方も最近は増えて来ましたが、過去に授業を受けた受けないに関わらず、どうも色は苦手だと言う人は、色に関する基礎知識を勉強してみる必要があるかもしれません。

色の三要素、三原色、色相の輪、色立体などを知るとやはりすごく役に立ちます。
これらから発展した基本配色も多くの考え方、つまり多くの配色パターンがあり、迷った時などには大いに助けとなります。

色が苦手と言う人は、まず基本配色からスタートして、良く使う基本配色をアレンジして自分らしい配色を作るのも良いと思います。
 

2)形のスキル

これも基本中の基本です。
形のバランスは多くの人が自分自身のカンでやっているようです。それで上手く行っていれば問題ないとは思いますが、ただスキ、キライだけでなく視点誘導や画面の重心の話などは知っておいた方が良いでしょう。

黄金比、白銀比、さらにフィボナッチ数などを一度勉強してみることにも、得ることは多くあると思います。具体的に造形のヒントになることもあるでしょうし、逆に他人の作品を見る目が変わることもがあります。

以前、筆者の部下が白銀比である紙のA規格とB規格とは比率が違うと信じて10年以上デザイナーをやっていましたが、こういうことはやはりプロとして恥ずかしいですね。
 

3)レイアウトのスキル

もちろん文字を使用しないデザイン物もありますが、ここでは文字を使ったデザインにおいて「読む」ことを意識してもらうために前述の『形のスキル』とは区別しました。

デザインは基本的にはコミュニケーションですが、文字を使用している場合はまさに読ませないと意味がありません。読ませる順番や、読む読まないの重要度の判断、そして読み易さ、これらを考慮してレイアウトします。
また、パッケージデザインで折ったり開いたりするとロゴや文字などの要素が見えづらくなったり、Webページでアクションを起こすと文字の位置関係が変わったりすることがあります。
ユーザー目線でのレイアウトが必要ですね。
 

4)フォントのスキル

文字を読ませる上では、図形と色による視線誘導以外にもフォントが大きく影響します。もちろんデザイン全体のイメージ形成にもフォントは影響を与えます。
フォントの種類、大きさ、太さを、制作中のデザインが持つメッセージやそのターゲットを意識して選びます。

もちろん行間、字間もフォントのスキルに含まれます。行間をほんのちょっと変えるだけでその文章が目立ったり、字間の空け具合で読みやすくなったりするのはご存知のことでしょう。これらは細心の意識をすべき点です。
 

5)トレンドを読むスキル

多くのデザインは、時代の産物です。本質的に時代性が大きく影響していますので、今現在デザインするのであれば、『今の』トレンドを知る必要があります。

これに関しては筆者を含めて多くのデザイナーが自身の感性を信じて作業しています。それ自体は特に問題ないと思いますが、長く同じブランドを扱っていたり、ルーチン作業ばかりをしていたりすると、トレンドを感じる感度が鈍ることもあります。そのために日頃から多くのインプットを行っておくことも必要でしょう。

業種によってはトレンドを読み解く専門スタジオに依頼することもありますが、その場合でも、出て来たトレンドに納得できる感性は必要だと思います。
 

6)正確なデータ作りのスキル

これも色や形とは別の意味で、基本中の基本です。保存形式やデータサイズなどデータの外側の部分も重要ですが、データ内の作業手順なども大きな意味を持つことがあります。

レイヤー、フィルタ、文字の処理がルール通りの設定になっていないため、その後の作業が停止したりバグが出たりすることもあります。作った人間しか追跡できないデータもあるので要注意です。
 

7)ミスをなくすシステム作りのスキル

残念なことですが、文字量の多いデザイン物に誤植は付きものです。しかしながら、仕方ないと諦める訳にはいきません。作業工程を見つめ直しどこの時点で誤植が発生するのかを見つけて、どのようにシステムを変更すれば結果が改善出来るのか対処します。

そしてこれは誤植だけの問題ではなく、あらゆるミスに関しても同様です。発生させないように取り組みます。

このスキルはデザイナーではなくディレクターではと捉える人もいると思います。
しかし、より作業に近い立場で働くデザイナーの協力なくしては解決できない問題は多くあります。デザイナーの責任と言うことではなく、デザイナーに持っていて欲しいスキルなのです。

 

以上7つがディレクターになる前に、デザイナーに必須のスキルです。
いかがでしょうか?

全ディレクターがこれらをクリアしているのかと問われると、はなはだ疑問ですし、これらを完璧にこなさないとディレクターになれないかと言えば、決してそんなことはないでしょう。
しかし、ディレクター側からするとこの7項目はデザイナー側に任せたいと思う内容なのです。これもまたデザイナーとディレクターの境界を曖昧にする要因なのかもしれません。

今回は、デザイナーからディレクターになる前、言ってみれば、ディレクターへの昇進試験があるとすれば、その『受験資格』の部分を書きました。
次回はいよいよ『試験問題』を解説します。

【ディレクターになるには?】
第1回:まずはデザイナーの7つのスキルが重要
第2回:10の力/前編:見る力、コミュ力、積極性、実践力

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