【海外事例】ロボットに仕事を奪われる!?ヨーロッパにおけるAI雇用とHRテック最前線

この数年「HRテック」という言葉をよく耳にするようになりました。HRテック は人工知能(AI)などの先端テクノロジーを駆使し、人事業務の効率化と質の向上を図るサービス全般のこと。テクノロジーの発展に伴って、HRテックがクリエイターの働き方に様々な改革をもたらすことも、そう遠くはないでしょう。今回は、実際にヨーロッパの企業で、どのようにHRテックを人事に役立てているか、今後「AI雇用」によってどのような影響が及ぶのか、その実情を探りたいと思います。

近年、欧米で浸透する「HRテック」による変化とは?

数年前までHRテックは、欧米でも産業の経営上理念や指揮において、変遷期にありがちな「やや厄介なもの」と見なされていました。特に、人事での最先端テクノロジーツールの導入は、他のセクターと比べ、スローペースであると言わざるを得ない状況でした。
しかし現在では、各企業大小を問わずHRテックによる変化が顕著になってきています。

それにはいくつかの理由がありますが、第一に「クラウド型サービス(SaaS)」の普及とスマートフォン・タブレットなどが急速に広まって、それに対応した「AIアプリ」や「IoTツール」が登場したことでしょう。
今までのような、人事担当者向けに作られた既存の専門ソフトウェアに比べ、誰でも気軽にアクセスできるプラットフォームの利便性が受け入れられています。

これは、業績管理やピープル・アナリティクス(人材情報分析)はもちろん、ヘルス・トラッカーによる社員の健康状態チェック、在宅ワーカーのシフト管理など、通常では査定や管理が困難だった分野の効率化を果たすことに成功したのも理由の一つでしょう。

日本では在宅ワーカーはまだまだ少数派なので実感がわきづらいのですが、アメリカでは10年後に「労働人口のうち、フリーランスが50%を超える」という見方もあり、社外で活躍するフリーランスの人材管理システムや、チームの生産性を向上させるパフォーマンス分析ツールの需要が高くなっています。

第二に、「AR(拡張現実)」や「VR(バーチャル・リアリティ)」の台頭が挙げられます。

あらゆる領域で今話題のテクノロジーは、人事業務においても驚くべき変革を起こしています。例えば新入社員研修や専門会議をはじめ、遠方や海外の優秀な人材採用にコストを気にせず行えるビデオ面接、業務シミュレーションのアセスメントなど、その利用価値は多様です。

 

さらに気になる2019年HRテックの行方

このように、近年目覚ましい速度で進歩するHRテック。2019年に向けてアンテナを張るべきことは何でしょう?

それは、採用のプロセスをよりスピーディーにし、低コストに抑えること

リクルート・マーケティングにおいてKPI(Key Performance Indicator=主要業績評価指数)のマネジメントを改善するためには「採用にかかる時間」「採用にかかるコスト」「採用におけるクオリティ」の3つがキーポイントになります。
その際、よりよいツールで応募者が増えることは望ましいことですが、それに伴って技術不足のクリエイターやそのポジションにマッチしない人材の振り分けに、時間やコストが増加すれば意味がありません。

さらに、国際的HRテック組織「TA Tech」によると、欧米企業はすでに「プログラミング・リクルート技術」に着手。人事業務のオートメーション化からAI雇用まで、このトレンドは2019年も衰えを見せることはなさそうです。

ちなみに「オートメーション」は、「自動化」という意味で、すでに欧米の人事界では浸透してきているものです。
履歴書選考を例にとると、人事担当者が履歴書を一つひとつ読み適切なスキルを探し当てることは、大変な労力を要する作業です。ところが、オートメーションを使うと、必要スキルが記載された履歴書を瞬時に見つけ出すことが可能になり、作業効率化が図れます。

また、AI雇用において話題になってきているのが「プログラマティック広告」。運用型広告とも呼ばれ、欧米ではすでに定着してきたマーケティング手法です。

このプログラマティック広告を利用し、アルゴリズムを用いた適材をターゲットにした求人広告を出す方法が今後さらに普及すると見られています。何十億もの分類データからAIが機械学習機能によって随時分析、職務内容に合った人材が頻繁に見ているサイトを割り出し、より適切なサイトに求人広告を掲載することが可能に。さらには、AIによるデータ・ドリブン予算は、膨大な企業の広告費が全体予算の30%にも及ぶのが一般的だと言われる欧米で、大幅な予算削減に繋がると見られています。

それに加え、米コンサルティング会社「Forrester」によると、2020年までにグローバル企業のうち20%がAI技術を活かした「チャットボット(対話=chatとロボット=botを合わせた造語。ユーザーや企業を繋ぐコミュニケーションツールの一つとして期待されている)」を導入するだろうと予測しています。

チャットボットは、応募者のステータス変更などのアラート機能もついているため、優秀な人材を他企業に奪われる前にコンタクトを取るなど、即座の対応を可能にします。特に、チャットボットへ抵抗がない「ミレニアル世代」や「ジェネレーションZ」にとっては、応募者のファーストコンタクトや、簡単な質問に回答させるツールとして活用できそうです。

コスト削減や採用プロセスの効率化など、テクノロジーが人事業務においてもたらすメリットは非常に大きいものです。また、それによって「人事の仕事がロボットに乗っ取られるのでは?」という声が上がっているのも事実です。

英国の大手HR情報総合サイト「Personnel Today」によると、「インテリジェント・オートメーション」と呼ばれるIoT導入によるデータ分析や情報の判断によりもたらされるものは、65%の大手企業が「むしろ脅威ではなく好機だ」と捉えています。ただ、人事で人の仕事がすべて消失する心配は、もう少し先のようです。

まとめ

クリエイティブ業界においても、面接でチームに相応わしい人柄、デザインや作品の良し悪しを最終判断するのは、やはり「人間の役割」。ひと頃騒がれたように、すべての業務がロボットやコンピュータに取って代わられるということはまずなさそうですが、AI雇用やHRテックが人事の在り方を変えることは間違いないでしょう。

2019年、HRテックで遅れを取らず、先端テクノロジーにアップデートすることで、優秀なディレクターやクリエイターの確保と維持を目指したいですね。

参考:
Personnel Today
https://www.personneltoday.com/hr/artificial-intelligence-recruitment-hr-webinar/

HR news
http://hrnews.co.uk/10-disruptive-hr-tech-trends-for-2018/

PandoLogic
https://www.pandologic.com/employers/recruitment-industry/how-hr-tech-trends-will-affect-the-industry-in-2019/

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