海外のクリエイター事情〜クリエイティブ大国・イギリスにおける派遣会社と仕事獲得術とは?〜

日本ではあまり知られていないかと思いますが、実はイギリスのクリエイティブ産業は、アメリカ、中国に続いて、世界で第3位を誇る巨大市場です。その額は昨年なんと920億ポンド(約13兆7007億円)にも及び、自動車、石油、ガス、航空宇宙、生命科学という、イギリスにおける5つの産業を合計した金額よりも大きな経済効果をあげているのです。今回は、そんな「クリエイティブ大国・イギリス」におけるクリエイター向け求人事情を覗いてみましょう。

 

クリエイティブ産業が花盛り!イギリスのクリエイター向け派遣会社とは?

イギリスでは、政府がクリエイティブ産業に「助成金として1ポンド投資」するごとに、政府は「税金として5ポンド(約745円)」の収益を得ているのだとか。このように急成長を遂げているクリエイティブ産業では求人数もうなぎ登りで、イギリスには数多くのクリエイティブ向け派遣会社が存在します。
その中から代表的な3社のサイトをご紹介します。

1:Creative Recruitment
1995年創立のクリエイティブ派遣会社の先駆け的存在にあたる企業の求人サイトです。
デジタルや広告、マーケティング、エンターテイメントなど幅広い求人情報を提供。こだわりの感じられるフォントやメッセージ色の強いキャプションから、広告業界と密接な結びつきがあることが一目で伝わってくるサイトです。
https://www.creativerecruitment.co.uk

2:Profiles Creative
ファッションやデザイン業界に強い派遣会社で、紹介先は「ナイキ」、「シャネル」、「マルベリー」など、そうそうたる企業揃い。それにたがわず、そのサイトもまるでハイエンドのファッション雑誌を眺めているような、スタイリッシュなページになっています。
https://www.profilescreative.com

3:Creative Access
過去記事「あの著名デザイナ一に弟子入り?イギリスのインターンシップ制度(http://www.y-create.co.jp/forcreator/uk/)」でも紹介した、若手クリエイターの登竜門といえる”インターンシップ”に特化した派遣会社。
インターン終了後の正規雇用率が84%と非常に高いのが特徴です。さまざまなインターンたちの顔写真やサクセスストーリーをフィーチャーすることによって、若いエネルギーに溢れた求人サイトに仕上がっています。
https://creativeaccess.org.uk

整然と見やすい日本の求人サイトに比べると、イギリスのクリエイティブ向け派遣会社のサイトは、概して各社の個性が反映されていると同時に、デザイン性が高い傾向にあります。機能性よりも、インパクトが重視される現代アートで有名なイギリスらしい特徴といえるかもしれません。

 

ニーズやスキルにマッチ!在校生や卒業生限定の大学による求人情報

ひと昔前でいう大学の掲示板にあたる求人情報は、現在はサイトに掲載されているケースが多いようです。

世界的なデザイナーやアーティストを輩出している「セントマーチン」や「チェルシーカレッジ」などの総称であるロンドン芸術大学のサイトでは、在校生や卒業生のみが登録・ログイン可能で、応募先の詳細を閲覧することができます。雇用側も学生側もお互いの「ニーズ・スキル」にマッチした「人材・仕事」が探せる効率よいシステムになっています。
http://www.arts.ac.uk/student-jobs-and-careers/find-jobs-and-internships/find-a-job/

 

パーティーやパブ、会員制クラブなど、お酒の場に思わぬチャンスが!?

さまざまなローンチ・パーティー(新商品などのお披露目会)やオープニング・イベント、クリエイターが多い会員制クラブ、一般のパブなど「お酒の場」を通じて気軽に仕事を請け負う機会が多いのも、イギリスならでは。

日本のように仕事モードで緊張が入り混じり、味もわからなくなるような雰囲気とは違い、最初から商談やビジネスモードではないのがポイントです。一杯のビールやワインでリラックスし、話が弾むところから始まります。
クリエイターの実力やスキルが伴うことはもちろん重要ですが、かしこまらないお酒の席で、お互いのひととなりなりに触れ、話が盛り上がったところで「今度一緒に仕事をしてみよう」という流れが思いのほか多いのです。ゆるいネットワークを気軽に築ける雰囲気や、無名の若手にもチャンスを与えよう、という気風がイギリスにはあります。

このように、クリエイティブ業界における自由な発想や画期的なコラボレーションは、イギリスではビールやワイン一杯の交流から生み出されていくこともあるようです。好奇心や感性を刺激するようなインパクトの強いサイトや、イギリス人のこうしたオープンで自然体の仕事獲得術は、日本のクリエイターや業界にとっては見習えるところが多そうです。

出典元:https://www.theguardian.com/commentisfree/2018/jan/17/creativity-private-schools-uk-creative-industries-state

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