急成長を遂げるインターネット広告。最新の動向を解説!

日本の広告業界において、インターネット広告は、近年、目覚ましい伸びを見せています。株式会社電通が発表した「日本の広告費」によると、2014年インターネット広告費が初めて1兆円を超えました。今回は、今後もさらなる伸長が見込まれるインターネット広告の最新動向についてご案内します。

 

右肩あがりに成長するインターネット広告費

日本の広告業界において、近年、インターネット広告が急成長を遂げています。

テレビや新聞などを含めた総広告費に対するインターネット広告費の割合は年々増加しています(2014年17.1% → 2015年18.8% → 2016年20.8%)。また、インターネット広告費の伸び率の高さは、広告費前年比においてひとつだけ群を抜いている状況です。

インターネット広告費は「媒体費」「制作費」によって構成されていますが、2014年には、それらを合わせたインターネット総広告費が初めて1兆円を超え、話題となりました。その後もインターネット広告費の伸長はとどまらず、2016年には「媒体費」のみでも初の1兆円超えを遂げています(1兆378億円)。

インターネット広告は、このような目覚ましい成長ぶりから、近い将来、テレビと並ぶ巨大メディアとなるのではという予測も立てられています。実際、現状の成長速度のままですと、2020年前後にテレビを抜くペースです。
また、日本の広告市場は、だいたいアメリカの市場の5年遅れぐらいのサイクルで動いています。そのアメリカでは2015年にテレビの広告費をインターネットが上回りました。この点からも、2020年前後が1つの分岐点になるのではと予想されています。

 

「媒体費」と「制作費」とは?

インターネット広告費は、前述の通り「媒体費」「制作費」に分けられています。
インターネット広告の「媒体費」とはサイトやアプリ等への広告掲載費用です。一方の「制作費」は、その名の通り掲載する広告制作費のことで、デザイン制作や撮影などにかかった費用、制作会社や広告代理店へ支払う費用などを指します。

もともと推定が始まった当初は媒体費だけを出していたのですが、2007年に、4大マスメディア同様制作費も補足することになり、経年数値を追うという意味で媒体費とは分けて制作費の推定が続けられています。
ちなみに、4大マスメディアで制作費が明らかにされているのは地上波CMのみ。そのほかは制作費込みの広告費という数値が推定されています。

 

PC広告よりもスマホ広告の伸びが好調!

成長目覚ましいインターネット広告ですが、デバイス別ではどのような動きを見せているのでしょうか。

株式会社サイバー・コミュニケーションズと株式会社D2Cの調査によると、2016年度のインターネット広告費の媒体費1兆378億円のうち、スマートフォン広告費が6476億円と全体の6割を占め、PC広告費は3902億円にとどまっています
2015年度からの推移をみると、スマートフォン広告費は前年比130%、PC広告費は前年比93%となっており、スマートフォン広告費の伸びが好調であると共にPCからスマートフォンへのシフトが進んでいることが分かります。2017年度もこの傾向が続くことが予測され、スマートフォン広告費は、媒体費の69%にまで達するのではないかと見込まれています。

 

インターネット広告の種類と運用型広告の伸長

インターネット広告にはさまざまな種類がありますが、大きく「予約型広告」「運用型広告」に分けられます。

「予約型広告」とは、掲載期間や掲載内容、掲載金額等が事前に決められている広告で、純広告、タイアップ広告などが含まれます。

「運用型広告」は、広告の最適化を自動的にもしくは即時的に支援していく広告で、検索連動型広告(リスティング)、ディスプレイ広告、youtubeなどの動画広告、SNS広告などが含まれます。
効果測定を行いながら配信方法や予算を調整していくことができるため、売上や目標達成度等を把握しながら広告を打てます。また高いリーチが期待できる点やブランディングとしての効果もあることからも、広告主はこの運用型広告を重視する傾向があります。

実際、インターネット広告費に占める運用型広告の割合は前年比118.6%の7,383億円という数値が出ており、今後も市場規模はさらに大きくなると予想されています。

 

運用型広告のトレンドは?

ひとつは、動画広告のニーズが継続的に拡大していることがあげられます。
スマートフォンやSNSの普及し、気軽に動画を見たり投稿できたりする時代。特にスマホネイティブ世代は、写真よりも動画によるコミュニケーションが目立つようになり、そうした背景から、企業はプロモーションやマーケティングの手法として動画に力を注いでいる傾向が見受けられます。

また、もうひとつのトレンドとして、FacebookやTwitterに見られるインフィード広告(コンテンツとコンテンツの間に表示される広告)が新たな成長領域として注目されています。
株式会社サイバーエージェントの調査によると、2016年度のインフィード広告市場は1401億円に達し、前年比180%と大幅な成長を見せています。ユーザーの目に入りやすいインフィード広告は大きな広告効果があり、広告主からの支持も高いため、予想を上回る成長を遂げているのでしょう。

 

参照URL
株式会社電通「日本の広告費#04」
http://dentsu-ho.com/articles/4923
株式会社電通「2016年日本の広告費」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0223-009179.html
株式会社サイバー・コミュニケーションズ「2016年日本のインターネット広告市場規模推計調査」
http://www.cci.co.jp/news/release/2017_04_17/1.html
株式会社AZ「運用型広告概要」
http://www.azkk.co.jp/unyogatakokoku/index.html
株式会社サイバーエージェント「サイバーエージェント、インフィード広告市場調査を実施」
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/info/detail/id=13301

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