もっと詳しく!「派遣スタッフの同一労働同一賃金」

もっと詳しく!「派遣スタッフの同一労働同一賃金」

働き方改革関連法の一つである「同一労働同一賃金」

前回は、派遣スタッフの同一労働同一賃金について、簡単な概要をお話しました。
今回は、もっと詳しく知りたい!というご担当者様向けに、より深く掘り下げ、派遣スタッフに対する同一労働同一賃金の考え方、各企業へ求められる対応について解説していきます。
 

派遣スタッフの同一労働同一賃金には【2つのパターン】がある!?

厚生労働省は、派遣スタッフの同一労働同一賃金について、各派遣会社が以下2つのうち、いずれかの方式を選択し対応するよう求めています。
 
① 派遣先企業の正規雇用者と比較!「派遣先均等・均衡方式」
  
1つ目は「派遣先均等・均衡方式」といい、同一労働同一賃金のルール通り、派遣先で同じ仕事をする正規雇用者と、賃金を含め同じ待遇とする考え方です。
派遣先均等・均衡方式
引用元:「派遣先の皆様へ」厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000497032.pdf)

「派遣先企業」に求められる対応

派遣先企業は、派遣スタッフと同じ仕事をしている自社の正規雇用者(『比較対象労働者』と呼びます)を決定し、「職務内容・待遇・考慮事項」さらには、この「比較対象労働者の選定理由」や「待遇情報」等を事細かに派遣元に伝える必要があります。
 
具体的には、以下の5点を書面で提供します。
 
提供する待遇情報
1.比較対象労働者の職務内容、および配置の変更範囲、雇用形態
2.比較対象労働者の選定理由
3.比較対象労働者の待遇内容(昇給、賞与、その他の主な待遇がない場合には、その旨も含む。)
4.比較対象労働者の待遇の性質、および当該待遇を行う目的
5.比較対象労働者の待遇を決定するのに考慮した事項

「派遣会社(派遣元企業)」に求められる対応

派遣会社は、派遣先企業からの提供情報に基づき、基本給・賞与・諸手当なども含め、派遣先の労働者と同等になるよう、各派遣先企業ごとに、派遣スタッフの待遇を検討・決定します。
 
派遣先企業にとっては、都度様々な情報をまとめて、かつ事細かに提供する必要があり、派遣会社もすべての取引において待遇の調整が必要になるため、この「派遣先均等・均衡方式」を採用している企業は少ないものとみられます。
 
② 一般賃金と比較!「労使協定方式」
  
「労使協定方式」では、同じ都道府県で働く同職種に従事する正規雇用者の平均的な賃金(以下、一般賃金)と比較し、待遇を決定します。
 
基準となる一般賃金は、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」もしくは「職業安定業務統計」のいずれかを参考とし、1年ごとに設定をします。
※ユウクリでは、掲載されている職種の分類がより細かいことから「職業安定業務統計」を参考としています。
労使協定方式
引用元:「派遣先の皆様へ」厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000497032.pdf)

「派遣会社(派遣元企業)」に求められる対応

まずは「労使協定」を結びます。
締結しなければならない内容としては、労働者の過半数代表者(組合がある場合は過半数組合)と上記内容について協議、協定を締結します。
 
また、留意点として「教育訓練」と「給食施設、休憩室および更衣室(以下福利厚生施設)」の2点についても、派遣先の待遇に合わせる必要があるため、派遣先と同等、あるいは同等待遇になるよう派遣先に依頼しなければなりません。

「派遣先企業」に求められる対応

上記の通り、「教育訓練」と「福利厚生施設」の2点は、派遣先の待遇に合わせなければならないことから、下記の2つを派遣元に情報提供しなければなりません。「派遣先均等・均衡方式」のように、基本給や待遇全般の情報提供をする必要はありません。
 
提供する待遇情報
1.派遣労働者と同種業務に従事する労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練(法第40条第2項の教育訓練)
2.給食施設・休憩室・更衣室(法第40条第3項の福利厚生施設)

★要チェック!★「情報提供」に関する注意点

派遣会社への情報提供をするにあたり、以下の点に注意が必要です。
 
・口頭ではなく、必ず書面で交付する(FAX、電子メールなど)
・派遣会社は書面などを、派遣先企業は当該書面などの写しを派遣が終了した日から3年経過するまで保存する
・派遣先からの「待遇情報提供」がない場合は「労働者派遣契約」を締結してはならない
 
なお「教育訓練」と「福利厚生施設」の2点は、少なくとも、派遣先企業が自社社員・派遣スタッフの均等を図らなければなりません。
 

まとめ

今回解説した通り、自社で直接雇用する労働者のみならず、受け入れている派遣スタッフに関しても、待遇差の解消のための改善や配慮が求められています。
また、利用する派遣会社によって対応方法・内容が異なりますので、派遣先企業・派遣会社間で密に連携を取り、対応していくことが大切です。

以上、派遣社員に関わることは勿論、何かお困り事や不明点がございましたら、
お気軽に各営業/サポート部担当までお問い合わせください!

株式会社ユウクリ
カスタマーリレーション部(サポート部)
担当:小野木・鈴木
Mail:support@y-create.co.jp
TEL:03-6712-7970