【ブックレビュー】クリエイターが『面白い企画』を出すために一番必要なこととは?

ポスターのコピーやテレビCMを見て「おっ、これは面白い!」と思わず引き込まれることがありますよね。これを思いつくクリエイターは、すごいひらめき力を持っているんだろう…と思っていませんか?でも実は、面白い企画には必ず「理由」があるのです。そこを論理的に突き詰めることで、あなたの企画力が飛躍的にアップするはず。今回は、電通のクリエイティブ・ディレクターである髙崎卓馬氏の著書『面白くならない企画はひとつもない』を参考に、その秘訣を探ってみましょう。

 

『セツメイ病』に陥っていないか?

クライアントからCM制作やキャンペーンの企画などを依頼された時、あなたがまず考えることは何でしょうか?

一般的には、クライアントのオリエンテーションを聞き、その意図や課題を正しく把握しながら、それを世の中にどう伝えていくか…などと考えることが多いのではないでしょうか。
でも実は、ここに落とし穴があるのです。

電通のクリエイティブ・ディレクターであり、株式会社「宣伝会議」が主宰する講座『髙崎卓馬のクリエイティブ・クリニック』で講師を務める髙崎氏。
クリエイターたちの様々な企画に目を通す中、面白くない企画は『セツメイ病』にかかっているということに気づきました。自分の考えや宣伝する商品を「面白く説明する」ことばかりに気を取られ、本質を見失っていると言うのです。

「オリエンされた『伝えたいこと』をそのままに企画をするのではなく、問題を大きく捉え直すと企画の鉱脈がこつ然と現れる」

と髙崎氏は言います。

1.その商品や企業の存在意義は何か。
2.どうして今、それが出てきたのか。
3.この時代にそれが必要だと感じてもらうためのポイントは何か。

それをひたすら考え抜くことで、いい企画が浮かび上がってくるのです。

「伝える」広告から『伝わる』広告へ

髙崎氏は本書の中で、東日本大震災後にヒットした「BEAMS」の『恋をしましょう』という広告を例に取って「どのような思考を経て、このキャッチコピーにたどり着いたのか」を説明しています。

「BERMSとは何か。そこを丁寧に考えました」
「いい表現は『ひとを動かすもの』です。『ひとをポジティブな方向にいつのまにか動かす』ものです。そんな思考回路でWHAT TO SAYを探していきました」

そうやって、まず「何を悩むのか」を決めて論理的に考え、そして、ひたすら考え抜いた末に浮かんできたのが「恋をしましょう」というフレーズだったのです。

「この言葉しかない、と書いた直後に思いました」
「よくアイデアが降りてくるといわれますが、何もない時に天の啓示のようにひらめくということは絶対にありません。自分の脳がどんな答えを欲しがっているのか、それを自覚できているからアイデアに気がつくことができるのです」

商品や企業の良さをただ「伝える」のではなく、「伝わる」広告、つまり受け手が何かを感じて動き出すようなものを創ることが大事だと髙崎氏は言います。それこそが広告の本質なのです。

『広告警察』で企画をするための脳を鍛えよう

何か面白い企画を考えようとする時、いろいろな案をどんどんと考えていくうちに、いつの間にか何が「いい企画」なのかわからなくなってしまうことも、クリエイターが陥りがちな落とし穴の一つです。

特に、クライアントの要望を真面目に聞いて、クライアントに「選ばれる」企画をつくりたいと考える人は、判断の基準が「他人からの目」になってしまうため、「自分は何をつくりたいか」を考えられなくなってしまう、と髙崎氏は言います。

「なにがいい企画か、その基準を最初につくれるか」
「いい企画ができた瞬間の感覚を体で覚えること」

そのために、本書で提案しているのが「自分の企画をどんどん追い込んでいく」と言う訓練。
とにかく何か一つ企画をまとめ、その長所と短所を考えます。そして、その長所を伸ばすように企画を考え直し、その後、短所をなくすようにさらに練り直します。これをひたすら繰り返すのです。

そうやって自分の脳を追い込んでいくと、やがて「これだ!」と思う瞬間がやってくるのだそうです。そして、その感覚を味わうことが大切なのです。

企画の長所と短所を考える時は、まるで他人の企画を見るように、冷静で客観的な目で見つめなければなりません。そのいい練習になるのが『広告警察』と言う遊びです。

『身の回りにある広告を標的にして、その広告の長所や短所を考える』と言うような簡単な作業ですが、これが冷静に表現を見つめる際に必要な「客観性」を鍛えるために役立つと髙崎氏は言います。

実際、髙崎氏は20代後半に「カンヌライオンズ」に行った時、その応募作品をノート片手に観まくり、面白いと思ったらその場で理由まで書きなぐったそう。さらにホテルに戻ってから、その作品たちを「ミスリード型」、「誇張型」、「ワンカットもの」…というように回路ごとに整理し直して、帰国後はそのすべての回路で企画が出来ないかを試したと言います。

こうした膨大な試行錯誤こそが、「いい企画」を生み出す礎にもなっているのでしょう。

つまるところ、「普遍的」なものが一番面白い

テレビを見ていると、「au」の『三太郎』シリーズや「サントリー」の『宇宙人ジョーンズ 地球調査中』シリーズなど、長年にわたって続いているストーリー性のあるCMが目につきます。
内容が面白ければ視聴者の印象にも残りますし、様々なキャンペーンを連動させたりすることも可能になるなど、その影響力は計り知れません。

髙崎氏はカンヌで多くの作品を観る中で、シリーズ展開の面白いものはことわざに近いものが多いことに気づいたそうです。

「僕たちが腹の底から面白いと感じるものはそういう普遍性のあるものだったりするのかもしれません。普遍的な面白さを手に入れるとその映像は、時や世代を超えることができるし、国境や文化を越えることもできる」
「普遍とは本質です。本質に近づいたものは時間の波に流されず落語や映画と同じように輝き続ける」

企画を考える時、ただ手法を追いかけるだけだったり、無理にディティールにとらわれすぎたりすると、本質的な面白さが見えなくなってしまい、ありきたりなものになってしまうのです。

「人間はどうしようもなく面白い。それを僕たちはあらゆる手を使って表現しているだけなのかもしれません」

この髙崎氏の言葉を常に心にとめて、真っ向勝負で課題に挑んでみましょう。そうしてひたすら考え抜いたその先に「面白い企画」が見えてくるはずです。

まとめ

今回、ご紹介した本書は、株式会社「宣伝会議」の特別講座『髙崎卓馬のクリエイティブ・クリニック』を元に、実務に役立つ知識とノウハウをまとめたものです。生徒の方々が実際に書いた課題コンテもたくさん掲載されており、それぞれついて髙崎氏が長所と短所をわかりやすく解説しているので、とても勉強になります。

また、髙崎氏が実際に書いた企画書や、普段どんなふうに企画を考えているかといった具体的なノウハウも散りばめられているので、クリエイティブな企画脳になるためにも、一度目を通されるとよいと思います。

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