配慮義務となった均衡待遇の確保~2015年派遣法改正のクリエイティブ業界への影響

2015派遣法改正

今回の改正により「派遣スタッフと派遣先の労働者等との均衡待遇の確保」が、派遣先の「配慮義務」となりました。
では、「均等待遇の確保」はどのような内容なのでしょうか。

 

賃金等の情報提供等の配慮義務

「等」が多い配慮義務ですが、具体的には下記のようになります。

派遣元に対し、下記のような情報提供に対する配慮義務。
・自社の同業務に従事する従業員の賃金水準
・同職種の採用情報を公開したことがある場合、その情報
・その職種の一般的な賃金相場(業界における平均賃金など)

例えば、グラフィックデザイナーの派遣スタッフの受け入れをする際に派遣元から確認があった場合は、
・自社にもグラフィックデザイナーが在籍しているのであれば、その方たちの賃金水準を
・グラフィックデザイナーの採用情報(求人情報)を出したことがあればその情報を
・クリエイティブ業界において、グラフィックデザイナーの平均賃金等の情報を把握している場合にその情報を提供するよう検討しなければいけません。

もちろん情報提供の「義務」ではないので、提供の可否についてしっかりとした議論がなされた結果であれば、提供しないことも可能です。
(自社の賃金水準や求人情報を提供しないとなると、相応の理由が必要になるかと思いますが・・・)

なお、派遣元には、これらの情報をもとに派遣スタッフの賃金水準などの「改善」が求められており、一般的な派遣料金に対し派遣先の社員や業界の賃金水準が低い場合であっても、派遣料金(派遣スタッフの賃金)の引き下げは行わないよう指針が出されています。

 

教育訓練を派遣スタッフにも実施する配慮義務

自社で雇用するデザイナーに対し、日常業務とは別にスキルアップのための教育訓練を実施することがあるかと思います。
もしこの教育訓練の内容が業務に密接した内容である際は、派遣スタッフにも実施するよう配慮しなければいけなくなりました。

ただし、下記のようなものであれば不要・実施しないと判断することも可能です。

・業務に密接していないと考えられる内容
例:グラフィックデザイナーに対し、自己啓発系の教育訓練を行う
・派遣スタッフには既に十分なスキルがあると判断できる内容
例:InDesignの基礎セミナーを実施するが、派遣スタッフには既に経験・スキルがある
・コストが高額になる
・派遣元でも実施している内容と重複している

 

派遣スタッフに対し福利厚生施設の利用の機会を与える配慮義務

自社の社員が利用する福利厚生施設・・・食堂や休憩室、更衣室などを、派遣スタッフも利用できるよう配慮しなければいけないという内容です。

前述の2項目と合わせ旧法では努力義務とされていましたが、特にこの項目については派遣契約書に「福祉増進のための便宜供与」として記載されることが多いので、以前から対応されていた派遣先も多いのではと思います。

ただ、今回からは配慮義務となり、自社の社員とまったく同じ取り扱いができない際でも例えば時間をずらして使用できるよう調整する、食堂は使えないが食事券の配布をするなど、可能/不可能の二択だけでなく、不可能であれば相応の代替案で対応をするような配慮(検討)も必要となってきます。

 

配慮義務は努力義務以上・義務未満ということで若干グレーな立ち位置ではあります。
(配慮義務についてはコチラの記事をご確認ください)
とは言え、派遣法の改正・議論の方向性としては、今回取り上げた「均衡待遇の確保」はより強く求められていく傾向にあります。そのため、「どのように実施できるか」をぜひ前向きに検討いただければと思います。

 

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