【36協定にご注意】改定のポイントと注意点を解説

「働き方改革」が進む中、クリエイティブ業界にも大きな影響が出ています。
中でも注目すべきなのが36協定の「残業規制」。2019年には大企業、2020年には中小企業へと段階的に適用され、派遣社員にもそのルールが及んでいます。制作の繁忙期が偏りがちなクリエイティブ業界でも、これまでの働き方を見直す必要に迫られています。
正社員・派遣社員の両方に関わる「36協定」も含め、最新の制度を正しく理解しておきましょう。

また、36協定を遵守しながら、企業が成果を上げる方法についても解説しています。
制度をしっかりと理解し、遵守するとともに、社員にとってよりよい労働環境をつくるヒントをご提案します。

※最終更新2025年7月8日

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おさらい~そもそも36協定とは?~

労働基準法にて、原則として働いてよいのは「1日8時間/週40時間」「法定休日:毎週少なくとも1日以上」と定められています。
この法定労働時間を超えて社員に時間外労働をさせる場合や、法定休日に労働させる場合には、労使協定の締結および、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります
この労使協定が労働基準法第36条に基づく労使協定=「36協定(さぶろくきょうてい)」と言われるものです。

つまり、社員に残業をさせるには36協定が必要となります。おそらく、一切残業がないという企業はほぼないでしょうから、いずれの企業も36協定の締結・届け出をしているはずです。

また、自社の社員はもちろん自社の36協定に準じますが、派遣で活躍しているデザイナーなど、派遣社員は派遣元企業の36協定が適用されることになります
派遣デザイナーを受け入れしている企業は、派遣元企業から36協定の内容の共有を受け、残業時間がその範囲内に収まるように時間管理をする必要があります。

36協定で使われる「時間外労働」とは、上記の「法定労働時間=1日8時間/週40時間」を超える時間に働くことを指します。
そのため、例えば自社の就業時間が9:00~17:00(休憩1時間)などの「実働7時間労働」の場合は、就業時間後である17:00以降働いた時間すべてではない点にご注意ください

従前の36協定は?

36協定は、大まかには2段階に分かれています。

・基本  :残業時間を月45時間・年360時間までOKとする
・特別条項:特別な事情がある場合は、自社で定める月・年の上限まで可能

「特別条項」における上限は、厚生労働大臣の告示によって基準はあったものの、これに対する罰則等はありません。
そのため「特別条項付きの36協定」を結べば、実質上限なく残業ができる状況となっていました。

36協定はこう変わった!押さえておきたい変更点

2020年4月1日より、企業規模に関わらず、すべての企業で「残業規制」が実施されることになりました。
変更点は以下の通りです。

罰則規定の制定

違反した場合に、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が定められました。そのため、36協定を無視することができなくなりました。

月45時間を超えて残業できるのは年6回まで!

基本の「月45時間」を超え、特別条項の範囲で働くことができるのは、年6回までとなります。
逆に言えば、6ヶ月は時間外労働を月45時間以内に収める必要があります。

1ヶ月の時間外労働時間の上限は100時間未満

単月で見たときに、「残業時間が100時間を超えてはいけない」となりました。つまり、「特別条項」で定めることができる月の上限は100時間未満となります。

複数月の平均は80時間以内まで

例えば直近の2ヶ月が、それぞれ「60時間」「80時間」残業したとすると、平均は「70時間」となります。このように、直近2ヶ月、直近3ヶ月……直近6ヶ月と見ていったときに、平均時間を80時間以内にする必要があります。

上記の通り、時間外45時間超過は年6回までです。2ヶ月連続で45時間を超過する場合などがあり得ますが、その最長が6ヶ月連続となるため、直近6ヶ月の範囲で見る必要があります。

また、1ヶ月の上限自体は100時間未満ですので、例えば「90時間」等に設定することができますが、2ヶ月連続で90時間残業をした場合は平均が80時間を超えてしまうため、この規制に引っかかることになるので注意が必要です。

1年間の上限は720時間以内

時間外労働時間について、1ヶ月の上限は100時間、複数月の平均は80時間以内と上限が定められたのと同様に、年間においても上限が定められました。
それが「720時間」となります。

仮に6ヶ月を複数月の平均上限の80時間で働くと480時間。そうすると残り6ヶ月は240時間までとなり、月平均で可能な時間外労働は240時間÷6ヶ月=40時間/月となります。
この6ヶ月はそもそも上限45時間以内にする必要があるので、そのように考えると比較的厳しくない時間と見えますが、とはいえ知らず知らずに超えることのないよう気を付けましょう。

※一部の業種(建設業、運送業、医師など)については、時間外労働の上限規制の適用が2024年4月まで猶予されていましたが、2024年4月からはこれらの業種にも同様の規制が全面的に適用されるようになりました。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 分かりやすい解説」

「上限さえ守ればいい」ではダメ!企業が気を付けるべきこと

「残業規制」における変更点は、主に各上限時間が定められたことと、それを必ず守らなければいけなくなったことです。

しかし、企業経営・企業活動において、上限を守りさえすればいいという考えは誤りです。
企業が労働者と良好な関係を築き、細やかな配慮を怠らないことが何より重要であり、その結果として従業員のパフォーマンスも向上するでしょう。

業務量が多く、時間外労働が増えがちなクリエイティブ業界において、下記の点にしっかり気を付けましょう。

労働者に対する安全配慮義務

仮に36協定内の時間外労働だとしても、労働者の健康などに配慮する義務があります。

45時間、80時間、100時間という上限時間設定自体が、いわゆる過労死ライン(健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間)とリンクして検討された時間ではあるのですが、この設定を下回っている状態でも、万が一のことがあれば企業責任を問われる可能性があります。

そもそも、上限に達してないから問題ないということではなく、普段から社員・デザイナーの健康には気を配るべきです

採用力や社員・デザイナーのパフォーマンスへの影響

現在、多くの企業が「働き方改革」に取り組み、クリエイティブ業界だけを見ても以前に比べかなり残業時間が少なくなっています。その中で、残業規制ギリギリまで残業のある企業は、転職希望者にはどのように感じられるでしょうか。
もちろん、マイナスイメージを与えてしまいます。

また、デザイナーがよりよいパフォーマンスを発揮できる環境を考えた際に、やはり日々残業に追われている状況よりも、オンオフがしっかりあり、毎日イキイキ働ける状況の方がいいことは確かです。

「採用力」や「社員・デザイナーのパフォーマンス」など、企業力を上げていくためには時間外労働削減の取り組みが必要です。
以前の各社横並びで残業がある環境から、現在では各社が様々な努力で残業を減らしています。今後は残業ありきで考えるのではなく残業を減らしていくこと自体も企業競争力の1つとなっていきています

36協定を遵守しながら、企業が成果を上げる方法とは?

より厳しくなる「残業規制」について、ご理解いただけましたでしょうか。
「働き方改革」における「残業規制」のポイントは残業上限が厳しくなったこと。
そして、結果として残業を減らすことが企業力に直結する時代になってきているという変化が生じています。

それでは、残業時間を減らしながら企業が成果を上げるためにはどうしたらよいのでしょうか?

外注や業務委託を活用する

残業時間を減らすためには、例えば「外注・業務委託」を検討しましょう。

昨今はクラウド系サービスによりフリーランスへの発注が比較的簡易になってきています。
ユウクリでも業務委託サービスを行っていますが、「納品報酬型(請負)」と「時間報酬型(準委任)」があり、必要に応じて使い分けができるほか、派遣と同様にユウクリが人選をするのでデザイナーのスキル面を担保することが出来ます。また、ユウクリとの業務委託契約=企業間取引になるため、個人との取引ではないなどのリスクヘッジも可能です。

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スポット派遣や短期派遣を活用する

その他にも、1日~数日程度の「スポット派遣」や、1ヶ月程度の「短期派遣」のニーズも高まっています。
必要な時に必要な期間だけデザイナーを確保できるので、自社の状況に応じて、フレキシブルにクリエイターの増員ができる点がメリットです。
なお、ユウクリのスポット派遣は前日18時までにご依頼いただければ、希望に沿ったクリエイターの派遣が可能です。

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派遣や業務委託を上手に活用し、理想的な労働環境づくりを

本記事では、36協定の改定による変更点を解説しました。
また、それに伴う変化として、クリエイティブ業界における労働環境改善の重要性もご紹介しました。
「働き方改革」が進む今、自社の労働環境を今一度振り返り、課題があればすぐにでも改善を進めることが重要です。

社内の業務状況の把握や外部リソースの活用で36協定を遵守し、労働時間の管理を行いましょう。

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