<OAC×美大芸大就活ナビ>採用担当者はポートフォリオで何を重視している?【開催レポート・前編】

2022年2月25日(金)に実施された
<OAC×美大芸大就活ナビ>採用担当者はポートフォリオで何を重視している?
―ポートフォリオ制作前に考えておくこと—

のアーカイブ記事<第一弾>です。(第二弾の記事はコチラ
 
テーマは、美術系学生の皆さんの就活と切っても切れないポートフォリオについて。
実際の採用選考に携わっている制作会社役員のお二人とのパネルディスカッションをダイジェスト版で、全3回に分けてお届けします!
 

今回お話を聞いたのは…

篠原一幸さん 
株式会社アドブレーン 取締役

 

小林史朋さん
株式会社アドデザイナース 取締役

 

モデレーター:根岸佑美 
株式会社ユウクリ(美大芸大就活ナビ・ユウクリ就活TV運営)

選考におけるポートフォリオの重要度とは?

ー就活というと美術系学生の皆さんは「ポートフォリオを作るぞ!」というところから始める方が多いと思うのですが、ポートフォリオは実際のところ選考においてどの程度の重要度を占めているのでしょうか?
 
篠原さん: コロナ禍の影響で直接会えるという機会が減ったことから選考がリモートで進むことが多いのですが、最近変わってきたことが「いきなりポートフォリオの審査に入る様になった」ということです。
一番最初のハードルを超えるという点では弊社の場合、ポートフォリオは重要だと考えています。
このため、ポートフォリオのクオリティをいきなり最初から上げていく必要はあるのかなと思いますね。
 
ーまず最初にポートフォリオの審査があるとのことですが、コロナ以前はポートフォリオの審査はもっと後の段階で行われていたということですか?
 
篠原さん: はい。作品審査は丁度真ん中くらいの時期で、その時に提出していただいていました。
 
ーちなみにご提出のポートフォリオはデータと実物、どちらで選考されていますか?
 
篠原さん: 両方ですね。
初めの選考はデータで行うのですが、審査が進んでいく段階で実物の提出をお願いしています。
後の方の審査の際は実際に実物を手にとって行いたいため、その様な方式をとっています。
 
小林さん: 弊社は実物を送っていただいています。
それをみて次のステップに進むかどうか決めているので、ポートフォリオをまずは見させていただいていますね。
 
ー篠原さんは先ほど「初期の選考はデータでの選考」とおっしゃられていましたが、データの場合はどの様な部分に注目されていますか?
差が出てくるのはどの様な部分なのでしょうか?

 
篠原さん: 差がついてくる部分としては、見る側が分かりやすいかどうか、という部分だと思いますね。
きちんと伝わる様な構成がなされている物の方が我々としても見やすいし、評価もしやすいです。
基本的な部分だとは思いますが「ただ作品を羅列しただけ」ではなかなかその人の良さは見えてこないと思います。
 
ー例えば、ポートフォリオがとても出来が良くて、履歴書やESがイマイチな場合でもポートフォリオが良いから選考を通過する、といったこともあるのでしょうか? 
 
篠原さん: あります。笑
成績は悪いんだけど、ポートフォリオが特別素晴らしいみたいな人が時々いるんです。
「一回会って話を聞いてみよう!」と、通しちゃうことはありますね。
 
ー実際ポートフォリオが良い人を通してみて、その後は期待通りに良い方だったりするんでしょうか?(一概には言えないと思いますが。。)
 
篠原さん: 実際話してみて「やっぱり良い人だ!」となって、採用が決まるケースも無い訳ではないですね。
ただ、当社の場合は実技試験もありますし、色々な評価の合算で決まってくるのでテクニック的な部分や、スキル的な部分などは後々の審査で合わさってきます。
 
小林さん: 最終的には「人」を見ていくので、作品だけで最後まで行く・・・ということは無いですね。
 
篠原さん: 弊社も面接で最後決まることが多いですね。
デザインは素敵だし魅力的なんだけれども、弊社とは合わないかもしれないなという方もやはりいるんです。
その場合はやはり採用までは至らないかなと思います。

残念なポートフォリオとは?

ー最近は上手なポートフォリオが多いのであまり差がつかないとのことでしたが、そのような中でも差がついてくるのはどのような部分なのでしょうか?
 
小林さん: 皆さん自分が学生の間に取り組んだことをポートフォリオに入れていくと思うんですけど「ただ並べているだけ」という人が稀にいるんですよね。
何をしたのかとかが見えてこないものに関しては、もうほとんど見ないです。
瞬間で分かってしまうので、そういうポートフォリオは「残念だな」と思います。
 
小林さん: 自分がどこまでその課題に真摯に取り組んだかってのを表現してもらえれば、見る側もわかります。
例えば「この人は文字に凄く取り組んで来たんだな」というのは滲み出てくると思うので、そういうポートフォリオは良いなとは思います。
 
篠原さん: やっぱり見せ方や伝えかたが分かりづらかったりすると、我々も上手く理解出来ないこととかもあるんですね。
選考が進むにつれて本人からその作品の説明を聞いて改めて「あぁ、そうだったんだ」と気がつくこともあって。
やっぱりそれはちょっと「もったいないな」と思います。
 
篠原さん: 「残念」というキーワードの解釈の仕方にもよると思いますが、作品が悪いわけでは無いんだけど写真が汚かったり、レイアウトが雑だったりすることで「残念だな」と思うことがありますね。
 
ー先程、作品を上手く理解出来ない場合があると仰っていましたが、どうすれば分かりやすくなると思われますか?
 
篠原さん: 説明って長すぎても読まないと思うんですよ。
はっきり分かりやすく「これはこういうことなんです」って一言で書いておいたり、あとは使い方に特徴のある作品であれば実際に使っている写真を収録してみたりなど、皆さん知恵を絞って伝えようと工夫してくれていますね。
 
小林さん: 篠原さんに凄く共感しました!
長い文章は読まないです。笑
読まない人が多いと思います。
 
皆さんもこれからこの世界に入ってくると思うんですけど、長ったらしい話なんてクライアントも聞いてくれないので「この案はこれです」「この案はこれです」「どれが良いですか?」と、いかにコンパクトにいくかってのは重要になってきます。
 
具体的にいうと、短い方が良いです!
 
篠原さん: 「なんか説明しなくちゃ」みたいな後付けの説明は分かってしまいます。
そう言った後付けの説明を付け足すことで、言ってることと作品が合わないという混乱を招いていることはあるかもしれないですね。
 
 
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後編では、さらに
・ポートフォリオは量も必要?
・ポートフォリオ以外で重視しているポイント

についてお聞きしていきます。
後編も合わせてチェックしてみてくださいね!
 
編集担当/ Yumi(京都芸術大学)