【ブックレビュー】人を動かす企画を立てる! 『「ついやってしまう」体験のつくりかた』

世界で1億台売れた大ヒット商品「Wii」の開発に携わった元・任天堂の企画開発者、玉樹真一郎氏が執筆の『「ついやってしまう」体験のつくりかた』。この中で、玉樹氏は「ゲームはどうやって心を動かしているのか?」を突き詰めることで、「心を動かす体験のつくりかた」を導き出しました。今回、その法則をわかりやすく、面白く解説した本書から人を動かす「直感・驚き・物語」の仕組みを学んでみましょう。

「つい」やりたくさせる「直感のデザイン」

商品開発でも広告でも、イベントやプロジェクトなどの企画でも、人が「つい」手に取りたくなったり、「つい」やりたくなるような仕掛けを組み込むことができたら、その企画は「成功」と言えるでしょう。近年、電車の中でスマホゲームに熱中している人の姿をよく見かけますが、なぜそれほどまでゲームにハマってしまうのでしょうか。

その疑問を解くために、 玉樹真一郎氏の執筆書籍『「ついやってしまう」体験のつくりかた』では、世界一売れたゲームとしてギネスブックにも登録された「スーパーマリオ」を例に取り

「このゲームは、何をしたら勝ちでしょうか?」

と問いかけます。「何をそんな当たり前のことを…」と思った方もいるかもしれません。しかし、実際に考えてみると、意外と明確な答えは出てきません。それもそのはず、玉樹氏曰くこの問題に答えられる方はほぼゼロという難問なのです。

ここで答えを明かすとネタバレになってしまうので解答は本書に譲りますが、この問いについて考えていくうちに、ゲームというものの本質が明らかになっていきます。ゲームはおもしろいから遊ぶのではありません。「つい思いついちゃった、ついやっちゃった」から遊ぶんです。ゲームで遊ぶ時、人は「こうやるのかな?」と仮説を立て、実際に試してみてその仮説が当たって喜ぶ、という心の動きを繰り返しています。

「私たちの脳は、常に『〇〇するのかな?』という次の行動について仮説をつくりたがっている」

と玉樹氏は言います。だから、この「仮説→試行→歓喜」という自発的な体験を引き出すことができれば、人は「つい」やりたくなってしまうのです。つまり、「〇〇するのかな?」「やってみよう!」と思わせるような企画を考えればいいわけですね。それこそが「直感のデザイン」なのです。

飽きずに続けさせる「驚きのデザイン」

「直感のデザイン」では仮説と試行を繰り返します。ただし、「〇〇するのかな?」と考えてやってみる時、「これで本当に正しいのだろうか?」という不安も同時に生まれます。それがうまくいけば「不安→歓喜」と言う心の動きが発生しますが、これを何度も繰り返していると、今度はだんだん気疲れしてきます。さらに、同じような体験が何度も続くと、人は飽きてしまいます

この疲れと飽きに対処する例として本書で紹介されているのが、「ドラクエ」に出てくる「ぱふぱふ」です。善なる勇者が悪を倒すという基本的にはシリアスな冒険物語である「ドラクエ」の中に、なぜちょっとエッチな「ぱふぱふ」が出てくるのか。
玉樹氏によれば、学習すべき内容が多く緊張感のあるストーリー展開だからこそ、「ぱふぱふが心をつかむ」のです。

「プレイヤーに『ぱふぱふのようなくだらない話なんか出るはずがない』と思わせた時、初めてぱふぱふは意味を持つ。予想外のものが目の前に現れた時、私たちの心は疲れや飽きをかなぐりすてて、興奮します。つまり、ぱふぱふの本質は、予想が外れるという体験にあるのです」

この脳の予想を外す体験をあえて織り交ぜるテクニック「驚きのデザイン」です。「驚きのデザイン」は、「誤解→試行→驚愕」と言う心の動きを生み出します。つまり、「こうなるだろう」という誤った仮説を立て、やってみたら、予想外の結果になって驚く一連の体験をつくり出すことで、疲れや飽きが払拭され、長時間やり続けることが可能になるのです。

心を動かす「物語のデザイン」

「直感のデザイン」「驚きのデザイン」を織り交ぜることで、飽きずにゲームを続けさせることができます。でも、そもそも何のためにゲームをするのでしょう?ゲームなんて時間の無駄と考える人もいます。

玉樹氏はゲームを通して「プレイヤーが成長することこそ、ゲームの意味であり、意義」だと言います。意義があってはじめて、人の心は動きます。このプレイヤーを成長させる体験デザイン「物語のデザイン」です。

では、現実世界でプレイヤーを成長させるためには、どんな架空の物語を描けばいいのでしょうか。玉樹氏は以下の3つのモチーフを挙げていました。

1.架空の物語の中に穴を設けたり全体像を予感させたりすることで、穴を埋めるための「収集・反復」へとプレイヤーを導く
2.リスクとリターンのある選択肢を設定し、プレイヤーが自らの勘を頼りに「選択・裁量」し、自分なりの冒険を組み立てるよう仕向ける
3. 問題を発生させることで、プレイヤーの心に「翻意・共感」を生じさせる

玉樹氏によると、これら3つのモチーフを通し、ゲームを遊ぶという体験はただの娯楽からプレイヤーを成長させる手段へと、その意味を変えていくのです。

「体験デザイン」を仕事に生かそう

本書ではゲームを例に取り「人の心を動かす体験のつくりかた」を解き明かしていますが、この手法を普段の生活や仕事に活かす方法も紹介されています
例えば、企画を考える時にいいアイデアが出なくて、考えること自体が苦痛になってしまうことがあります。そんな時は、疲れを払拭する「驚きのデザイン」の考え方を応用してみましょう。

行き詰まってしまう時は大抵「どうすればお客さんの心を掴めるか」「どうすれば上司を納得させられるか」と言ったように、他人について考えているものです。そこで玉樹氏は、視点をガラリと変え予想外のもの、例えば、自分のプライベートに目を向ける方法を提案しています。

「みなに秘密にしている/人前で言えないこと」を考えてみる。一見、企画とは関係なさそうですが、「これは人前では言えないな」と言うようなことをイメージしていくうちに、自然と脳が活性化され、様々な考えが浮かんできます。そして、こうした思考の断片の中から「自分にとって大切なことは何か」が見えてくるのです。

「思考の断片は、いわば直感のもとです。気づいたり、思いついたり、確信したり。そんな体験を連続させることができれば、企画を考えるという体験は、まるでゲームのように楽しくてやめられないものへと変化します」

こんな風に「企画を考える」と言う体験そのものをデザインすることで、自分をやる気にさせることができるわけです。本書では、チームでの話し合いやプレゼンテーションなどに体験デザインを活かす方法も紹介されています。これらも併せて参考にしてみるとよいでしょう。

まとめ

実は、この本自体も「体験デザイン」の考え方を駆使してつくられています。随所に「つい」ページをめくりたくなるような仕掛けが施されているので、思わず読み進めてしまいます。つまり、この本を読むだけでも、体験デザインの面白さを実感できるのです。理論を学びながら、同時に体感もできるお得な本とも言えます。あなたもぜひ、玉樹氏が描く「体験デザインの世界」にハマってみてください。

出典:「ついやってしまう」体験のつくりかた ダイヤモンド社

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