【ママさんクリエイター】フリーランス?会社員?あるママさんの事例

ママになっても社会で活躍する方が増えてきている昨今。特にデザイナーは、フルタイム正社員、時短正社員、契約社員、派遣、そして独立してフリーランスと、様々な選択肢があり、ママになってもデザイナーを続けるという方が多い傾向にあります。今回は、正社員や契約社員、フリーランスなど様々な形で働かれてきたAさんの働き方と、その都度感じたことをご紹介します。

 

「子どものそばにいたい」という気持ちが、正社員からフリーランスへの転機に

今回お話をお聞きしたAさんは、美術大学卒業後、デザイン会社に就職し、デザイナーとして働き始めました。
第一子出産後も、育休・産休を取得しながら仕事を続けたAさん。転職をしながら広告制作から雑誌のエディトリアルデザイン、商品パッケージ、装丁など、さまざまなジャンルの仕事にチャレンジしていき、経験の幅を広げていったそうです。

フリーランスになろうと思ったきっかけは、子どもの急な体調不良が続いたこと。
それまでも、育休から復帰後は、会社で仕事が終わらずに持ち帰っては深夜に作業をする日々が続いており、自身の働き方に疑問を感じるようになっていたというAさん。

「漠然と、このまま働き続けることに不安があったのですが、病床の子どもを看病しながらも在宅で仕事に追われたことが引き金となり、会社を辞める決意をしました」と独立した当時のことを話してくださいました。
 

いざフリーランスに!どうやって仕事を見つける?

Aさんに独立後間もない頃の仕事の獲得方法を尋ねました。
すると「会社を辞めるときに、自分が抱えていた仕事を部分的に業務委託してもらう契約を提案しました。それが受け入れられたので、会社を辞めてもひとまず仕事がなくて困るという状況にはなりませんでした」との答えが。

確かに、独立して活躍するデザイナーやライター、エディターの方たちの話を聞くと、元いた会社からの依頼で仕事をしている、というケースはよくある話。将来、もし独立を目指すなら、辞めた後も職場といかに良好な関係を維持するか、が成功のための一つの鍵となりそうですね。
 

フリーランスのメリットデメリット

「フリーランスになってよかった点は、子どものペースに合わせて仕事ができること。急なお迎えにも対応できたり、検診や予防接種、季節行事などの予定を組み込みながら自分で仕事のスケジュールを立てられますから」とAさん。

一方で、デメリットとして保育園問題を一番に挙げていたAさん。
多くの待機児童を抱える都内23区に住むAさんが子どもを認可保育園に入れられたのは、その頃は残業も多い会社員だったことが大きく影響しているはず・・・とのこと。

Aさんはフリーランスになって3年後に第二子を出産しました。その時は、仕事をセーブせざるを得ず、当然収入も激減。下のお子さんは、早生まれ。悩んだ末に、まだ2か月だった赤ちゃんを保育園に入れることにしたそう。

「その次の4月になると、最も倍率の高い1歳児クラス。多分フリーランスだと入園は無理。しかも、1年ちょっとの間、仕事をセーブして、ほぼ無収入のままというわけにはいきませんから」と、フリーランスの厳しい現実を話してくれました。
 

気付けば会社員時代よりも収入アップ!ついに個人事務所を設立!

Aさんは、第二子を保育園に預けてから仕事に完全復帰し、確実に契約を増やしていったそう。収入は月によって変動があるものの、会社員時代よりもアップ。そこで、上のお子さんが小学校に上がったタイミングで、自宅―小学校―保育園のどこからもアクセスのよい場所に個人事務所を借りて、仕事場を自宅から移すことにしました。

「増えていく仕事をこなすために、時間のメリハリをしっかりつけなければと思いました」とAさん。仕事は、子どもを送り出してから学童が終わる18:30までと割り切り、仕事の時間と家族の時間を明確に分けたそうです。

「少しずつ子どもたちは手がかからなくなっていき、それに合わせて仕事も増えてきたのでとてもいいタイミングで個人事務所を持てたと思います。簡単な打ち合わせも事務所ならしやすいですし、いい緊張感を持って仕事に臨めるといいますか、久々に身が引きしまる思いだったかも(笑)」
 

現在は、企業の契約社員としての仕事をメインにシフト

個人事務所設設立から約10年。ここでまたAさんに転機が訪れます。以前からお付き合いのあった知人より、大手企業のデザイン企画室への協力を求められたのです。

「子どもたちも高校、中学へと進学し、ほとんど手がかからなくなっていたこと、仕事内容にもとても興味があったことが重なり、お話にのってみようと思ったのです。個人事務所は閉めて、契約社員として企業に勤めることにしました」とAさん。

「帰宅時間はだいたい20~21時。ただし、土日はきちんと休めています。個人でやっていたときは、締め切りが重なったりすると結局土日も仕事をしていましたが、今はほぼカレンダー通りの出勤でOKです」

「社会保険に加入できたり、福利厚生も充実していて、ボーナスもあるなど、フリーランス時代にはなかったものが揃い、その点は会社員のメリットだろうなと実感しています」

そのかわり、会社員だからこその束縛は増えたとも。しかし、子育ても落ち着き、自分のために使える時間は増えたので、仕事での束縛が増えても不自由は特に感じていなです、と今の働き方にとても満足している様子でした。
 

デザイナーという仕事は、ママの適職!

経験とスキル、人脈をいかし、臨機応変にその時のベストな働き方を実現してきたように見えるAさん。とは言え、苦労も絶えなかったと話します。

「会社員時代は拘束時間も長くてとても忙しかったですし、フリーランスになってからは、毎月の収入は安定せず、常に新しい取引先を開拓していかなくてはならなかったり設備投資やメンテナンスなどにも結構経費がかかり、それはそれで大変でした」

「デザイナーは、環境さえ整っていれば、場所や時間にとらわれない働き方が可能な職種。そういった意味では、子育て中のママには適職だと思います。しかし時には締切を守るために睡眠削ってでもやらなきゃいけないことを考えると、体力勝負のガテン系職種とも言えそう。ときには一睡もせず朝まで仕事をしなくちゃいけない日も!」

そういいながらも、デザイナーとしての道を歩み続けたのは、やはりデザイナーという仕事が好きだったから、と続けるAさん。
「子育てで忙しいのは振り返れば一時かもしれません。自分に合った働き方で、キャリアを重ねていけるといいですね!」

 
どのような企業で働いていたか、どんなクリエイティブが得意か。家族のバックアップはどの程度期待できるか・・・。人によって環境は全然違います。同様に、Aさんと同じような環境の方も、まったく違うという方もいると思います。
「これが正確!」という回答がない難しい問題ですが、いろんな先輩ママさんの実体験を通して、ぜひ自分にあった働き方を見つけてください。

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