
入社当初はソワソワしていた新入社員も、次第に個性を発揮し始める頃。日々の指導や面談などで、接し方に疑問や悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
新卒と言えば、毎年恒例の『〇〇型』。去年は『ドローン型』でした。今年も「公益財団法人 日本生産性本部」による調査に基づきながら、2017年の新卒社員の特徴を解説します。新人との接し方のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
■2017年新入社員のタイプは『キャラクター捕獲ゲーム型』
「公益財団法人 日本生産性本部」の調査によると、2017年新入社員のタイプは『キャラクター捕獲ゲーム型』。スマホをじっと見つめながら外に出て歩き回る、昨夏大流行したあのゲームと今年の新入社員の特徴がズバリ合うとのこと。
どういった特徴なのかを見ていくと……
・スマホ必須の就職活動
キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ。一方で、レアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNSを駆使して情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。(引用)
・熱しやすく冷めやすい傾向も
必死になりすぎてうっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬように注意が必要だ。はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向も(早期離職)。モチベーションを維持するためにも新しいイベントを準備して、飽きさせぬような注意が必要(やりがい、目標の提供)。(引用)
引用元:公益財団法人 日本生産性本部/新入社員意識調査・特徴とタイプ
http://www.jpc-net.jp/new_recruit/
いかがですか?皆さんの回りの新入社員に当てはめてみると、なるほど、と感じる方も多いのではないでしょうか。
2017年は、昨年に引き続き新卒採用に積極的な企業が多く、「大学等の卒業予定者の就職内定率」(厚生労働省・文部科学省)では2月1日時点で90.6%と、リーマンショック前の水準を上回り、2000年以来最も高くなりました。
売り手市場の中、企業も人材確保のためにSNSなどを活用するケースが増え、その結果、スマホを使った素早い情報収集が就職活動を成功させるカギに。スマホゲームの流行もあり、イチ早い情報収集を得意とする人が多い一方、どこかゲーム感覚が抜けきらず、飽きやすい傾向もあるようです。
■2016年は『ドローン型』、ここ数年の傾向は?
それでは、ここでいったん、同調査での近年の結果はどうだったのか振り返ってみましょう。
今年の新入社員のタイプだけでなく近年の新入社員ならではの特徴を掴むことで、見えてくる傾向もあります。
●2016年度『ドローン型』
・強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった。
・夜間飛行(深夜残業)や目視外飛行は規制されており、ルールを守った運用や使用者の技量(ワークライフバランスへの配慮や適性の見極め)も必要。(引用)
●2015年度『消せるボールペン型』
・見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。
・ただ注意も必要。不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。(引用)
●2014年度『自動ブレーキ型』
・知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。
・人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要。(引用)
引用元:公益財団法人 日本生産性本部/新入社員意識調査・特徴とタイプ
http://www.jpc-net.jp/new_recruit/
以上、過去3年の結果を見てみると、時代に即した能力は備えているものの、馬力不足やプレッシャーへの弱さなどが指摘されています。ライフワークバランスが重視されるようになり、残業や社会的意義よりもプライベートの充実を優先したいという気持ちも背景に見え隠れします。
今年の新入社員も同様の傾向がありますが、新しいことに飛びつくフットワークの軽さ、チャレンジ精神というものは、過去とは少し違う特徴として挙げられそうです。
受け入れ側は、そんな彼らのモチベーションを上げ、仕事の喜びを味わってもらえるような環境づくり、声掛けを心がることが大切ですね。
■■2017年の新入社員とうまくつきあっていくいは?
『キャラクター捕獲ゲーム型』というと、ゲームに例えている分、真剣味が足りないような印象を持つかもしれませんが、そういう意味ではありません。ただ、何事もゲーム感覚で捉えてしまい、飽きたらすぐ手放すといった傾向はどうもありそうです。
そこは、仕事に伴う責任感をいうものをしっかりと説き、社会人として育ててあげていけるようフォローが必要と思われます。また、あまり説教じみた接し方や、濃厚なコミュニケーションは嫌がられる傾向もあるので、上下関係を押し付けるよりも、ライトでフラットな関係性を意識するのがよさそうです。
ライトでフラットなコミュニケーションを好む傾向があるものの、コミュニケーション自体にネガティブなわけではない新時代。特に共通の話題や興味には前向きです。『キャラクター捕獲ゲーム型』だけに、真正面からスマホゲームの話題など振ってみると、案外話も盛り上がり、彼らとの距離をぐっと縮めることができるかもしれませんよ。