【派遣 活用事例】株式会社パーマネントイエローオレンジ

【派遣 活用事例】株式会社パーマネントイエローオレンジ

【派遣 活用事例】
『VERY』や『Oggi』、『きょうの料理』、『サンキュ!』など、有名女性誌のデザインを数多く手掛けるパーマネントイエローオレンジ様。
数々の出版社とも取引があり、15年以上の歴史を誇ります。

今回は、当時女性が長く続けにくいと言われ続けていた制作業界で2006年に独立、創業社長となった野澤さんにお話をお伺いしました。

相談役として半歩以上踏み込んでいくタイプの会社

-PYO様のお仕事について教えて下さい。

当社では雑誌や書籍など、InDesignを使った出版系のデザインを多く手掛けています。
出版デザインのお仕事は士業の人たちと同じで、指名してもらってはじめて仕事が入ってくる業界です。

ありがたいことに当社の仕事はリピートがほとんどです。
強みとしては、単にデザインをして終わりではなく、相談役として半歩以上踏み込んでいくタイプの会社であることかなと思います。
たとえばラフについて打ち合わせる場合は全部赤ペンを入れて戻すようにしたり、通販系のお仕事であればブランディングの提案として、紙面デザインのついでに販促物のデザイン案を出したり。
提案用のレジュメをお客様と一緒に作ったりすることもあるんです。

「料理」や「ファッション」など、当社では似たようなジャンルの仕事を複数取り扱うことも多く、それなりに知見があります。
お客様と同じ目線で考え、制作の専門家としてより良いものを一緒に作っていきたい。
そんな意識で仕事をしています。

-新型コロナの影響によってお仕事にはどんな変化があるのでしょうか

まず会社の体制としては、リモート化を一気に進めました。
出版用の制作データはサイズも大きく移行するのは大変だと思っていましたが、実際にやってみたら案外問題はないという解釈です。
コロナが落ち着いてからもリモートでできると判断しています。

出版のお仕事については、たまたま当社が現在担当しているものには大きな影響はありません。
一方で雑誌広告などはコロナ以前から取りづらくなっていましたが、それが加速しだしているという印象はあります。

こういった時代の変化に合わせて対応していくため、ここ数年は出版社だけではなく通販分野の仕事を増やすなど幅を広げています。
得意ジャンルの出版広告系の仕事を増やしつつ、今後はデジタル分野のお仕事にも進出していければと思っており、どうやったらうまくできるかを探っている段階ですね。

毎回タイミングが良い、ユウクリとのご縁

-ユウクリとの関わり方を教えてください。

確か一番最初に派遣をお願いしたのは8年ほど前で、本当に困っていたときでした。
エージェントをいろいろ調べて、ユウクリさんが詳しそうだから問い合わせしようかなと思っていた翌日に飛び込み営業が来たんです。
これは良いタイミングだと思ってお願いしてみたというのがきっかけでしたね。

その後は派遣をメインとしたお付き合いが続いて、4年前くらいに新卒サービスのご案内がありました。
またそれもタイミングが良くて、自社採用に行き詰まってたときだったんです。

当時は中途採用を考えていましたが、募集が上手くいっていませんでした。
小さな会社ですので、求人媒体経由で採用しようとしてもなかなか魅力が伝えきれないことが悩みの種。

困っていたタイミングでユウクリさんの新卒サービスの採用イベント「キャリフェス」をご案内してもらったんです。

当社には人事部がないため採用は自分がやりますが、自分自身に人事経験はゼロ。
そんな状態だったからプロの方のフォローが入るという点にもメリットを感じてお願いしました。
ユウクリの担当さんが熱心で頼りになるなと思ったのもあります。

「キャリフェス」への参加をきっかけに、当社は新卒を採用ターゲットにしてマンツーマンで魅力を伝えていく方向にシフトするようになりました。

実は、お願いした当初はきちんとした自社ホームページもなかったんです。
日々のことに追われて放置していたのですが、「作ったほうが絶対にいい」とアドバイスを受けて、対応するところからはじめました。

今までにユウクリさん経由で新卒の方を4名採用しましたが、現在も活躍しています

状況に応じて「クリプラス」を活用

-PYO様には短期やスポットの派遣、「クリプラス」をよくご利用いただいておりますが、派遣を利用しようという瞬間は御社の中でどういった状況・ケースが多いのでしょうか。

単純に仕事量に対して人数が足りない場合に声をかけています。
タイミングとしては誰が辞めてしまった直後とか、想定外に仕事がいっぱい来ちゃったというとき。

当社は雑誌と書籍のお仕事をルーティンで引き受けることが多いです。
だから通常は、今月にやった仕事は来月にも入ってきますのでスケジュールは読みやすい。

ただそれとは別に、お付き合いのある編集の方から「違う雑誌も毎月ちょっとずつお願いしたいんです」というような相談が入ることがあります。
このような新しい仕事が来たばかりのとき、まとまった期間で人が必要になります。

また単発のお仕事の場合は、来月デザインする予定だったものが急遽今月になるなど、スケジュールがずれることもあります。
そういったことが重なってくると派遣を依頼することになりますね。

-派遣の活用方法について、働き方改革と関連した変化はありますか?

とてもあります。
当社は月の残業時間を45時間以内としています。
この時間内でまかなえないと判断したらすぐ、派遣を頼むという考えになります。

あるいは仕事自体を断るということも考えます。
ただこういうご時世なので仕事を断るというよりは、派遣をお願いして仕事を積み上げていくほうが良いと判断し、スポットで派遣をお願いしていますね。

-雇用する側も、社員の方の残業に対する意識が強くなってきたのですか?

そのとおりです。
特にここ数年採用面接をしていて感じるのですが、転職しようとしている方の残業に対する意識などがすごく変わってきています。
もちろん当社も、社員を死ぬほど働かせて会社が利益を得ようとは考えていないです。
社員の平均年齢も若いので、基本的には長く働いていただけるようにしたいと思っています。

それに、そもそもお客さまとの関係性・仕事のやり方などを考えると、やっぱり担当がコロコロ変わるよりは、ある程度同じ人が担当していくほうが会社としてもメリットが多いのです。

この業界は、お付き合いが重要です。
出版社の編集の方は、人事異動でもない限り担当発注窓口としてずっとご一緒します。
こちら側も同じ人がずっと担当していく方がお互いに成長できるし、いい仕事につながりやすいと感じるのです。

また一度仕事でご一緒した方とは別の仕事でもご一緒したり、その方からデザイナーを指名してお仕事を紹介していただいたりすることも多いため、そういった意味でも社員が長く定着してくれることをとても意識します。

社員に長く働いてもらえる環境を整備する

-確かに単に「仕事が溢れているから」ではなく、「社員が定着することがお客様の満足につながるから」と働く環境を維持するために派遣を利用する会社さんが増えているように感じます。

社員の有給消化対応などもありますしね。
労働法の改正もあり、会社として対応しなければいけないことが増えてきたという背景もあります。
当社はこれをむしろいい機会だと思い、法律に合わせて改めて社内制度、そして社外との仕事のやり方を整備しました。

取引先の会社にも、もちろん法律は適用されるわけです。
「何時までしかやりません」とか「そういうスケジュールには対応できません」というのもお伝えしやすくなります。
これはチャンスだと思って、積極的にやりました(笑)。

-素晴らしいですね。
-残業が多いなど労働環境が理由となり、採用活動に苦しまれる会社様も多いですから。

確かに採用活動上においても、環境の整備をして良かったと思います。
面接していると「1日・1週間のタイムスケジュールを教えてください」といった質問が本当に多いんですよ。
働く先を決めるときに、残業や就業時間を重視する人がが増えているように感じます。

-年齢を重ねていくと、いろいろとライフステージが変わっていく可能性もありますが、どのように考えていらっしゃいますか?

まだ事例はないのですが、そろそろ社員の年齢的にも何かあるかもしれないと思っています。
相談してもらったら何とかするつもりで考え始めています。
産休や育休が必要な場合には派遣をお願いして繋ぐこともできるので、社員には「気軽に相談してほしい」と話しています。

-そうなったときはぜひ相談してください。

報告はまだ何もないんですけど(笑)。
育休に入ったとしても戻ってこられる環境をつくろうと思っています。

ユウクリ派遣への印象

-ご提案までのスピードやリアクションなどは問題ないですか?

オーダーからご紹介までのリアクションは、日頃問題なくできています。
ただ特に最近はコロナの影響もあって曖昧な状態の仕事が多く、いつ確定するのかというのが以前よりわかりづらくなってきている気がしています。
直前でのご相談が多くなりがち、かつリモートでの対応ということになるので、よりスムーズな連携が必要になりそうだなと思います。

-弊社の派遣サービスについては、どういう印象を持たれていますか?

今当社にリピートで派遣に来ていただいている方が複数いるのですが、この方たちには満足しています。
とはいえ人によってタイプが違うなということも感じます。

例えばAさんはこちら側が何を求めているのかという目的を捉えるのか早いタイプの方。
デザインも一緒にお任せできます。
一方でBさんはコミュニケーションは非常に取りやすくこつこつ対応いただける方。
ただしデザインをまるごと任せるにはちょっと過剰なお願いになっちゃうなって感じです。

やっぱり100%希望通りの人は難しいと思うので、ご提案いただいた人を見て、社内でもお願いする内容をうまく使い分けるようにしています。

-困ったときに別のエージェントさんには声をかけているのですか?

いいえ。ユウクリさんだけにお声掛けしています。
実は派遣で来て頂いた方に、「他にどこの会社に登録している?どんな感じ?」と質問をしてみたことはあります(笑)。
それでも他に声をかけないのは、当社のオーダーが難しいと自覚しているからです。

当社はInDesignを使えないと仕事にならないのですが、若くしてInDesignを使いこなしせる人はそんなに多くないと感じます。
そもそもデザインをフィックス段階まで仕上げることができる方が、世の中にそんなにいらっしゃらないという印象もありますね。

過去名前があがった他社さんを調べてはみましたが、オーダーできるほど専門的ではなく、ユウクリさんのほうが詳しそうでした。
これなら聞くまでもないな、とユウクリさんに声をかけています。

研修とOJTを軸にした若手育成


-新卒採用や若手の育成についてもお話をきかせてください。

新卒採用を始めてから周りの会社を改めて見回してみると、InDesignの業界だと当社が一番若い人がいるのではないかという事実に気付きました。

即戦力の若手~中堅どころの人材が、なかなか転職市場に出てこなくても当たり前です。
独立される方も多く、小さな会社だと中途社員ではなかなか採用が難しいと感じました。
ならば、と新卒採用と育成、定着に力を入れるようになりました。

私自身前職の会社では、30歳前後からずっと新卒を教育していました。
今でも新卒から育てた後輩から「独立した」と連絡を受け、一緒に仕事をしたりもします。
こういった経験があったことも、この決断を後押ししました。

この方針にして良かったと感じています。
皆さんお若いということもあって、社内の風通しもかなり良いですね。

-どのような育成を行っていますか?

長く定着していただくためにも、じっくり育てていくということを重視しています。
入社した方には少しずつ仕事が重なっていくという体験をしてもらいます。
やれることが増えていくとモチベーションに繋がるのです。

入社が決定した後はまず、研修があります。

いろいろと試行錯誤をした結果始めたのが、独自のプログラムによる入社前の技術講習です。
すぐに現場に入っても何が何だかわからなくなるので、まずは土台を勉強してもらったほうがよいと考えました。
そのためInDesign研修のようなものをリモートで2~3回行っています。
講習は自分たち自身でやります。
入社する人に対し「自社ではこういうふうにやる、ここまではできてほしい」というポイントのレクチャーを行います。

技術研修とは別途、数年前から外部の有料オンライン研修も取り入れています。
社会人と大学生はこういうところが違うんですよという心構えや、ホウレンソウがどうだといった入社後の基本的なビジネスルールを教えるため、デジタル教材を使っています。

自分たちで教えられなくもないのですが、教える側の人数が多いわけではないし、教材のほうが基本を満遍なく教えられると感じ、外部を活用するようになりました。
それに同じ人が全てを教えるより、いろいろな人が教えるほうが本人にとっても受け入れやすいのではないかな、という思いもあります。

研修後はOJTで育成します。
入社後1~2カ月くらいは、裏方のアシスタント作業がメインです。
いろんな媒体の仕事を先輩から依頼され、対応していくことで仕事の流れなりデータの作り方なりを覚えていただきます。

その後は社内の人数も少ないので早めに担当を持たせます。
私や先輩社員も一緒に入ってしっかりフォローしつつ、仕事のやり方を現場の中で覚えてもらいます。

そのとき「まずはやってもらわないと分からないのでやってみて、困ったら相談でやりましょう」というふうにして、なるべく手を出さず口だけ出すというように心がけています。
また口を出すときには、なるべく「こういうところができるといいよ」とか、「こういう考え方でやろう」と話すようにしています。

このOJTの時期をどう過ごしてもらうかが、誰かの言いなりになるデザイナーになるか、自分で考えられるデザイナーになるかの分かれ道です。
できるだけ細かくフォローしていくのですが、リモートだとこのフォローが一番難しいなと感じています。

-やっぱりリアルでコミュニケーションをとりたい場面がでてきますよね。

入社したばかりの頃には、うまく言葉にできないような質問がいっぱいあると思うんですよ。
もしそばにいれば「困ってるな」ということは見れば分かるから、こちらから声かけができるんです。

それがリモートの場合だと、本人から言ってもらわないと困っているということがわかりにくくなります。
一人でストレスを溜め込んでいきなり爆発することにもなりかねないので、「小さな事でも早めに相談してください」と言っています。
とはいえ本人からすれば言葉にしにくいのですから、なかなか難しいですね。

電話での打ち合わせ・やりとりが増えていることも悩みのタネです。
打ち合わせに同席して聞いていればどんな流れかということがこちらでも把握できますが、電話だと細かい部分がわからなくなります。
どちらにせよできるだけ話を聞いて、「こういう理由だからこうだ」「ああいう理由だからこうだ」という風に、考え方の土台を教えるようにしています。
「ここはこうしなさい」というマニュアル的なことを教えることも一部はあるけれど、それよりもむしろ考え方の方を身につけるようにしてください、という方針です。

-1人でお客様と接してお仕事ができるようになるにはどれぐらいの時間がかかるものですか?

人によりますが、おそらく2年前後ではないかと考えています。
実際の技術的な部分だけであれば1年でできると思うのですが、相手の人との信頼関係の部分も含めると2年ほどかかります。
毎月やり取りしても1年で12回、これくらいだと、お客様からは「まだまだ若手」という印象ですね。

とはいえ1年目より2年目の方が絶対的にやりやすくなっているのは確かです。
去年は上司を全部CCに入れてもらうような関係性だったのがあからさまに薄れてきて、直でやれるようになってきます。
この段階でルーティンの仕事はある程度できるようになりますが、さらに踏み込んで提案するというところまでになると、やっぱりあと12回くらいのやり取りが必要。
だから2年くらいはかかるかなと思います。

「キャリフェス」に今後も期待

-ユウクリに期待していることを教えてください。

「キャリフェス」イベントの復活です。
キャリフェスは今年度はやらないと聞いており、非常に残念に思っています(苦笑)。
ぜひ復活してほしいなと願っています。

小さな規模の会社にとって、直接学生さんにお会いできて、お話ができるイベントは貴重です。
自社に知名度がなくても、イベントで自社のお話をしたら行きたいと言ってくださる方も結構多いんです。

イベントに参加させていただくにあたり、弊社の社員を連れていくこと自体も刺激になるのです。
他の他社さんのやり方をちょっと見ることができるというのは勉強になったし、自分たちがやっていることを言葉にして相手に伝えなければいけない。
こういった経験が仕事にもそのまま跳ね返ってくるのかなというふうに思っています。

-なるほど、そのような側面もあるのですね。
-キャリフェス復活の際はぜひご案内します。
-ありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いします。

 

PYO

株式会社パーマネントイエローオレンジ

代表の野澤が武蔵野美術大学を卒業後、エディトリアルデザインを主に手がける木村デザイン事務所を経て独立し、2008年に設立した会社。
出版系のデザインを中心にグラフィックデザイン全般を手がける。

大手出版社との取引が中心であるため、自社がデザインを手掛けた書籍・雑誌などが書店に並ぶことも多い。

株式会社パーマネントイエローオレンジさんのホームページはコチラ : 株式会社パーマネントイエローオレンジ