派遣先の努力義務~2015年派遣法改正のクリエイティブ業界への影響

2015派遣法改正

派遣法には「~するように努めなければならない」という努力義務の規定があります。
絶対に履行しなければいけない義務ではないので見落としがちなのですが、将来的に義務化される可能性もありますので、しっかり把握をしておきましょう。

優先雇用の努力義務

以下の3つを満たした場合に、該当する派遣スタッフを優先的に雇用するように努めなければいけません。

・同一の派遣スタッフが1年以上、同一の組織内で働いている
・この派遣スタッフの就業期間終了後に、同じ業務で直接雇用の労働者を雇い入れる予定
・派遣元から、直接雇用の依頼があった

もう少し噛み砕いて説明しますと、
──
派遣スタッフAさんが1年以上働いており、もうそろそろ派遣は終了する予定。
Aさん終了後の後任は派遣ではなく正社員を予定している。
その時に派遣元からAさんの直接雇用化を依頼された。

──

上記のような場合は、まずはAさんを雇い入れることを優先的に検討しなければいけません。
ただし「努力義務」なので、検討の結果、直接雇用はしないという判断をしてもOKです。

なお「Aさんの後任で正社員を募集しているのがバレなければいいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらについては「募集情報の提供義務」があるため、必ずAさんには伝えなければいけないようになっています。

※「募集情報の提供義務」については、派遣先の義務についての解説をご確認ください。

 

派遣元が行う派遣スタッフへの教育訓練への協力

今回の改正により、派遣元企業は派遣スタッフに対して「段階的かつ体系的な教育訓練」を行う義務が規定されました。
この「教育訓練」は、下記のタイミングでの実施が必須となっています。

・入職時(就業が決定したタイミング)
・少なくとも年1回以上

さらに下記のような条件も義務付けられています。

・年1回以上の訓練については、フルタイム勤務の方であれば8時間以上
(フルタイム未満の方は、勤務時間に比例した時間数)
・いずれの訓練も労働契約が締結された状態で行う
・有給で行う(訓練時間を労働時間として扱う)

そして、派遣先は、派遣スタッフがこの教育訓練を受講できるよう可能な限り協力する必要がある他、必要に応じて教育訓練に係る便宜を図るように努めなければいけません。

「受講できるよう可能な限り協力する」は比較的わかりやすい内容です。
例えば・・・
──
例:4/1(金)に派遣元が教育訓練を予定
→派遣先は、その日に派遣スタッフが受講できるよう業務の調整を行う

──

一方、「必要に応じて~便宜を図るよう努める」という点は、実はかなり不透明です。

現状考えうる範囲では、
・入職時の訓練も労働契約が必要なため、実際の就業開始日の前日から派遣契約を締結していただく
などがありますが、各派遣会社ごとで対応・協力依頼の内容が異なる可能性があります。

いずれにせよ派遣元から相談される可能性がある項目ですので、その背景としてこの努力義務があることを把握されておくと良いかと思います。

 

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