【助成金】地方でも自社クリエイターが活躍!?「ふるさとテレワーク推進事業」活用によるテレワーク導入

テレワークとは、「遠くの場所より」という意味の「tele」と「働く」という意味の「work」が合わさった、いわば造語です。出社しない働き方・在宅ワークという言葉と合わせて耳にしたことがある方も多いと思います。今回は、このテレワークを実施している企業に対して行われている助成制度「ふるさとテレワーク推進事業」を紹介します。これからテレワークを導入しようとしている制作会社の皆さま、幅広いフィールドから優秀な人材を集めるチャンスです!

 

「ふるさとテレワーク推進事業」って何?

「ふるさとテレワーク」とは、都心からある程度離れた場所でも都心と変わらない仕事ができるような環境を整えていくという、総務省が実施する事業の一つです。

その中の「ふるさとテレワーク推進事業」とは、具体的には、テレワークの環境を作り出すにあたり、拠点となる場所である「テレワークセンター」または「サテライトオフィス」を各地方に設け、その環境を整える自治体や会社に対し、整備にかかった費用の一部を助成する取り組みのことです。

たとえば、育児のために実家で生活することになった場合や、遠くで生活する家族の介護のため地元に帰らなければいけない場合、あるいは夫の転勤で引っ越しを余儀なくされた場合など、社員が何らかの理由で都心部にあるオフィスに通えなくなる事態に陥るケースがあります。
このようなケースにおいて、社員の自宅をサテライトオフィスとして地方でも働く環境を整える、または別途オフィスを設ける際にかかった費用の一部を、助成金申請することができるという制度です。

自社の正社員が地方に行く場合の他にも、地方に在住する優れた人材を雇用したいものの、その人材が都心まで通うことができない場合にオフィス等を新設するといった活用もできますので、地方の人材採用が可能になる、というケースも考えられます。
もちろんこのケースでも、「ふるさとテレワーク推進事業」を活用すれば、新設したオフィスの費用の一部を助成金として申請することが可能となります。

このように、地方で都心部と同じ働き方ができる状況を作り出すことで、離職率の低下という効果が生じ、また、各地域の優秀な人材を雇用しやすくなります。それが、地方の活性化や都心集中化を防ぐ効果もあると、総務省は見込んでいます。

なお、「テレワークセンター」とは、複数の企業(個人事業主も含む)団体が活用する共有オフィススペース、「サテライトオフィス」とは、会社(法人・個人問わず)が拠点場所より遠い地点に設置する「オフィス専用の」小規模スペースのことです。
また、規模や働く人数の明確な定義は設けられていません。

◆総務省「ふるさとテレワークポータルサイト」:http://www.furusato-telework.jp/

 

助成を受けるために必要となる要件

「ふるさとテレワーク推進事業」についてお分かりいただいたところで、次は実際に助成を受けるために何を準備し、何をすれば良いかについて、具体的に説明をしていきます。

「ふるさとテレワーク推進事業」は、年度ごとに新たな要件や実施するための流れを発表しています
したがって、順序としては、あらかじめ社内でテレワークを実際に導入するためのスケジュールを組んだ上で、その流れに沿った時期に合致する要件をチェックしなければなりません。

今回は、実際に総務省より発表されている「平成29年度予算ふるさとテレワーク推進事業 実施要領」をもとに解説をしましょう。

1. 交付要領の要件
まず守らなければならない要件としては、当然ながら助成金の交付要領を守ることです。
交付要領は、次のサイト(http://www.soumu.go.jp/main_content/000475196.pdf)で見ることができます。必ず事前に確認をしておきましょう。

2. サテライトオフィス設置の要件
地方で拠点となるサテライトオフィスを設置する場所についても要件が定められています。
「次で述べる場所以外の地域に設置しなければならない」という点に注意しなければなりません。

首都圏の場合:首都圏整備法(昭和31年法律第83号)に基づく「既成市街地」及び「近郊整備地帯」
中部圏の場合:首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律施行令(昭和41年政令第318号)で定める名古屋市の特定の区域
近畿圏の場合:近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)に基づく「既成都市区域」

上記の要件を満たした上で、設置されたサテライトオフィスで作業を行うデザイナーやクリエイター等を長期的に雇用し、一定期間を超えて「テレワークを活用した」遠隔業務を継続させることが必要となります。

サテライトオフィスでの就業者は、以前から自社採用していた社員だけではなく、サテライトオフィスのある現地で新規に採用した方はもちろん、業務委託という形で一部業務を取り行う個人事業主でも構いません

 

支援金額は、最大3,000万円!

最も気になるポイントである、実際に支援を受けることができる金額について解説をしていきましょう。

「ふるさとテレワーク推進事業」を利用する会社のことを「補助事業者」、事業より交付される金額のことを、「補助金」といいます。
この補助金の具体的な交付額としては、下限額が100万円、上限額が3,000万円とされています。

たとえば、事業費が4,000万円の事業ならば3,000万円までの経費が対象、事業費が1,000万円の事業ならば1,000万円までの経費が対象となります。

上記の金額の範囲内で、サテライトオフィス設置の際にかかった経費やふるさとテレワーク推進事業の予算額に応じて、補助金の額が決められるというわけです。

対象となる経費は、次の内容となります。しっかりとチェックをしておきましょう。

1. 直接経費:事業に直接必要なもののみが対象
・物品費(取得単価が10万円以上・使用可能期間が1年未満の設備備品費及び消耗品費)
・人件費、謝礼金
・旅費
・外注費、印刷製本費
・通信運搬費(物品の運搬費用やデータ送受信による通信料など)
・光熱水量費、会議費、その他諸経費など

2. 一般管理費:直接経費の合計額に10分の1を乗じた額が上限となる

3. 事業費:間接補助事業者に対して交付した補助金(第3条第4号に該当する補助事業のみ)

なお、保守費などのランニングコストを含む整備期間外に生じた費用や、補助対象箇所外で発生した費用、あらかじめ作成する実施計画書に記載のないものに対する費用、テレワーク実施見込み人数を超えた物品費、必要以上に高性能な製品にまつわる費用、建物の購入費用、拠点にまつわる改修・整備のための公共事業などは経費として計上ができないため、注意をしなければなりません。

 

実際の流れとは

「ふるさとテレワーク推進事業」を活用する際には、次の流れに沿って実施をする必要があります。

1. 提案書の提出
まず、事業にまつわる提案の公募期間に、提案書を提出します。
提出する際には、実施要領を確認した上で所定様式の書類に提案の内容を記載し、郵送または拠点地に直接持ち込みを行います。

なお、提案を検討する会社向けに随時説明会も開催されているので、ぜひ参加してみてください。

2. 候補先の選定
次の段階として、推進事業側で提案候補先の選定を行います。その際には、必要に応じてヒアリングが実施される場合もあります。
選定のポイントとしては、時間や場所の有効活用やワーク・ライフ・バランスの向上、地方活性化に一役買っているか、などが挙げられます。

また、提案元に事業を進める能力があるか、適切な経費額で一定の効果が上げられるか、費用分担は適切か、運営計画は妥当か、などの観点からも判断されることになります。
ここで審査をクリアした事業が「採択候補先」として認められることになります。

3. 交付申請書の提出
採択候補先として認められた場合、計画の調整や経費の見直しを経た上で、「交付申請書」の提出が求められます。
その後、申請書の審査を受けた上で、総務省による最終決定がなされる、という流れとなります。

4. 事業の実施・結果報告
ここまでが終了したところで、採択候補先は実際にサテライトオフィスの設置や環境整備など、テレワーク実施に向けた事業を行います。
この事業が終了したところで「実績報告書」を提出し、具体的な補助金額が決定されます。

 

「ふるさとテレワーク推進事業」を活用し、実際に導入した会社の中には、拠点先で新たな情報やアイデアを仕入れることを可能としたケースや、柔軟性のある働き方により離職率が低下したケースなどがみられます。
若干手続きなどが煩雑な部分もありますが、労働人口が減少していく中で、いかに自社の優秀な社員を辞めさせないか、あるいは地方にいる人材を活用していくかは非常に重要な事項とも言えます。会社全体の将来を考える中で、ぜひ候補の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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