【フリーランス向け】個人事業主は要チェック!青色申告と白色申告の違い

今年も確定申告の季節となりました。優クリエイトでは、毎年この時期に『ムダのない適正な納税をするための≪初心者向け≫確定申告セミナー』を実施しています(今年は2/11に実施)。その中でよく出る質問が『「青色申告」と「白色申告」どちらがいいの?』、あるいは『「青色申告」って難しいって聞きますが・・・』。 今回はそれぞれのメリット・デメリットについて解説。確定申告に悩んでいる方は、要チェックです。


 

そもそも確定申告とは?

おそらくこれを読まれている方は、確定申告をしたことがあるかある程度の興味がある方なので、さらっと流します。

確定申告は、1月~12月の間に得られた所得と、その所得に対してかかる税金(所得税)を計算し、毎年2月16日から3月15日までに税務署に対して申告と納税をすることです。

基本的には、サラリーマンは勤務先の企業が『年末調整』を行ってくれるので不要です。
他方、フリーランス(個人事業主)や転職などで複数からの取得があった方などは、ご自身での確定申告が必要となります。

確定申告には「青色申告」「白色申告」の2つの種類があります。
確定申告の際にはどちらか一方を選ばなければなりません。

ちなみに、余談となりますが、青色申告の申告書は「青色」という話を時折耳にすることがあります。
しかし、これは間違いです。どちらを選んだ場合でも、書類の色は「白」ですので、お間違えなく!

では、ここからは本題に戻ります。
次の項目より、青色申告と白色申告について、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるかを、順に説明していきます。
 

所得税のしくみを理解しよう

確定申告の目的は、所得税の計算です。
「青色申告」と「白色申告」の説明するためには、まずは所得税の分類と計算方法の概要を理解するのが近道です。
やはりざっとでかまわないので、一読しておきましょう。

その1:収入の分類
昨年1年間に得た収入を、次の10種類に分類します。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.譲渡所得
8.山林所得
9.一時所得
10.雑所得

その2:経費の集計と差し引き
「それぞれの収入」と「その収入にかかった経費」を集計します。
そして、「収入」から「経費」を差し引いた「所得」を計算します。

その3:所得のグループ分け
10種類の所得を2つのグループに分けます。

まず、合算して所得税額を計算するグループです。
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
7.譲渡所得 の一部
9.一時所得
10.雑所得

もう一つは、単独で所得税額を計算するグループです。
1.利子所得
6.退職所得
7.譲渡所得 の一部
8.山林所得

その4:所得税額の割り出し
医療費控除などの各種控除を行い、最後に残った金額に税率を掛け、申告することになる所得税額を計算します。

所得税の計算は少々パワーを要する行為ではありますが、上記の内容をもとにひとつずつ確実に行っていきましょう。
 

青色申告ってどんなもの?

そもそも、青色申告は利用できる所得の種類が限定されていることに特徴があります。

具体的にいえば、先ほど紹介した10種類の所得のうち、
3.不動産所得
4.事業所得
8.山林所得

の3種類にのみ、認められているのです。
(デザイナーのフリーランスの方であれば、『4.事業取得』となります)

これらの所得があり、青色申告を希望する場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
ただし、その年の1月16日以後に新たに事業を起こした新米事業主の場合は、開業から2ヵ月以内に申請書を提出すれば、3月15日を過ぎていても青色申告をすることができます。

この申請書を提出しなかった場合は青色申告ができず、白色申告をすることになるため、忘れずに出すことを心がけましょう。
 

青色申告のメリットとは

青色申告には、さまざまなメリットがありますが、何といっても次のような優遇制度を受けることができることが挙げられます。

優遇1:青色申告特別控除
所得税は、前述のように「収入」から「経費」を差し引いた「所得」に税率を乗じて計算しますが、青色申告の場合はこの「所得」から最大65万円を控除することができます。

優遇2:損失の繰り越し
「収入」より「経費」が大きい場合は、その事業は「赤字」扱いとなります。

赤字の場合、「経費」から「収入」を差し引くことになります。
そして、差し引き後の金額を「損失」といいますが、青色申告を選べばこの損失額を翌年以降の所得と相殺することが可能となるのです。

例:前々年は50万円の損失が発生、前年の所得は60万円だった
→今回の確定申告では、60万円ではなく、60万円から50万円を差し引いた10万円に税率を乗じて所得税を払えばOK。

優遇3:30万円未満の減価償却資産の特例
法律上、機械や車、器具などの資産を10万円以上で購入した場合は一括して経費扱いにすることはできず、購入金額をその資産を使用できる期間にわたって分割して経費にしていく作業をとります。

しかし、青色申告ならば、購入金額が30万円未満までの資産を購入したときは、一括して購入した年の経費にすることができます

優遇4:貸倒引当金
事業の際に発生する売掛金などの債権は、常に踏み倒しによる損失リスクが付きまといます。
このようなケースに備え、損失の見込み額として「貸倒引当金」を計上することができます
なお、計上できる金額は年末の債権額の5.5%までです。

優遇5:青色事業専従者給与
これは、例えば夫婦でフリーランスをする際など、家族で事業を行う方にとっては朗報となる優遇制度です。
一般的には、所得税は同じ生計内の親族に対する費用は経費として認められませんが、青色申告を選択した場合は、同じ生計内の親族に支払った給与に限り経費とすることができます
この、同じ生計内の親族に支払う給与のことを「青色事業専従者給与」といいます。

なお、青色事業専従者給与を支払う場合は、あらかじめ税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、届け出た金額の範囲内で支払うというルールがあるほか、支払対象者にできるのは他所で働いていない15歳以上の者であること、青色事業専従者給与の対象となる親族は、配偶者控除や扶養控除の対象とすることはできない等の制限があるので注意も必要です。
 

青色申告のデメリットとは

デメリットというと語弊があるかもしれませんが、青色申告を選択した人は「複式簿記」による記帳を行わなければならず、常日頃から適切な経理作業を進めるという条件が設けられています。

その上で、総勘定元帳・現金出納帳・固定資産台帳などの帳簿、損益計算書・貸借対照表などの決算関係書類や、領収書・預金通帳・請求書などの金銭にかかわる書類を保存しておく必要があります。
また、保存期間も数年にわたり定められています。
たとえば、帳簿は7年間、書類は種類や所得金額によって5年間から7年間です。

前述の通り、青色申告は様々な優遇制度を受けることができます。ただし、その分管理の手間がかかることになります。
努力なくして優遇なしです。

青色申告は、自身が経理作業に明るく作業時間を十分に取れる場合や、経理担当者を据えることができる環境にあり、事務所内に各帳簿を保管して置けるスペースを確保できる場合に適していると言えるでしょう。
 

白色申告とは?

白色申告は「青色申告以外の申告」のことで、青色申告の届け出を行わなかった事業主が行う申告方法です。新米の個人事業主の場合、まずは白色申告からマスターしよう!と考える人もいるようですね。

白色申告のメリットといえば、何といっても、記帳という経理事務の負担が軽いということが挙げられるでしょう。
青色申告の際に必要となる複式簿記による記帳を敬遠する人が、白色申告を選択する傾向にあります。

なお、重要なポイントとして、
「白色申告=記帳の必要なしという考えは間違っている」
ことを覚えておきましょう。

白色申告を選んだ場合でも、帳簿を付けて保管をすることが義務化されています。
ただし、その内容は複式簿記である必要はなく、いわゆる単式簿記が認められています。
つまり、簡易的な記帳でOKなのです。

一方、白色申告のデメリットは、青色申告で受けられる優遇制度が全く受けられないことです。

つまり、同じ金額の「収入」があったとしても、青色申告は「経費」や「所得」に対しての優遇措置がありますので、最終的な納税額が「白色申告」>「青白申告」となり、白色申告の方が損(青色申告の方が得)をするということになります。
 

結局、どちらを選ぶべき?

青色申告・白色申告のどちらを選ぶ方が良いか、ということを考える前に、まずは前述の白色申告についてまとめてみましょう。

白色申告のメリット=青色申告で決められた義務を果たす必要がないこと
白色申告のデメリット=青色申告のメリットを受けられないこと

ただし、帳簿をつけることや書類の保存義務については、青色申告・白色申告のどちらを選んだ場合でも、行わなければなりません。
つまるところ、『簿記が「単式で良いか」「複式でないといけないか」という違いのみ』ということになります。

青色申告の方がメリットが大きいのは明白です。
複式簿記はちょっと・・・と敬遠したくなる気持ちもわかりますが、フリーランスとして今後も活躍をしていくつもりであれば青色申告で得られるメリットは無視できません。少しずつでも勉強・実践をし、いずれかのタイミングで白色申告から青色申告に切り替えることをオススメします。

ユウクリのフリーランス支援サービス

ユウクリでは、フリーランス支援サービスとして、下記のサービスを実施しています。

■アウトソーシングサービス
フリーランス業務(業務委託案件)のご紹介。クライアントとの窓口をユウクリが代行します。

■クリプラス
フリーランスの空き時間で働ける、1日~数日程度の派遣求人のご紹介

■フリーランス+安定収入の確保
フリーランスと並行して働ける、週4日以下や時短の派遣求人のご紹介

その他、転職サポートやフルタイムの派遣求人なども取り扱っています。


ユウクリのフリーランス支援サービス

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*