【100万人を超える「ママワーカー」が会社を救う!】第2回〜ママワーカーを雇用時に外せない「短時間勤務」のホントと活用企業のメリット〜

前回(第1回~ママワーカーはおいしい人材!? 数字から見る実情とその理由~)に続き、「ママワーカー(クリエイター)」の雇用で知るべきことなどをお伝えしていきます。第2回目の今回は、ママワーカーとは切っても切れない「短時間勤務」です。前回お話ししましたが、就業希望のママワーカーは「潜在的就業希望者」を含めると、100万人以上を超えています。ただ、この「短時間勤務」制度はいろいろな問題点をはらんでおり、その現状を知る必要があります。さらに企業独自の規則を導入し、ママワーカーと企業双方のメリットにつながっている好事例もお伝えしていきたいと思います。

 

「短時間勤務」とは? 制度についてのおさらい

多くの方が耳にする「短時間勤務」。「時短」などの言葉で耳にしている方も多いのではないでしょうか。まずはこの制度について軽くおさらいをしましょう。

実は、この「短時間勤務」は法律にて定められているものです。言葉は知っていても法律は知らないという方は多いと思われます。
その法律「改正育児・介護休業法」では、100人以上雇用している企業では平成22年6月より、100人以下の企業では平成24年7月より施行と定められており、つまり、現在はすべて事業主に義務化されているものです。

気になる内容は、『「3歳に満たない子を養育している」労働者に関して、1日の所定労働時間を「原則として6時間とする短時間勤務制度」を設けなければならない』という定めです。

また、この制度は正規雇用と非正規雇用の区別はなく、パートでも週3日以上働いており1日の労働時間が6時間を超える人に適用されます。
ただし、適用にあたっては、「1年以上雇用されていること」かつ「勤務日が週2日以下でないこと」があります。そして、上記の短時間勤務が難しい場合には代替措置として以下の制度もあります。

短時間勤務制度を講ずることが困難な労働者については、次のいずれかの措置を講じなければならない
●育児休業に関する制度に準ずる措置
●フレックスタイム制度
●始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)
●事業所内保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与

(出典:厚生労働省発行 育児・介護休業制度 ガイドブックより)


 

「短時間勤務制度」の盲点

この「短時間勤務制度」ですが、下記のような問題点があります。

1つ目に、3歳以上になると、企業の「義務」ではなく「企業努力」として企業側に委ねられ、各企業の采配に準じることになります。
ですので、特別なにかをしなくても問題ないとも言えてしまいます。

この問題点としては、自分の勤務している会社が3歳以上の子に「短時間勤務制度」を設けていない場合は、そこで時短勤務が終了してしまうこと、ここで保育園などの託児が見つけられない時は最悪の場合、退職、もしくは転職を余儀なくされます。

2つ目に、3歳以下の場合であっても、短時間勤務制度は上記記載のように
「1年以上雇用されている人」が対象になる
ということです。つまり、通常はもとの会社へ復職することが前提となっています。
もしそうでない場合、転職先に法定以上の「短時間勤務制度」の規定がない限り使えず、さらに、勤め先が決まらないと保育園には入れない(特例を除く)、という八方塞がりに陥ります。

また、クリエイター業務に関していえば、比較的残業も多く、深夜の対応が必要な場合さえあります。法律上の「短時間勤務制度」だけでは、子育てと仕事の両立が難しいケースが多く、退職かフリーランスか?ということになります。


 

子育て世代から見ると、不思議に思える制度

先にも触れてきた通り、そもそも、この制度における対象の子供年齢が3歳未満という、育児をする親からすると腑に落ちない年齢規定となっています。

確かに3歳になれば「幼稚園(認定こども園も含む)」という選択肢が増えますが、多くの幼稚園は保育園と異なり始業も遅く、幼稚園に預けてから出勤していたのでは間に合いません。さらに、待機児童などで保育施設が増えてはいるものの、3歳から預け先を見つけるのはかなり困難です。
結局、子供が生まれた時点で保育園にいれなければならず、いったい誰の何のための制度なのか?と首を傾げざるを得ないのです。

これを象徴するかのようなアンケート結果が出ています。
平成27年度に厚生労働省が委託調査をした「仕事と家庭の両立支援に関する報告書」によると、

●現在または過去に「短時間勤務制度」を利用したことのある対象者に対して、子供が何歳まで利用を希望したいか

1. 男性・正社員では〈2歳未満〉が25.0%と最も多いが、〈2歳以上3歳未満〉と〈3歳以上就学前〉も2割強

2. 女性・正社員では〈3歳以上就学前〉が27.8%と最も多く、その次に〈手がかからなくなるまで〉が16.5%

3. 女性・非正社員では〈手がかからなくなるまで〉が 33.3%ともっとも多く、その次に〈3歳以上就学前〉が28.3%

《対象年齢:20歳~49歳/ 下記 計3,500人 》
●男性・正社員(末子が3歳未満の正社員・職員1,500人)
●女性・正社員(末子が小学校就学前の正社員・職員1,000人)
●女性・非正社員(末子が小学校就学前の非正社員・職員(パート、アルバイト、契約社員、派遣労働を含む)1,000人)

となっており、制度と利用者のニーズが合致していません。
女性の活躍促進を謳う昨今ですが、このような状況が積極的に就業へ踏み出せない足かせとなっています。
(出典:厚生労働省委託調査 平成 27 年度 仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書労働者アンケート調査結果より)

 

企業努力が実を結ぶ!? 会社の独自視点で導入している「短時間勤務制度の実例」

では、各企業はどうしているのでしょうか。

「企業努力」の好事例として、3件の企業について見てみましょう。

●サイボウズ株式会社(情報通信業)
社員の1/3が女性であり、将来的な出産・子育てを考慮し、仕事と家庭の両立を可能とする働き方を整備し、2006年8月から短時間勤務制度を導入。大きな特徴として、出勤日数および時間を各自が自由に決められるようになっていること。
利用者の勤務パターンは、「週4日勤務の定時出勤・退社」「週4日勤務の10:00~17:00」「週5日勤務の9:00~16:00」「週3日勤務の10:00~18:00」など。
また、この制度における期間の定めや適用事由、条件については限定せず、1年単位で制度を選択する制度にしている。

●アサヒビール株式会社(製造業)
導入は1991年だったが、2010年に制度を拡充。「ショートタイム勤務制度」とし、育児・介護だけでなくワークライフバランスの推進、資格取得など自己研鑽と仕事との両立も可能にした。また、短時間勤務制度の拡充(就業免除時間を1時間45分から2時間まで拡大)も行った。
短時間正社員は、子供が中学校就学前まで制度利用できるので、育児休業取得後の復帰率はほぼ100%となっている。さらに、法定基準を上回る多様な支援制度も導入、それらを組み合わせて従業員の様々なニーズに応えている。

●日本ビジネスアート株式会社(クリエイティブ業)
ディレクターやデザイナー、Web系クリエイターなど、幅広い職種において短時間勤務の正社員の採用を促進している。
自分のライフスタイルにあわせ、勤務時間を自由に選べる(平日9:00~18:00の間で1日4~7時間、例: 10:00〜16:00や13:00〜17:00など)。さらに部分的に在宅勤務も認められ、柔軟性を持ったワークスタイルになっている。時短勤務には、こどもの年齢制限もなく、中学生、高校生になってもOK。
また、労働時間ではなく成果で評価。時短・フルタイム関係なく昇給や賞与の基準も同じであり、時短社員がフルタイムの社員よりも給与が高い場合も。子供の急な発熱による早退、当日欠勤のサポート体制も整備し、余裕を持ったスケジューリングとフォローメンバーの配置などを行っている。
その他、基本的に残業や持ち帰り仕事もないようにしている。
(参照:厚生労働省短時間正社員制度導入支援ナビ日本ビジネスアート株式会社HPより)


 

実際導入したところの成果はいかに?

今回は上記3社をあげましたが、ここに実例を載せられなかった企業も概して同じようなことを伝えていたので、下記にまとめてみました。

1. 「制度があることの安心感」から離職率が大きく減少し、継続就労する意欲が高まっている(=人材育成のコスト削減、即戦力の確保)
2. 企業としての対外的なイメージアップにつながる(=企業ブランディング、マーケティング)
3. 短時間勤務をしている社員や管理職がいる職場では、能動的な職場の効率化が進み、一人あたりの労働生産性が高まった(=生産性向上、労働の効率化)

「短時間勤務制度」について見てきましたが、法定通りの制度だけでは、現実と大きな隔たりがあると言えます。
一方、ママクリエイターを雇用する際、上記の好事例のように、社員のニーズや状況を加味して、社則の定義付けを洗い直せば、上記3つをはじめとした大きなメリットがある可能性があります。さらに、企業側には、条件が合えば助成金などの具体的なメリットも出てきます。

次回はこの「助成金」について触れたいと思います。

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