こんにちは。クリエイターワークス研究所(CWL)です。
「企業内で働くクリエーターに聞く!」シリーズの第五弾は、たきコーポレーション様にてデザイナーとして働く久保 仁さん、江田 梨華子さん、矢吹 静華さん。
うみの苦しみやそれを乗り越えた先にある楽しさや成長、メンタルの重要性などクリエイターならではのエピソードをトーク形式でざっくばらんにお話いただきました!
◆役割:
(久保様・江田様)グラフィックデザイン
(矢吹様)グラフィックデザインおよび映像・CG制作
◆制作物:
(久保様)飲食やアルコール関連や保険・不動産関連の店頭ならびに販促ツール
(江田様)各種広告物やWeb、LP制作など クライアントは多種多様
(矢吹様)アイドルグループのジャケットやファッション関連の店頭PR類、サイネージ等
デザイナーにとって最大の壁であるアイデア出し。そこに隠されている努力とは
ーークリエイティブに興味をもったきっかけは何でしたか?
ーー久保さん CDジャケットとか漫画を手に取るようになって、自分もつくる側になりたいと思ったことかな。裏返してクレジットを見て「誰が何をつくってるんだろう」という興味を持ち始めた頃かなと思います。
ーー江田さん 私は小さい頃からものづくりが好きで、よく段ボールで工作をしていました。
ーー矢吹さん 私も同じく小さい頃から絵を描くことが好きでした。
好きなことを仕事にできたら良いなと思ったのと、誰かの役に立ちたいという気持ちが強かったです。
デザインで、自分が好きなアーティストの活動を応援できると思いこの道を選びました。
ーー仕事の中で楽しいこと、大変なことはどんなことでしょうか?
ーー矢吹さん ADさんからの指示に対して、ここにいかに自分のアイデアを乗せられるか、という部分はいつも楽しいですよね。
あとは、自分がつくったものを街中で見る時の達成感も楽しみの一つかな。
ーー江田さん それは大きいですよね。成果物が世に出ているのを見ると、苦労したことも含めて「やって良かったなぁ」と感じて、それがクリエイティブを続けられている理由になっていると思います。
ーー久保さん 私は、アイデア出しの時かな。良いアイデアを企画にして通った時とか、ADさんからもらったラフを良い感じのアウトプットにできた時とか。
ーーアイデアって、どんな風に思いつくのでしょう?
ーー久保さん 自分が全く知らないジャンルは、思いつかないことが多いです。
そういう場合は知っているジャンルとの共通項を見つけて結び付けたり、映画鑑賞などちょっとした遊びから吸収できたりもします。
それでも出てこなければ、ひたすら資料と向き合いますね。
ーー江田さん オリエンからアイデアがすらすらと出てきて形にできる、というのは奇跡に近いです。
泥臭く手を動かすか、資料を探すか、敢えて距離を置いてみたり…って感じですね。
うみの苦しみというやつです。1から2をうむのはそう難しくないですが、0から1をうむのは毎回苦しんでいます。
ーー矢吹さん アイデア出しはデザイナーにとって最も悩むポイントですよね。
私も最初の頃はよく先輩や上司から「自分の好きなテイストに寄ってるよ」と注意されました。考え過ぎると沼にはまるので、距離を置いてみるのは良いことだと思います。
押してダメなら・・・? 距離感と自己管理能力、リフレッシュの大切さ
ーーアイデア出しが「楽しさ」でもあり「苦労」でもあるんですね。他に仕事で大変なことと言えば、何でしょうか。
ーー久保さん 時間がないこと!(笑)
企画を練ったりコンセプトを詰めたり、ということに時間を使うのは正しいと思います。
が、やはり組織で働いているので、自分ではコントロールできない問題が様々出てきます。
そういったことに時間をとられて、本来使いたいところに時間を使えない歯がゆさがありますね。
ーー矢吹さん 久保さんのはおそらくマネジメントする立場だからこその大変ポイントですね。
私は、スケジュール管理が大変だなと思います。複数の案件が同時進行することが多いので、それぞれの優先順位や重要なポイントをおさえて進行管理する必要があるので、これに苦労しています。
ーーなるほど。時間とスケジュール管理。悩んでいる人が多そうなポイントですね。どのようにそれを乗り越えていらっしゃるのでしょうか?
ーー矢吹さん 作業をしていない時間に案件の内容を見返したり、チームとの会話を増やしたりしています。
そうすると認識が統一されて自分の中の不安が解消されますし、頭の中が整理されます。
ーー江田さん 周囲との会話は大事ですね。
あとは、場数を踏んで慣れることかなと思います。案件をこなせばこなすほど自分の引き出しも増えてきて、色々な視点で物事を考えられるようになります。
ーー久保さん 二人が言ったことはどちらも大事だと思います。
私はもう少し長期的な観点で言うと、いかにテンションを上げられるか、=つまりメンタルを安定させられるかが肝かなと思っています。
例えばあまり気乗りしない案件を担当している時、その商品の素敵なところを見つけることや、クライアントの良いところを見つけることって大事なんですよね。そういう精神状態でい続けるために、考え過ぎず肩の荷をおろしてみること、一度距離を置いてリフレッシュするのは必要不可欠かなって感じます。
ーーここでも「距離を置いてみる」重要性が出ましたね! ありがとうございます。では、クリエイターとして成長を感じるのはどのような時ですか?
ーー矢吹さん ダイレクトに先輩や上司から「成長したね」と言われると嬉しいし実感できます。
失敗したことって記憶に残るので、それをバネに失敗しないように行動できているんだなと振り返って成長を感じます。
ーー江田さん 最初から最後まで、自分がメインで進行できるようになったことです。
案件に対しての理解度を高められているのと、それをもとに自分の考えを持って動けている証拠なのかなと。
入社当初~2年目くらいまでは先輩の言う通りに進めることが基本でしたが、3年目以降から徐々に自分の考えを持って動けるようになり、今は自分がメインで進められるようになり、そういった部分で成長を感じます。
昔はできていなかったことができるようになると、成長したなって思いますね。
ーー久保さん 確かに、ポートフォリオを更新する時に昔つくった作品を見返すのですが「何でこれこうなってるの!?」とか「よくこれ通ったな…」とか、正直思うことがあります(苦笑)。
もちろん当時は自分の全力でつくっているので褒めてあげたいですが、そっと閉じたい気持ちになりますね。
「メンタル力」がキーワード。その背景に迫る!
ーー仕事とプライベートをどのように分けていますか?
ーー矢吹さん あまり意識したことがなかったです。日常の中にデザイン含めクリエイティブなものって溢れているので、どうしても切り離せない感があります。
たまたま目に入った広告が、自分が担当している案件のヒントになることもあります。
同じ職業の友人と遊んでいると「あの広告って…」みたいな会話になりがちだったりもします。
でもそれに対して嫌な気持ちはなくて、好きなことを仕事にしたからこそなのかなと思います。
ーー江田さん 私も、分けているという感覚はないかな。分けようと思っても分けられない感じがありますね。
ーー久保さん 「仕事」と「プライベート」っていうと分けたいし分けられるけど、「クリエイティブ」と「プライベート」ってなると分かれていないんじゃないかなと。
街中で見る広告に対して色々なことを感じたり考えたりするのはもはや職業病で、それ自体は大事な感覚でもあると思います。
クリエイティブな感性はプライベートでもありつつ、それ以外の「仕事」的な要素はなるべくプライベートに侵入させないように私はしています。
ーークリエイティブ職種に就くにあたって大切なマインドは何だと思いますか?
ーー江田さん 素直な姿勢と、真面目すぎないことかな。
制作物に対して真摯に向き合う姿勢はもちろん大事です。
が、自分が心配しても仕方ない部分にまで考え込み過ぎる方がたまにいるので、それだと潰れちゃうよ~って思います。
それと、自分と他人の境界線をしっかり引くことも大事かなと。
この仕事って、自分のできなさ加減に打ちのめされることも多くて…。
周りはできているのに自分は何故できないんだろう、と思うことも多々あります。
何でだろう、何でだろう、と考え込んで落ち込むと絶対に病んでしまいます。
自分は自分、他人は他人と割り切って、自分ができる最大限の努力をすれば良いと思っています。
ーー久保さん 要するにメンタルですね! 前述しましたが、メンタルを安定させることって本当に大事です。
ーー江田さん 本当だ。やっぱりメンタルって大事だということに行き着きますね。
ーー久保さん 大学時代の先生がよく仰っていたことを私もよく実感するんですが、「人を幸せにしたいなら自分も幸せでいようよ」と。
「人を幸せにできるようなものをつくりたい!」という気持ちでこの業界に入る方も多いと思いますが、そのためには自分が幸せな状態で仕事をする必要があると思います。
これができていないが故にメンタルを壊して辞めていってしまう人も多いのが、この業界の正直な現状です。
私から見れば「あんなに絵が上手いのに」と思う人がメンタルを壊して辞めてしまったりしたこともありました。
すごくもったいないし、裏返せば、メンタルの強さの重要性を表しているなと思います。
良い意味で鈍感くらいの方が良いなと思いますね。
ーー矢吹さん 確かに私の前職でも、1年も経たずに辞めてしまう人がいました。
「思っていたのと違う」という理由が多かったです。
私は「何をきっかけにこの業界に入ったっけ?」というのを自問してほしいなと思います。
悩んでいる時って大体、「誰かの理想にしなきゃ」という思考になっていることが多い。
いったんそこを抜け出すために自分の好きなものをつくってみたりすると、「ものをつくることが好き」という原点に立ち返ることができます。
ものづくりが好き、だからこの業界に入ったんだ、ということが改めて分かれば、自ずと必要な行動が見えてきます。
苦労を乗り越えてでもこの仕事をしたいかどうかは、この原点にあるかなと思います。
編集後記
以上、久保さん、江田さん、矢吹さんへのインタビューとなりましたが、いかがでしたでしょうか?
クリエイティブ職に就く上で、メンタルの強さがどれほど重要かを改めて感じさせられました。また、熱意が強すぎて考えすぎてしまい、深みにはまることもあるとのことですが、そんな時こそ「物を作ることが好き」という、仕事を始めた原点を忘れないようにしたいと思います。
もっとお三方や、たきコーポレーションONEのことを知りたい!という方は、ぜひ以下よりチェックしてみてください!
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