人材と助成金を同時に確保できる!?『多様な正社員制度』導入のススメ

『多様な正社員制度』導入のススメ

2007年に「ワーク・ライフ・バランス憲章」が策定されて以降、10年の年月が経とうとしています。ワーク・ライフ・バランスという言葉は、これまでの場合、育児をしながら働く女性のイメージがありました。
しかし、最近はそのイメージが変わりつつあります。
団塊の世代が定年を迎え、3人に1人が65歳以上となる「超高齢社会」がすぐそこまで迫っています。65歳以上の高齢者の親を持つ働き盛りの30~40代のサラリーマンにも、突如として親の介護の必要性が生じる可能性があります。

 

正社員が抱える不安とは

フルタイムで働く正社員が育児や介護をしながら継続して働く場合、不安要素となるのは「勤務時間」や「転勤への不安」でしょう。
特にクリエイティブ業界は、比較的残業が多く、かつ深夜帯の対応が求められるケースが多く、両立に悩むクリエイターが多い傾向にあります。
また、人事異動が発令された場合、家族を残して行くのか、家族全員で引越しするのかも、悩ましいところです。

仕事を続けられるか不安を抱き、育児や介護を理由に退職する社員は後を絶ちません。そして、今後も介護を抱える社員が更に増加することが予想されるため、会社側は早急な対策を打つ必要があります

 

『多様な正社員制度』の活用

このような事態に備えるための有効な方法の一つに『多様な正社員制度』の導入があります。

通常、正社員とは、雇用期間に定めがなく、かつフルタイム勤務の者のことをいいます。
一方『多様な正社員』とは、通常の正社員と比較して勤務地や業務内容、時間が限定された社員のことで、具体的には以下のような種類があります。

1.勤務地限定正社員:勤務地が限定されており、転勤がない正社員
2.職務限定正社員:担当業務の内容が限定されており、配置転換がない正社員
3.短時間正社員:労働時間がフルタイム勤務より短い時間帯で契約、または残業を免除された正社員

社員が抱える事情に応じた制度を設けることで、継続勤務を希望する正社員が増え、会社側も貴重な戦力の流出を防ぐことができます

また、昨今では高年齢者雇用安定法や労働契約法が改正されたことで、高年齢者や有期雇用者の無期労働契約への転換が求められています。
このような場合、『多様な正社員制度』が導入されていれば、これらの労働者を希望や能力に合わせた働き方で雇用することが可能となるのです。

 

転換させれば40万円!「キャリアアップ助成金」

『多様な正社員制度』には、他にも大きなメリットがあります。
制度を導入し、正社員以外の雇用形態で働く者を多様な正社員に転換させることで「キャリアアップ助成金」の対象となり、国から助成を受けることができます

助成を受けることが可能なケースには、たとえば次の内容があります。
・優秀な成績をあげているアルバイト社員を『職務限定正社員』に転換させ、さらに職務にまい進してもらう
・育児をしながら働くパートタイム労働者を『短時間正社員』とし、勤務時間はそのままで働いてもらう

このような方法を取ることで、転換させた人数に応じて一人あたり最大40万円(大企業の場合は30万円)の助成を受けることができます。

また、転換の対象とする社員が「ひとり親家庭の親」である場合は、加算額が上乗せされます。
一般的な家庭に比べ、生活に不安を抱えたひとり親家庭の親は、何よりも安定した待遇を求めるものです。『多様な正社員制度』を活用することで、育児をしながら安心して働くことが可能となるため、仕事へのモチベーションアップにつながることが予想されます。

さらに、これまで『多様な正社員制度』を導入していなかった会社が、『勤務地限定正社員』や『職務限定正社員』へ転換できる制度を新たに導入した上で社員転換を行った場合は、一事業所あたり最大10万円(大企業の場合は7.5万円)加算されるという特典もあります。

制度の導入にかかる手間賃と考えたとしても、中小企業にとってまとまった金額が助成されるため、検討する価値はあるでしょう。

 

就業規則の改訂ポイント

実際に『多様な正社員制度』を導入する場合は、就業規則の改訂が必要です。

方法としては、まず「社員の定義」という項目を設けた上で、各転換制度について定めます。
転換制度には、転換できる社員の要件や、『多様な正社員』それぞれの勤務場所、業務内容、時間を詳しく列挙する必要があります。

ポイントは、社員の定義として正社員や契約社員、パートタイム労働者、アルバイトなど、会社で考えられるすべての雇用形態を列挙し、その上で『多様な正社員』について詳しく明示することです。
これにより、会社側・労働者側がともに望む働き方へ転換するための選択肢が増え、先ほど説明した「キャリアアップ助成金」の対象とすることができます。

 

生活スタイルに合わせた働き方を希望する人は、今後も増えることが予想されます。
正社員の種類を多様化することで、これまでフルタイム勤務や人事異動への不安に苦しんでいた優秀な人材に対し、新たな活躍の場を設けることができます。
『多様な正社員制度』は、労働者だけではなく、会社側にも非常に有効な制度であるといえるでしょう。

 

─────お気軽にお問合せください!─────

★クリエイター・デザイナー派遣・正社員の求人の依頼はこちら

★事例集の無料ダウンロードはこちら

SNSでもご購読できます。