お仕事図鑑

《お仕事図鑑vol.1》地元栃木で活躍中のフリーランスデザイナー鶴見裕也さんに聞く!なぜ【フリーランス】という働き方を選びましたか?

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お仕事図鑑vol1鶴見裕也さん

Contents

「もし今会社に勤めていたら、独立を決断できていなかったと思います」と語るグラフィックデザイナー鶴見さんのキャリア・働き方とは?

こんにちは。クリエイターワークス研究所の宮本(まるこ)です。

ユウクリが運営する「クリエイターワークス研究所」が開設6年目を迎えるにあたり、ロゴデザインをリニューアルしました。
デザインをお願いしたのはグラフィックデザイナーのSpearMint[スペアミント]代表の鶴見 裕也さん

このインタビューでは、生まれ故郷である栃木県でフリーランスとして活動されている鶴見さんに、デザイナーを志したきっかけからフリーランスになった経緯、現在のお悩みに至るまで、貴重な生の声を聞かせていただきました。

▼オンラインでのインタビュー風景

左:鶴見裕也さん 右:宮本

挫折を味わいながらも、子どもの頃からの夢を現実に

-いつ頃からデザイナーを目指すようになったのですか?

鶴見さん 
高校3年生のときですね。
子どもの頃から図工の授業で絵を描いたり粘土遊びしたりするのが好きだったんです。
小学生の頃は漫画家に、中学校の頃はイラストレーターか画家になりたいな、と思っていて、高校に進学してからも、美術やデッサンの授業を選んでいました。

だから、ある程度絵のうまさには自信があったんです。
でもその後、天狗の鼻をへし折られる経験をすることになりまして…。

-なにがあったんですか?

鶴見さん
高3の夏に、私の高校に非常勤講師として勤めていたデッサン予備校の先生から「うちの予備校に夏期講習を覗きに来ないか」と誘われて、見学に行ってみたんです。
そうしたら、予備校で学んでいる同級生は、デッサンにしても色彩構成にしても、絵の上手さの次元が違っていました。
あれは人生で3本の指に入るくらいの衝撃でしたね。

美大を目指す人たちはこんなにレベルが高いのかと。
これはとても敵わないと思いました。
その先生からは「4浪くらい覚悟すれば目指せるんじゃないか」と言われたのですが、とてもそこまでの余裕はありません。
それなら、と先生から勧められたのがデザインの専門学校である桑沢デザイン研究所でした。
よし、じゃあ桑沢に進学してデザイナーを目指そう!と決めました。

-なるほど!その夏の挫折がデザイナーへの道につながったんですね。
ユウクリにご登録いただいている他のデザイナーさんでも桑沢デザイン研究所出身の方がいますが、センスが高い印象があります。

鶴見さん
授業は大変でしたけどね(笑)。
毎日とんでもない量の課題が出るんですよ。
デザイナーとして就職した後よりも忙しかったと思います。

でもあの経験があったから今の自分があると思っています。
本当に、デザインに出会わなければ自分は今頃何をしていたんだろう?と思いますよ。
若いうちに好きなものが見つかってよかったです。

▼鶴見さんのデザイン風景

振り返ると、若いうちに独立を決意してよかった

-卒業後はデザイン会社に就職されたんですね。

鶴見さん
はい。1社目では5年弱勤務しました。
チラシからウェブサイトから、なんでもデザインする会社で、いろいろなデザイン手法を知ることができた反面、とにかく仕事の量をこなさなければいけない毎日で、提案やストーリーを考えるみたいなプロセスはほとんどありませんでした。

私はもっと商品やブランドの本質を深く考えながら作り込むデザインがやりたいと思っていて、なかでもパッケージデザインをもっとやってみたかったのですが、時間もないし、会社からも求められていませんでした。

そんな日々を鬱々と過ごしているときに、桑沢デザイン研究所でお世話になった恩師に声をかけていただいたんです。
商品プランニングやパッケージに特化したデザイン会社がデザイナーを探しているということで、これは、ということで転職しました。
振り返ると、高校時代の進路選択のときもそうですが、恩師のおかげで人生を前に進められたと感じています。

-その後、フリーランスを志した経緯を教えてください。

鶴見さん
2社目に勤めていた頃に結婚をしまして。
子どもはまだ予定がなかったのですが、もともと、子育てするなら自分が育ったふるさとでしたいと思っていたんです。
だから、地元に帰ることを前提に準備しようと。そうなると、地元にはデザイン会社もあまりありませんし、フリーランスで仕事できる環境をつくらなければいけない、と考えました。

勤め始めてから2年後に会社を辞めて独立するのですが、そのときは社長からも恩師からも止められましたね。
「30代の半ばくらいまで経験を積んで、お客様を自分でつかんで、そこから独立するのが王道だ」と。

当時私はまだ20代で経験も浅く、もっともな話なのですが、妻も働いていましたし、まだ子どももいなかったですし、なんとかなるだろうと思ったんですよね。
実際、独立当初は全くというほど仕事はありませんでしたが(笑)。

でも、あれから6年経って30代半ばに差し掛かっていますが、もし今会社に勤めていたら、独立を決断できていなかったと思います。
家庭環境も変わっていますし、経験を積んだ分、怖さも見えてしまっていますから。
20代だからこその怖いもの知らずな感覚で独立したのは間違っていなかったと思っています。

ユウクリとは独立当初からの長いつきあい

-独立された当初からユウクリとおつきあいいただいているんですよね。

鶴見さん
はい。さっき言ったとおり独立してすぐは仕事がほとんどなくて「これはヤバい!」と藁をもすがる思いでユウクリさんに電話したのを覚えています(笑)。

最初はクリプラスサービスのスポット派遣のお仕事で、その後は業務委託という形でお仕事をいただけて。
あのときは本当にありがたかったです。

実はユウクリさんのことは学生時代から知っていたんですよ。
学生の間でも「美大芸大就職ナビ」はよく知られていましたし、クリエイター系の人材紹介といえばユウクリエイトというイメージを持っていました。

-そうだったんですか!
そんな鶴見さんにクリエイターワークス研究所のロゴデザインをお願いしていると考えると、感慨深いですね。
鶴見さんといえばパッケージやブランディングデザインのイメージがありますが、そこを強みにしようと思った理由はなんですか?

鶴見さん
2社目に勤めた会社での経験が大きいですね。
ロゴひとつつくるにしても、社内ミーティングでものすごい時間をかけて検討していくんです。
デザイン案を何十個も張り出して、そのデザインにはどんな背景やストーリーがあるのかを一つひとつ説明していく。きちんと説明できなかったら全部不採用になってしまうんですよ。

そんな環境で鍛えられたので、ブランディングの重要性を身に染みて理解することができました。

その形にした理由や、それを見た人がどう思うかといった部分まで考えてつくるのがデザイナーの仕事であるというブランディングの視点があれば、どんな仕事であってもブレずにものがつくれると思っています。

▼鶴見さんのデザインプロダクション SpearMint[スペアミント]の制作事例

相手の話をよく聞いて、素人意識を忘れないこと

-今はどんなお仕事をしているのですか?

鶴見さん
ウェブサイト、ロゴ、パッケージなどのブランディングデザインが中心です。
会社のホームページをつくってほしいという依頼のヒアリングをしていて、そういえばロゴがないからロゴもつくってください、みたいに広がったり、新しい商品のネーミング提案からご依頼いただいたり、デザイン単体以外にも幅広くご相談をいただくことが多いです。

-お仕事をするうえで気をつけているのはどんなことですか?

鶴見さん
まずは相手の話をよく聞くことですね。
デザイナーに発注するのは初めてというお客様も多いので、こちらからいろいろ質問して案件の整理をすることで、よりよい提案ができるように心がけています。

普段から、人と話すときには自然と聞き役に回ることが多いんですよ。
お客様からも「鶴見さんには相談しやすいです」と言っていただくことが多くて、そこは自分の長所なのかな、と感じています。

-たしかに、鶴見さんには相談しやすいです!

鶴見さん
ありがとうございます(笑)。
しっかりヒアリングしたうえで、次はとにかく勉強します。
その企業やサービスのことを調べたり、同業他社の制作物をリサーチしたり。
常にいい意味での素人意識を持つようにしています。


こうした姿勢が評価していただけているのか、おかげさまでお客様の7割以上は、リピーターとしておつきあいが続いています。

▼鶴見さんのデザインプロダクション SpearMint[スペアミント]の制作事例

強い目的があったからフリーランスになれた

-フリーランスとして活躍するためにはどんなことが必要だと思いますか?

鶴見さん
私の場合は、地元に帰りたいという目的がはっきりしていたから独立できたと思っています。
地元には、印刷会社はあるけれどデザイン会社はない。
でもせっかくデザイナーとして頑張ってきたんだからデザイナーとして生きていきたいと思ったときに、だったら自分でやるしかない、と。

もしその目的がなかったら、今でも東京で会社員をしていたと思います。
私はもともと独立意識や名誉欲はあまり持っていませんし、安定は大切ですしね。

一方で、フリーランスとして働き始めて強く感じるのは、人とのご縁の大切さです。
地元でデザインを頑張ろうという決意を持って仕事をしていると、自然と地元の方が応援してくださるんです。

独立当初は東京の会社から仕事をもらおうと目論んでいたのですが、蓋を開けてみたら東京の仕事はほとんどなく、地元や周辺の市町村の仕事が中心になっています。

-今、課題に思われていることはありますか?

鶴見さん
地元に帰るという目的は達成できたので、次の目標である事務所の設立に向けて、どんなふうに進んでいこうかという課題設定の部分ですね。

会社にするのであれば、売り上げやそれに応じた運営の形を考える必要がありますし、これまではひとりで気楽にやっていましたが、人を雇うのであればさまざまな手続きをしなければいけません。

実は今、制作時間があまり取れていないんです。
打ち合わせやメールでのやりとり、税務署での手続きなどやることが多くて、「今日は制作できなかったな」という日も結構あります。

私はデザイナーですからデザインをしたいですし、制作時間を増やすためには、諸業務を誰かに任せる必要があります。
となると、やっぱり経営や労務の交通整理が必要、ということになります。
デザインばかりやってきたので数字や手続きに苦手意識があり、忙しさもあって思考を停止させてしまっているので、これからしっかり考えていこうと思います。

-ありがとうございました。
これからも素敵なデザインをつくり続けてください!

鶴見さんのデザインプロダクション、SpearMint[スペアミント]のホームページはこちら

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SpearMint[スペアミント]はグラフィックデザインによって新しいブランドを生み出したり、ブランドイメージの根幹を創造するデザインプロダクションです。