
株式会社電通は2月23日、日本の広告費が5年連続でプラス成長していることを発表しました。中でもインターネット広告費は、過去20年で急成長を遂げています。この記事では、近年における日本の広告費の推移を媒体別・業種別に解説し、近未来を予測していきます。
■日本の広告費は5年連続のプラス成長!
2月23日、株式会社電通により日本の広告費と媒体別及び業種別の広告費を推定した「2016年 日本の広告費」が発表されました。それによると、2016年の日本の総広告費は前年比101.9%の6兆2880億円で、5年連続プラス成長を遂げています。
しかし、全ての媒体の広告費が順調に増加している訳ではありません。総広告費におけるインターネット広告費の構成比が次第に高まり、他の広告市場を牽引する構図が目立ってきています。
■媒体別の広告費の推移は?
日本の広告費は、マスコミ四媒体広告費、インターネット広告費、プロモーションメディア広告費に分けられます。
では、それぞれの媒体の広告費は近年どのように推移しているのでしょうか。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオを柱とするマスコミ四媒体広告費は、ここ数年漸減の気配を見せています。
実際2016年のマスコミ四媒体広告費も、前年比99.6%の2兆8,596億円と減少。そのうちテレビメディア広告費は前年比101.7%、ラジオ広告費は102.5%と上昇しましたが、プリントメディアの新聞広告費と雑誌広告費は、それぞれ前年比95.6%、91.0%と伸びず、過去数年の動向を見ても減少傾向にあります。
一方、インターネット広告費は、毎年110%以上の成長率で、右肩上がりに増加しています。
2016年も順調に増加し、前年比113%の1兆3,100億円。そのうち媒体費が前年比112.9%の1兆378億円、制作費が同113.4%の2722億円とどちらも伸びを見せました。
プロモーションメディア広告費は、前年比98.9%の2兆1,184億円と減少。過去数年の推移を見てもマスコミ四媒体広告費と同様、減少傾向です。
ただし、プロモーションメディア広告費のうちでも屋外広告や展示・映像の領域は増加傾向にあります。これは、主要都市駅の再開発に伴う商業施設のリニューアルやVR(仮想現実)などの新技術を駆使した企業のプロモーション活動に注目が集まったことによるものと考えられます。
このように、日本の広告費の推移は、同じ媒体においても領域によって差が生じていることが分かるでしょう。
■急成長するインターネット広告費
インターネット広告費は、過去20年で急成長を遂げました。1996年には16億円でしたが、2004年にはラジオ広告費、2009年には新聞広告費を超え、2014年に媒体費と制作費を合わせて1兆円、今回2016年には初めて媒体費のみで1兆円を上回っています。
この媒体費をさらに細分化してみると、特に運用型広告費の伸びが好調です。
おなじみのリスティング広告はじめ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でもやはり運用型広告がメインとなっています。特にコンテンツとコンテンツの間に表示されるインフィード広告は新たな成長領域として注目されています。
デバイス別では、従来のパソコン向けの広告は減少傾向にある一方でスマートフォン向けの広告が引き続き伸びを見せ、パソコン中心のメディアからスマートフォン等モバイル中心のメディアへのシフトが顕著になっています。
■今後の日本の広告費はどうなる?近未来の動向を予測!
では、今後の日本の広告費は一体どのように推移していくのでしょうか。過去の動向から近未来を予測してみましょう。
マスコミ四媒体は、引き続きテレビが牽引していくことが予想されますが、新聞、雑誌ではさらなる減少が考えられ、全体としては縮小する可能性があります。
成長を続けるインターネット広告費は、今後もさらなる増加が見込まれます。近い将来テレビと並ぶ巨大メディアとなるのではないでしょうか。
ちなみに、アメリカでは昨年、テレビの広告費をネットが抜いたと報道されました。日本の市場はアメリカと5年ずれで動くと言われており、この点でもテレビにインターネットが並ぶのは現実的なことと言えるかもしれません。
プロモーションメディア広告費は全体としては横ばいですが、その中でも現在好調な屋外広告や展示・映像は、今後も新技術を駆使したイベントやプロモーション活動の増加が見込まれ、順調に伸びていくことが予想されます。
参照URL
株式会社電通「日本の広告費#04」
http://dentsu-ho.com/articles/4923
株式会社電通「2016年日本の広告費」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0223-009179.html
ADWORKS「2016年度の日本の総広告費をもとに、5年後の未来を予測してみた。」
http://www.adw.co.jp/blog/20170228.html