【働き方改革関連法 第4回】「フレックスタイム制の見直し」が、デザイナーをもっと働きやすくする!?

「フレックスタイム制」は、実は30年も前に導入された制度です。とは言え導入している会社はそこまで多くなく、「知ってる、知ってる。通勤ラッシュを避けて出社できる制度でしょ?」なんていう人も多いかもしれません。今回の「働き方改革関連法」では、このフレックスタイム制がさらに使いやすくなります。その具体的な内容と、クリエイティブ業界やクリエイター・デザイナーにとって、この制度を利用して効率よく働くヒントを紹介します。

 

そもそも「フレックスタイム制」ってどんな制度?

フレックスタイム制は「1日の労働時間を固定的に定めず、労働者自身が始業時間と終業時間を原則として自由に決めること」ができる制度です。1987年の労働基準法改正により導入されました。

一般的には、1日の労働時間帯をコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)フレキシブルタイム(その時間帯の中であれば、出社または退社をいつしてもよい時間帯)にわけ、このフレキシブルタイムを活用して柔軟な働き方を推奨しています。
ただし、コアタイムは必ず設けなければならないものではなく、労使間の合意によって「労使協定」で定めれば、労働時間帯すべてをフレキシブルタイムにすることも可能です。いわゆる「フルフレックス」です。
また、曜日によってコアタイムの時間帯を変えたり、コアタイムをわけて設定することもできます。

東京労働局では、以下のような基本モデルを挙げています。

出典:東京労働局「フレックスタイム制の適正な導入のために」

導入にあたっては「労使協定」で労働時間における清算期間を決め、その期間内に労働すべき時間(総労働時間)を定める必要があります。
総労働時間には上限があり、1週間当たりの労働時間が40時間以内になるように定めなければなりません。総労働時間を超えて働いた場合は、時間外労働となり、それに応じた規定の賃金が支払われます。

この清算期間は、これまで1ヶ月以内と定められていましたが、今回の働き方改革関連法で「3ヶ月以内」に改正されました。これにより、さらに導入企業が増えることが期待されます。


出典:厚生労働省「労働基準法等の一部を改正する法律案について」

 

フレックスタイム制導入の現状

では現在、フレックスタイム制を導入している企業はどのくらいあるのでしょうか?

厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、平成27年度の導入状況は、従業員1000人以上の企業で21.7%、300~999人の企業では13.2%ですが、全体では4.3%となっています。
またその割合の推移を見ると、平成4年以降は横ばい、もしくは若干下降しているようにも見えます。

なぜ、導入が進まないのでしょう?


出典:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成28年度版」

厚生労働省が行った「裁量労働制等に関するアンケート調査」(平成25年実施)を見ると、フレックスタイム制について、「制度の運用上、不便を感じたことがあるか」という質問に対し、47.9%の企業が「ある」と回答しています。
さらに「具体的に不便を感じた点」について、なんと94.2%もの企業が「清算期間が短い」と答えています。この結果を見る限り、今回の改正で清算期間が長くなれば、フレックスタイム制がより使いやすくなり、導入する企業も増えるのではないかと考えられます。

厚生労働省「裁量労働制等に関するアンケート調査」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000034821.pdf

 

フレックスタイム制、どう使う?

広告、出版、Web系などのクリエイティブ現場では、時間に縛られない自由な働き方のほうが生産性が上がりやすいという面もあり、すでにフレックスタイム制を導入している企業も多いでしょう。
ところが、その勤務形態が当たり前になり、意外と「有効活用」できていないという人もいるかもしれません。

よくあるパターンとしては『残業で遅くなったから、翌日は遅めに出社し体力回復を図る。夕方の用事に備え、朝早く出勤し早めに退社する。また、通勤ラッシュ回避のために出社時間を前後にずらす』などの使い方もよく聞きます。

単なる時差通勤や体力調整など以外に、フレックスタイム制を違う点から見て、もっと「意識的に有効活用」している人もいます。どんな使い方をしているか、ちょっと覗いてみましょう。

1.早朝出勤で仕事の能率を上げる

朝7時頃には出社して、9時の始業前にひと仕事する人がいます。

「始業前は電話もかかってこないし、誰かに話しかけられ仕事が中断することもない。自分のペースで集中できるので、企画書や報告書をまとめるスピードがぐんと上がります」

また、この時間にスケジュール帳をチェック、その日の段取りを決めてから仕事に取りかかることで、効率アップを図るという人もいました。

2.充実の朝活で自分を高める
出社時間を遅くして、朝の時間を自分の趣味や勉強にあてるという人もいます。
近年では、朝7~9時ぐらいに勉強会やセミナーを開催している団体もあり、早朝レッスンを行う英会話スクールも増えています。

例えば「朝活ナビ」というサイトでは、さまざまな団体が主催する朝活セミナーやイベント、勉強会がまとめられています。目標設定や脳力アップ・投資セミナー・英会話カフェ・ビジネス交流会など、多岐にわたる活動が紹介されています。「何から始めたらいいのか?」という人はぜひ覗いてみるのもよいでしょう。

目の前の仕事に追われているだけでは、飛躍的な成長は望めません。「成功する人」はどんなに忙しくても、常に自分をレベルアップさせる努力をしています。

朝活ナビ
https://asakatsu.org/

3.退社後に習い事やジム通いでリフレッシュ
退社時間を早め、ジムで汗を流したり習い事や趣味のサークル活動に通う人もいます。
元同僚は出版社勤務の傍ら趣味のピアノをずっと続けており、各地の演奏会にも参加しています。ピアノでつながった仲間から新たな演奏会の誘いがあったり、思わぬところで仕事に結びつくことがあったそうです。人生と仕事の幅も広がりそうです。

4.生活に変化をつけるクリエイティブ的「手段」

筆者が大学を卒業し勤め始めたばかりの頃、ある上司からこう言われました。
「クリエイティブな仕事をするなら、常に発想力を磨かなきゃダメだ。毎日同じことの繰り返しではアイデアも浮かばない。だから僕は毎日、必ず違うルートを使って出勤するようにしているんだ」

会社勤めは、日々の生活がルーティン化しがち。そんな時、わざと遠回りしたり寄り道したり、いつもと違う景色を眺められます。フレックスタイム制を利用すれば家族がいても「帰宅時間」に影響を与えにくいのです。普段とは違う時間帯の電車に乗るだけでも、客層が違ったりと新たな発見もあるかもしれません。

5.子育てや介護との両立
保育園の送り迎えや介護のために、フレックスタイム制を利用する人もいます。少子高齢化社会の中で働き続けるためには、こうした制度を使い、柔軟な対応が絶対的に必要です。
また、「帰宅時は子供達が就寝しているので、出社時間を遅くし、朝に子供達と触れ合う時間を作る」という声も聞きます。金曜日に早く退社すれば、週末と合わせ2泊3日の家族旅行にも出かけられます。充実した家族団らんの一時を過ごせば、また仕事へのエネルギーも湧いてくるでしょう。

 

新たな改正が働き方の幅を広げる

これまで1ヶ月以内だった清算期間が「3ヶ月以内」になることで、フレックスタイム制がさらに使いやすく働き方の幅を広げる可能性が出てきます。

1.繁忙期と閑散期で勤務時間を「相殺」
特にクリエイティブ企業はこの清算期間延長がフレックスタイム制を後押しする原動力になるかもしれません。

「今月はプロジェクトと締めの連続で、残業続きだ」などの場合、これまではその月での清算がルールだったので、週40時間以外の超過勤務分は「割増賃金」で支払われていました。3ヶ月になれば、例えば年度末の多忙な3月の超過分を、5月の勤務時間を短縮することで調整ということも可能になるのです。

2.子どもの長期休みに合わせて調整

「子どもが夏休みの間は短時間勤務にしたい」と思うママクリエイターも多いのではないでしょうか。むしろ、夏休みに子どもをどうするか頭を悩ませている方の方が多いかもしれません。

今回の改正で、この課題が解決できるかもしれません。
8月に週当たり35時間だったとしても、その前後3ヶ月以内に週当たり45時間働けば、月をまたいだ相殺が可能だからです。家庭の事情と仕事の状況を鑑みて、働き方をフレキシブルに変えられれば、誰にとっても「働きやすい社会」が実現しそうですね。

 

まとめ

フレックスの導入は、就業規則の変更や実際の運用時の時間管理など、ちょっと手間がかかります。その手間をかけるだけのメリットがあれば導入する企業は増えるかと思いますが、既存の制度では少し悩ましいものがありました。これに対し、今回の改正によってメリットや使い勝手がより向上しそうです。
デザイナーをはじめとしたクリエイターを多く雇用している企業にとっても、社員の働きやすさ、あるいはパフォーマンスの向上という観点で一考の余地があるのではないでしょうか。

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