紙物でも困らないために!Webデザイナーが知っておくべき3つのこと

「デザインやってるなら印刷物も(Webも)できるでしょ?」
冒頭からトラウマを想起させる文字の並びで申し訳ございません。しかし、こう言われて困った経験があるWebデザイナーの方は、意外と多いのではないでしょうか。印刷物もWebも、何らかのデザインが施された「結果」であるということには変わりありませんが、制作過程や設計思想には、少なからぬ違いが存在します。そこで、紙物でも困らないための注意点を3つにまとめてご紹介します。

 

Webデザイナーが紙物を制作するときに知っておくべきこととは?

本コラムでは、主にWebを主戦場としているデザイナー向けに、紙物を注文されたときに困らないためのトピックをいくつかご紹介していくのですが、印刷物を制作する際には、解像度、CMYK、トンボ、リッチブラックやアウトライン化など、いろいろと注意すべき点があります。

しかし、これらの多くは各印刷会社のガイドラインに丁寧に書かれていますし、基本的なことですので、何を読んでも大きな違いはありません。ググってトップ表示されるサイトを数件回って見れば、勘所が掴めることでしょう。

では、このコラムでは何を紹介するのか? ということになるのですが、上記の基本的な注意点とは別に、知っておくとアウトプットに大きな違いが出るポイントをご紹介したいと思います。

 

その1 紙の特性と印刷方法について知る

一口に「印刷物」と言っても、インクが乗せられる素材は多岐に渡ります。紙や布はもちろん、木材や金属などさまざまです。

今回は「紙物でも困らないために」と銘打っておりますので、紙について少しお話しますと、紙には光沢のある紙からザラザラした紙、薄い紙、厚い紙と、それこそ何百、何千という種類が存在します。
また、エンボス、デボス、活版印刷、フロッキー、シルクスクリーンなど、印刷方法についても、知っているのと知らないのでは、先方に提案するときなど、大きな幅が生まれます。

紙・方法によって印刷の「上がり」には大きな違いがあります。ですから、まずは紙の種類をある程度知り、制作物の仕上がりを想像できなければなりません

「印刷してみたけど思っていたのとちょっと違った」というのは、得てして紙の特性を知らず、入稿前に上がりが想像できなかった場合に起こります。自分用の名刺くらいなら問題ありませんが、仕事では致命的なミスとなる恐れがあります。

紙の世界は奥深く、一生かかっても網羅できないような組み合わせが存在します。
しかし、なかなかそこまで時間を割くのは難儀ですから、まずはマット紙、コート紙など、ポピュラーな紙の特性から抑え、そこから特殊用紙を知っていくのが良いでしょう。

特性や紙種に関する勉強の進め方として一番手っ取り早くオススメなのは、各印刷会社に紙のサンプルを送ってもらうことです。

・格安を売りにしている会社
・クオリティを売りにしている会社
・特殊用紙・印刷方法に長けた会社

をいくつかピックアップしてサンプルを入手してください。

そして実際に届いたサンプルを見て、手で触って、色の乗り具合を確認してみてください。
これをやるとやらないのでは、クオリティに大きな差が出るものです。知らない物は想像できませんし、提案もできません。
デザインにおいては、何よりも知識と引き出しがあることが大事です。

元手がかかることでもありませんので、ぜひ試してみてくださいね。

 

その2 可読性の違いを知る

可読性はWebであろうが印刷物であろうが重要な要素です。しかし、Webデザインと同様に可読性を捉えていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかも知れません。

基本的にWebを観覧する距離、つまり眼球からモニターまでの距離は、人によってそこまで差異はありません。
しかし、紙を見る距離は人それぞれです。

たとえば、フライヤーならば手にとって見る他にも、置いてある状態を見たり、並んでいるものを遠くから目視する場合があります。ポスターであれば至近距離で見る人は少なく、数メートル離れて見ますよね。逆に名刺を数メートル離れて見る人はいません。
印刷物の大きさ、用途によって見られる距離は違います。

紙物は、上記のような物理的距離への配慮が求められます。これは看板など、他の素材に印刷する場合も当てはまります。
最近であれば、デジタルサイネージなどもそうですね。

ですので、紙物を制作する際には、それが手に取られて、または目に入るであろう状況を想定し、作業中に離れて見たり、カンプを印刷してみたりと、確認をしながらデザインを組んでいかねばなりません。

その印刷物が「どこで」、「だれに」、「どのように」見られるのかを念頭に置いてデザインすれば、自ずとクオリティは上昇することでしょう。

 

その3 五感の違い知る

Webは主に視覚から情報を取り入れますが、印刷物では視覚の他に触覚も情報源の一つとなり得ます。場合によっては嗅覚も有り得ない話ではありません。
映画の中で手紙に香水をふりかけるシーンを想像してみてください。あれは印刷物に「嗅覚的な情報」を添加しているわけであります。

紙は手に取るものですから、触覚から得る情報量は視覚には及ばずとも、かなり影響すると考えて良いでしょう

紙質(触覚)については専門家で無くとも意外と分かるものです。
例えば、筆者はかなり厚めの紙に活版印刷が施された名刺を使っていますが、挨拶の際に多くの人が一般的な名刺との手触りの違いを指摘してくださいます。

他にも、高級な飲食物の個包装に使われている紙を触って「いい質感だなあ」と感じたことのある方は多いのではないでしょうか。このように、紙質はデザインほどに物を言います。

ただ、印刷物の用紙を選定する目安として、高い紙=良い紙、安い紙=悪い紙、ではないということに注意が必要です。

たとえば、フライヤーならば折り畳まれて持ち帰られることを想定し、置いてくれる場所の重量やスペースの負担を少なくするために、あえて薄くて安い紙を使うなど、制作物に適した紙を選択することが何よりも重要です。
もちろん、フライヤーでもデザイン的価値を優先し、高くて手触りの良い紙を使う場合もあります。

参加費が高級なセミナーであるのに紙がペラペラ、商店街の小さなお祭りなのに紙が高級など、ミスマッチは受け取り手の違和感しか生みません。適切な紙を使うことにより、仕上がりに説得力を持たせることができるのです。

紙物を制作する際は、目だけに頼らず触覚や、場合によっては他の感覚も使いましょう。

 

紙もWebも知っていることは大きな武器になる

紙とWeb、違いは多々ありますが、結局は同じ「デザイン」です。それぞれのテクニックも限定的ではありません。Webの知識が紙で役に立ったり、逆もまたしかりです。それは近しいスキルであるからこそ、新たに始めるよりも効率よく学習・吸収することが可能です。その混ざりあったスキルは、きっと制作の役に立つはずです。

Webしかやらない、印刷物しかやらない、というのは、特にフリーランスにとっては、大きな機会損失でもあります。いざ話が来たときのために、準備をしておいて損ということは決して無いでしょう。

以上、紙物でも困らないために、Webデザイナーが知っておくべき3つのことをご紹介しました。
紙物を制作する際のお役に立てれば幸いです。

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