海外のクリエイティブ事情~マレーシアの広告に日本語が使われている理由

マレーシアの広告

米リサーチ会社ピュー研究所が2015年に発表した「環太平洋の国々における互いの印象及び国政のリーダーに関する調査(How Asia-Pacific Publics See Each Other and Their National Leaders)」によると、マレーシア人の84%が日本に対して好印象を持っているという結果が示されました(※1)。また外食産業から日用品、食料品まであらゆるジャンルにおいて、安心かつ信頼のおける日本ブランドは、もはや一時的なブームではなく、人々の生活に定着するという段階になりつつあります。そんなマレーシアにおいて、広告戦略として欠かせない視点が「日本」のアピールとブランドとしての差別化です。ショッピングセンターの広告から、行列のできる話題のスイーツショップまで、その展開方法をいくつかご紹介します。

※1「環太平洋の国々における互いの印象及び国政のリーダーに関する調査(How Asia-Pacific Publics See Each Other and Their National Leaders)」
http://www.pewglobal.org/2015/09/02/how-asia-pacific-publics-see-each-other-and-their-national-leaders/

 

日本語のコピーを目立つ位置に使うことで日本製品をアピール

マミーポコ1 マミーポコ2
マミーポコ(MamyPoko)/ユニチャーム

この広告が設置されているのは、比較的経済力のある中華系ファミリー層が近隣に多く住むエリア。
ショッピングセンターの駐車場からスーパーの店内へと続くエスカレーターの壁一面に大きく出されたユニチャーム(Unicharm)のおむつ「マミーポコ」の広告には、「日本からのベストケア」と日本語のキャッチコピーが。漢字だけではなく、ひらがな、カタカナが含まれていることで、ビジュアルからもfrom JAPANをさりげなく強調しています。日本語をあえて使うことが広告となっている一例です。
さらにエスカレーターを降りた地点にマミーポコのセールのPOP広告ボードがあり販売促進の相乗効果を狙っています。消費者に対してさりげなく、しかしはっきりとわかる形で日本からのクオリティを訴求している形となっています。

参考
http://www.mamypoko.com/my/en/index.html
 

パッケージから発信!流行に敏感な世代を中心にSNSで拡散

トーキョー・シークレット1 トーキョー・シークレット2
トーキョー・シークレット(TOKYO SEACRET)

今年オープンし、すでにフェイスブックでは3万のいいね!を獲得。日本から上陸といったイメージですが、実は香港発(ただし日本から輸入した素材を使っているということを推しています)。この「半熟(はんじゅく)チーズタルト」は、マレーシアのチーズ系スイーツブームの先駆け的存在であり、主にメガモールの通路のスタンドで販売しています。
行列ができるショップとしてSNSなどを通じて広がり、人気・知名度ともに群を抜いています。

いわゆる「日式(日本スタイルの、日本様式の)」なのですが、店舗名のTOKYO、そして目立つ黄色地のボディに黒抜きで「半熟(はんじゅく)チーズタルト」と日本語で書かれたパッケージの注目度は抜群。SNSにアップされてシェアされることで話題に。
テイクアウトのみのため、購入した消費者が持ち帰ること自体が広告となっているといった印象です。

参考
http://www.tokyosecret.com/
http://www.malaysianflavours.com/2016/05/tokyo-secret-malaysia-ipc.html
https://www.facebook.com/tokyosecretmalaysia/
 

多国籍国家マレーシアに根付いて20年の日本企業からのメッセージ

すし金1 すし金2
すし金(Sushi King)/Sushi Kin Sdn Bhd

日本食というよりも、すでにマレーシアに根付いている回転寿司。
1995年にローンチした回転寿司レストランの「すし金(Sushi King)」は、あえて日本をアピールというよりも、すでに多民族国家マレーシアに溶け込んでいるという視点からの広告です。日本語だけではなく、この国に住む多種多様な民族に対して訴求できるように、日本語の「おいしい」を英語、アジア圏の言語などに訳し、寿司皿に書いており、日本語は最初に登場するものの、使用は最小限にとどめてあります。

キャッチコピーは「言葉は違っても、(おいしいという)気持ちは同じ」。
また”国籍文化宗教などの違いを互いにリスペクトしてみんなでよい国にしていこう”という前向きなメッセージも併せて伝えています。

ちなみにこれはプロモーション(販促キャンペーン)広告で、RM55(約1,356円=2016年10月現在)以上の会計で次回の来店時に使えるRM5(約123円)のクーポンがもらえるといった内容です。

参考
http://sushi-king.com/v2/
 

広告やイベントスペースの告知に使われる日本語

日本フェア1 日本フェア2
日本フェア(2016年7月)/1Utama Shopping Centre

こちらは、日本の食材を一堂に集めた日本フェアで展開されていた広告です。

日本フェアは、ショッピングセンターの共用イベントスペースなどで定期的に開催され、盛況をおさめている人気企画。マレーシアのスーパーで定着している日本のお菓子を始め、お茶、調味料、酒などが並び、フェア開催中の週末は日本にちなんだ様々なイベントなども同時に行なわれます。告知の広告やイベント用ステージの背景に至るまで、日本の催事かと思うほどです。

マレーシアの公用語はマレー語、英語。民族構成はマレー系、中華系、インド系ですが、外国語である日本語を使うことで、イベントやフェアの内容をよりいっそうはっきりさせる意図もあるようです。また消費者に対して「日本製」「日本からの」というアピールが大切のようです。

参考
http://www.1utama.com.my/DesktopModules/InnerEsteem.Event/EventDetails.aspx?EventID=2016627264340400
https://m.facebook.com/1Utama/?_ft_=og_action_id.10153588396221348%3Atop_level_post_id.10153588387091348%3Atl_objid.10153588387091348%3Athid.80194046347%3A306061129499414%3A54%3A0%3A1448956799%3A-8769464289745473334&refsrc=https%3A%2F%2Fm.facebook.com%2F1Utama%2F&ref_component=mbasic_footer&_rdr
 
マレーシアの公用語はマレー語。他に英語、中国語、タミール語となっています。その中で日本語はコミュニケーション手段としてはメジャーであるとはいえません。しかし実際には好感度はもとより、日本そのものや製品に対する関心の高さに呼応し、日本語を全面に押し出した広告手法が成立しているように思います。
 
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