【助成金】人材育成支援制度「キャリア形成促進助成金」がリニューアル!その名も「人材開発支援助成金」

過去、優クリLabでも取り上げたことのある企業の人材育成をサポートするための助成金「キャリア形成促進助成金」が、平成29年4月にリニューアルしました。細かに内容が変更となることはあったのですが、今回は助成金の名前自体も変更、「人材開発支援助成金」となりました。リニューアルの内容や、リニューアルによるメリットなどを解説いたします。

 

企業の人材育成・キャリア支援をバックアップしてきた助成制度がリニューアル!

人口減少や少子高齢化の影響により、労働力不足に悩む企業は少なくありません。また、人口の推移に加え、長時間労働に対する規制が強まったことで、一人の労働者に負担をかけすぎない風潮が強まり、新たに労働者の採用を検討している企業もみられます。

24時間営業の取りやめや営業時間を短くする店舗、配送料の値上げを図る宅配業者など、大手企業による人手不足を原因としたサービス内容縮小の話題については、一度は耳にしたことがあるでしょう。
クリエイティブの業界を見てみても、残業時間や休日出勤をはじめとする各種働き方の見直しをしている企業が増えています。

今後は、社員一人ひとりの存在は今後もより重要視されることとなり、優秀な社員の育成や囲い込みへの対策は急務となります。

そのような中、会社の発展に欠かせない人材育成をサポートする助成制度「キャリア形成促進助成金」が、平成29年4月に「人材開発支援助成金」として生まれ変わりました。これまでの制度よりも、よりわかりやすく、一部の制度においては助成要件も緩和され、取り組みやすくなったと言えます。

それでは、そのリニューアル内容について具体的に見ていきましょう。

 

「人材開発支援助成金」とは?

「人材開発支援助成金」は、先に説明したように、キャリア形成促進助成金のリニューアル版となる助成制度です。そのため、助成制度の内容は前回とほぼ同じです。
会社が労働者に対して職業訓練を実施した場合や人材育成制度を新たに導入した場合に、訓練にかかった費用や訓練期間中の労働者の賃金の一部を支払う仕組みとなっています。

助成制度の内容は主に「訓練関連」「制度導入関連」の2種類に分類されます。
訓練関連の場合、社員の職業能力開発を目的とした具体的な計画を策定し、計画の内容に沿って訓練を行った事業主に対して助成金が支払われます。
一方、制度導入関連の場合、導入する制度の概要を計画として提出し、OKをもらった計画に沿って制度の導入や実施を行った事業主に対して助成金が支払われます。

 

リニューアルして変わった点とは?

・生産性要件
大きく変わった点としては「生産性要件」が新たに設けられたことです。
ただ単に人材育成のための活動を行うだけではなく、社員のレベルがアップすることで、結果として会社の生産性をアップさせる段階までつなげていってほしい、という国の見解が込められています。

生産性要件とは、助成金の申請を行う日を基準とし、その直前期の会計年度で割り出された「生産性」が、3年前の年度と比較して6%以上アップしていることです。
この要件をクリアした場合、通常より多くの金額が助成されることになります。金額については、この後の項目で詳しく見ていきましょう。

生産性を求める計算式は、下記の式を用いて算出することができます。
営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課÷雇用保険被保険者の数

この生産性は、厚生労働省による「生産性要件算定シート」を使って計算することも可能です。
下記のサイトでダウンロードすることが可能であるため、有効活用してください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html
(厚生労働省)

なお、生産性要件をクリアするためには、数値の達成に加え、要件の計算元となる期間に会社都合で解雇者を出していないことが必要条件となるので、注意しましょう。

・メニューの統合
次の変更点は、助成制度のメニューの一部が統合されたことです。

キャリア形成促進助成金における「重点訓練コース」「雇用型訓練コース」「一般形訓練コース」「制度導入コース」という4つのコースが、人材開発支援助成金では「訓練関連コース」「制度導入関連コース」の2つへ統合され、より分かりやすいメニューとなりました。

また、活用されるケースが多い「制度導入関連コース」は、リニューアルにより「教育訓練・職業能力評価制度導入助成」が廃止されたことも大きな特徴です。

これにより、制度導入関連コースは下記の2つのコースで再編されることになりました。
キャリア形成支援制度導入コース:セルフ・キャリアドック制度、教育訓練休暇等制度
職業能力検定制度導入コース:技能検定合格報奨金制度、社内検定制度、業界検定

ここでは「業界検定」というメニューが新たに加わりました。
業界検定とは、スキルや経験を客観的な視点で判断しにくい接客業などを対象とした検定制度のことで、人を相手としたサービスを生業とする会社では重宝されることが予想されます。

その他の変更点としては「訓練関連コース」の「成長分野等・グローバル人材育成訓練」の内容についてです。
具体的には、「成長分野等」の助成対象時間の要件が、これまでの20時間以上から10時間以上に変更されたことです。時間の要件が緩和されたことで、より取り組みやすくなったことが特徴となります。なお、支給限度額が1,000万円に変更されたこともあわせて覚えておきましょう。

 

助成金額はいくらなの?

具体的な助成金額は、制度に応じて異なります。
まず、「訓練関連」の場合、訓練コースとトレーニングの内容に応じた、以下の金額が設定されています。

1.特定訓練コース
・OFF-JTを実施した場合:
受講した労働者1人・1時間あたり760円(生産性要件クリア時は960円)
受講にかかった経費の45%(生産性要件クリア時は60%)

・OJTを実施した場合:
受講した労働者1人・1時間あたり665円(生産性要件クリア時は840円)

2.一般訓練コース
OFF-JTを実施した場合:
受講した労働者1人・1時間あたり380円(生産性要件クリア時は480円)
受講にかかった経費の30%(生産性要件クリア時は45%)

特定訓練コースの方が高く設定されているのは、職業能力開発促進センターが実施する専門性が高い訓練や、生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練となっていることが要因の一つです。
その他、若年労働者に対する訓練や熟練技能を要する訓練、海外業務に従事する人材を育てるための訓練なども特定訓練に含まれています。
なお、OFF-JTの賃金助成の限度時間は1,200時間、OJT実施助成の限度時間は680時間です。

次に、「制度導入関連」の場合です。かかった経費や賃金ではなく、一律で金額が定められていることに特徴があります。

1.キャリア形成支援制度導入コース:47.5万円(生産性要件クリア時は60万円)
2.職業能力検定制度導入コース:47.5万円(生産性要件クリア時は60万円)

上記の助成対象となるには、最低基準となる「最低適用人数」と「最低適用日数」をクリアすることが必要です。
最低適用人数とは雇用保険の被保険者数のことで、最低適用日数とは教育訓練休暇として与える日数のことです。

この人数と日数は企業の規模に応じて異なり、具体的には下記の人数となります。
a.最低適用人数
50人以上 :5人
40人以上50人未満:4人
30人以上40人未満:3人
20人以上30人未満:2人
20人未満     :1人

b.最低適用日数
50人以上     :25日以上
40人以上50人未満:20日以上
30人以上40人未満:15日以上
20人以上30人未満:10日以上
20人未満     :5日以上

最低適用人数は、制度導入に関する計画届を出す段階でクリアしていなければなりません。
したがって、「計画届の段階では3名不足しているが、数か月後に新たに3名採用することでクリアする」などの場合は認定されないため、注意が必要です。

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