こんにちは!クリエイターワークス研究所(CWL)です。
今回は、未経験からデザイナーの道を歩んだ田中真優さんにお話しを伺いました。
大学時代、偶然手にした雑誌が人生を大きく変えるきっかけとなった田中さん。心理学部出身ながらデザイナーを目指す決意を固め、働きながら学ぶ“2足のわらじ生活”を経て念願のデザイナー職に。デザイナー職に就くまでのストーリーや、特に努力したことなどを教えていただきました!
◆役割:グラフィックデザイナー
◆制作物: 特にBtoBの展示会などのイベント関係の制作物。グラフィックデザイン全般、映像関連のキービジュアル、Webサイト、イベントプロモーション関連デザインなど。
デザインの奥深さの魅力に取りつかれた瞬間――1冊の雑誌が人生を変えた!
――クリエイティブに興味をもったきっかけは何でしたか?
デザインというものに心が動いた最初の瞬間は、大学生時代に図書館で『広告』という雑誌を手に取った瞬間です。表紙がとてもユニークかつキャッチーだったんですよ。中を読み進めていくと、最初にどこに目を引いてもらうかなどの綿密な構造やデザインの細部へのこだわりなどが書かれていて、クリエイティブの熱気のようなものを感じ、デザイナーに興味を持ちました。
――美術大学に通われていたのですか?
いえ、違うんですよ。広告業界に就職する人はほとんどいない大学でしたし、私自身は心理学部で学んでいました。就職活動をするときには、すでに「クリエイターになりたい」と決めていたので、クリエイター職種を受けまくったんです。正直、まったく知識も経験もなく、当然、ポートフォリオなどもない状態でしたが、東京にある映像制作会社から内定をいただくことができました。人柄勝負というか、「なんでもします!」みたいな意気込みが買われたのだと思います。
――未経験でデザイナーにすんなりとなれたということですか?
その映像制作会社に入社するときには「ゆくゆくはデザイナー職で…」という話だったのですが、入社後は、ディレクターのアシスタント、プロデューサーのアシスタントのほか、プランナーの仕事に携わることになりました。CMやyoutube、アーティストのプロモーションムービーなどを作る仕事が多く、大きな仕事にコンペから携わることができて、それなりにやりがいはありました。
――転職を決意したのはデザイナー職への執着から?
そうですね。デザインの仕事への執着はずっとありました。事情があり、その映像制作会社を辞めて大阪の実家に帰ったのですが、諦められず。「次こそ確実にデザイナーになろう」と決意し本格的にデザインの勉強をすることにしたのです。デザインの専門学校に通う資金作りのために、勉強をしながら働ける事務の仕事に就きました。ちょうど2020年でコロナ禍ということもあり、地元にいながら、東京にある桑沢デザイン研究所の授業がオンラインで受けることができたので、今思えばジャストタイミングだったと思います。
働きながらデザインを学ぶ“2足のわらじ生活”で手に入れた念願のデザイン職
――デザインの専門学校に行って良かったことは?
桑沢デザイン研究所は、デザインに取り掛かるより前の考え方…“理由のあるデザイン”にする段階にフォーカスを当てるカリキュラムが多く、そこに惹かれて入学を決めました。実際、デザインの知識やテクニックだけでなく、今後デザイナーとして幅広く活躍していくために必要な力について、学ぶことができたと思います。
――デザインの勉強と仕事の両立は、かなり大変だったのでは?
私は2年制の夜間部だったので、平日の昼間は会社員として働き、夜18時から21時は桑沢デザイン研究所でオンラインの授業を受け、休日には課題に取り組む…という日々が2年間続きました。正直、とても大変でした。でも、1年ほど経ったときに、デザイナー職でシフトの融通がきく会社に就くことができたのです。飲食のコンサル業をしている会社で、コンサルタント先の飲食店のお弁当のチラシなどのデザインが主な業務でした。取引先とのヒアリングがあったり、短期間での作業があったりと負担が多いときも多々あり、かなり両立が大変でしたね。なるべく先回りして、早め早めに仕事を進め、学業の時間を確保していました。
――卒業後もそのコンサルティングの会社でデザインの仕事を?
はい。ただ、学業との調整をしなくてよくなっても、常に忙しい状態が続いていました。まだまだデザイナーとしては駆け出しの私が新人教育係を任され、自身の仕事もあるのに新人と一緒に考えて進めるということが続き、負担がどんどん増えてしまっている状態でした。次第に、もっと切磋琢磨しながらデザイン力を伸ばせるような環境に身を置きたいな…と考えるようになり、転職を考えるようになったのです。
――フリーランスでデザイナーとして働くという選択肢は考えなかったんですか?
今はまだまだ学ぶ必要があると思い、フリーランスについては考えませんでした。実務経験が少ない自分にとっては、企業の中にいたほうが盗めることがたくさんあると感じていました。また実際に転職して気づいたのですが、自分は、1人で作り上げるよりも、いろんな人と一緒に1つのものを作り上げていくスタンスのほうが、向いているのかなって…。だから、私の場合は企業への転職を選んで正解だったと思っています。
――転職活動を経て、日企への入社を決められたということですが…
10~15社くらい受けましたが、日企だけは面接がほかと違ったんです。初めての面接では、私自身のことを丁寧に深堀りされ、人間性やポテンシャルを評価してくださる会社なのだと感じました。企業ホームページからも、人や人の喜びなどを大切にされる会社であることは感じられていたので、ぜひ入社したいと思ったのです。
――実際、日企で働いてみてどうですか?
正直、デザイナーとしての経験がまだ少ないのもあって、アイディアがなかなか浮かばないことがあるのが、しんどいですね。でも、ベテランの方が社内にはたくさんいらっしゃって、成長する機会などが多い環境だとも感じます。
――今、田中さんが手がけている仕事は?
特にBtoBの展示会などのイベント関係の制作物が多いです。紙のデザインからWEBデザインまで携わっています。今までの制作物とはまったく違うものなので、先輩の仕事を盗みながら、日々勉強していますね。ちらっと見えた手元の操作や細かい作業も、取りこぼさないようにメモしています。Aが得意な人からはAを、Bが得意な人からBを学んで…と、そんな感じで仕事をすすめています。
今、こんな素晴らしい環境に身を置けているのはありがたいことです。
――インハウスと制作会社の違いは感じますか?
いちばんの違いは、1つの分野でのキャリアを積み重ねてプロフェッショナルになっていくか、幅広い分野の仕事に携わることで仕事の幅を広げてマルチに活躍できるようになっていくか、の違いではないでしょうか。
インハウスのときは、毎月作るものや作ったものを見る人が固定されていたのもあり、数をこなしていくことで、どんどんスピーディ、かつ、スムーズに仕事をこなしていくことができるようになりました。制作会社の場合は、いろんな業種の方々や多くの人と関わることになるため、常に緊張感があります。それぞれのニーズにこたえるため、より細部にもこだわってデザインを考えていくことが多く、日々勉強という感じです。そのぶん、臨機応変な対応力がついていくように思います。
――将来的に、どんなデザイナーになりたいと思っていますか?
現在の環境に身を置けていることは、デザイナーとしてとてもありがたいことだと思っています。日企は幅広い視野を持っている会社なので、この会社で活躍したいと思っています。1つのことに特化するプロフェッショナルももちろん素敵だとは思いますが、私は、紙やWEBなど、なんでもできるデザイナーとして会社に貢献していきたいなと思っています。
「転職前の1年間は人生で一番頑張った!」夢をかなえた今、そう、胸を張って言える
――未経験でデザイナー職に就くために、特に努力したことは?
学校に通ってデザインを学んだのはもちろんですが、さらに、コンサル会社でデザイナーとして採用されてからの1年は、仕事と学校の勉強のほかに、職場にあった先輩方が作った過去のチラシをひたすらトレースして練習もしていました。「あの1年間は本当に頑張った!」と自信を持って言えます。実務経験は少なくても、実際に手を動かして何度も繰り返した経験から得られることはたくさんあると思っていますから!
――デザイナー職は「実務経験〇年」という条件での求人が多く、未経験だからと転職を諦めている人は多いですよね?
本当に叶えたいことのためにやれることって、意外とたくさんありますよ! 直接企業に連絡をとって、実務で制作したものがないなら自主制作のポートフォリオを見てもらったりすると、採用にはならなくとも、アドバイスをいただけることもあります。思わぬことが起こるかもしれません。
――行動力が重要なんですね
転職活動していて思ったのですが、企業のなかには、その人の今の能力ではなく、これからいかに成長するかってところにフォーカスを当てているところもあります。だから、今持っている能力じゃダメだなと諦めず、チャレンジしてみてもいいと思うのです。本当に良いと思われたら、条件は満たしていなくても採用される可能性はあるかと思います。「自分はここからさらに成長できる」という思いで本気で向き合えば、道は開けるはず。ただ思うだけでなく、そのために何ができるかを整理して、行動し、進んでいくことが大切だと思います。
編集後記
以上、田中さんへのインタビューとなりましたがいかがでしたでしょうか?
今回のインタビューでは、終始、「どうしてもデザイナーになりたい」「どんなものでも手掛けられるデザイナーに成長したい」という田中さんの熱意に圧倒されました。その熱い思いが仕事と勉強の両立という大変な毎日も乗り越えるほどの原動力のもとになっていたのでしょう。実績がないから…と夢を夢で終わらせないための行動と努力をし続ける田中さんの姿は、夢をかなえたい人のお手本になるに違いありません。
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