2026年最新版|勤務間インターバル制度をクリエイティブ企業が活用するメリット

長時間労働やワークライフバランスなど、働き方改革によって国全体で見直しが行われ始めている昨今。2019年から、「勤務間インターバル制度」という制度が始まったことをご存じでしょうか?
これは、従業員の十分な休息時間を確保し、長時間労働を抑止するための制度で、企業に対する努力義務となっています。

今回は、特に長時間労働などの労働問題が起こりやすいクリエイティブ職における「勤務間インターバル制度」の活用方法について、クリエイティブ専門のエージェントが解説します。

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「勤務間インターバル制度」とは

「勤務間インターバル制度」とは「前日の勤務終了時間から、翌日始業するまでの間に一定の休息時間を設けなければならない」という制度です。

こうした決まりを設けることで、従業員の健康を守ったり、ワークライフバランスを保つことができるなど、様々なメリットがあります。
本制度は2019年以降、企業の努力義務となっており、国が各企業に対して導入を推奨しています。本制度を適用しなくとも罰則等はありませんが、従業員の十分な休息時間を確保できるよう、企業は適宜導入を検討する義務があります。

海外では既に普及が進んでいる

ヨーロッパ諸国では、勤務終了時間から翌日の始業時間まで、最低でも11時間空けなければならない、という法律があります。

例えば、前日23時に勤務終了した場合は、翌日の勤務開始時間はその11時間後である「10時」となります。この場合、たとえその会社の勤務時間が9時から18時と定められている場合でも、10時出社が認められます。
そして重要なことは、9時から10時までの本来であれば出社しなければいけなかった1時間分の給料をカットしてはいけない、ということです。

これにより、社員は給料カットの不安を抱えることなく、安心してリフレッシュをすることができます。前日に残業をしてしまった場合でも、睡眠や食事をゆっくり取ることが可能となり、翌朝の通勤ラッシュ時間を避け、悠々とした気持ちで出社ができるのです。

クリエイティブ企業における導入のメリット・デメリット

勤務間インターバル制度は、規模・業種問わずどんな企業でも導入することが可能な制度ですが、長時間労働が比較的多く、集中力がものをいう業種には特に向いているかもしれません。

例えばIT業界の社員は、昼夜問わず対応を迫られる場面が多く、以前から長時間労働による過労問題やうつ病などの問題が取りざたされています。そのため、社員の離職率も高くなっているのが現状です。そうした背景から、すでに2009年より勤務間インターバル制度の導入を始めている企業もあります。

クリエイティブ業界においても同じことが言え、納期や業務量に追われがちなデザイナー・クリエイターを擁するクリエイティブ系企業にとっても、本制度を導入するメリットは大きいでしょう。一方で、デメリットも考えられます。

勤務間インターバル制度を導入するメリット

従業員の健康を守ることができる

最大のメリットは、従業員の健全な働き方を実現できることでしょう。

クリエイティブ職は〆切に追われて会社に泊まり込んで残業…といったイメージも持たれがちなくらい、激務を強いられることもあります。しかし、そういった働き方を認めてしまうと、労働基準法違反や従業員の健康問題に発展するなど、様々なリスクが懸念されます。
本制度を導入し十分な休息を確保できる体制を作ることで、従業員は安心して働くことができ、結果的に高いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

助成金を受け取ることができる

インターバル制度を導入する際、中小企業は助成金を受け取ることができる可能性があります。
導入に際して想定される経費(勤怠システムの見直しなど)を国が補助してくれるため、積極的に導入を検討することをおすすめします。助成金の手続きに関しては後ほど詳しく解説します。

成果物のクオリティが上がる

クリエイティブ職において、成果物のクオリティは何より重要です。
しかし、デザイナー・クリエイターが過酷な労働環境下で働いている場合、疲弊してしまい本来のスキルを十分に発揮できない可能性もあります。

本制度を活用することで、従業員のワークライフバランスが確保され、業務のパフォーマンスが上がるだけでなく、空いた時間に自己研鑽をしたり、余暇のリフレッシュが新しいアイデアに繋がったりと、結果的に企業にとっても良い効果が期待できます。

勤務間インターバル制度を導入するデメリット

勤怠管理の工数が増える

インターバル制度を導入するためには、従業員の勤怠管理のシステムを整えることが基本となります。そのため、従来の管理方法では不十分な場合があり、新たにシステムを導入する必要があるかもしれません。
結果、総務の負担が増えたり、社内への周知・徹底を行わなければならなかったりと、新たな工数がかかる可能性も。

導入時のみとはいえ、人員が限られている中小企業にとっては負担が大きい可能性があります。

制作スケジュール管理の強化

長時間労働を前提に制作スケジュールを見積もっていた場合、本来の労働時間内で作業を完了させるためには、今まで以上にスケジュール管理を徹底する必要があるでしょう。
無理のない期間で、無理なく制作を進めるため、余裕を持ったスケジュールと人員の確保を行い、計画的に作業を進める必要があります。

助成制度を導入する流れ

それでは実際に、勤務間インターバル制度を導入した場合に活用できる助成制度について説明しましょう。

まず、自分の会社の状況を見直してみましょう。
最初に就業規則から通常の労働時間を把握し、その後は社員のタイムカードや出勤簿から、残業の実態を洗い出します。また、監督署へ提出している36協定や労使協定があるようであれば、その内容も、忘れずに確認しておきましょう。

次に、助成制度の規程や内容について確認をします。
勤務間インターバル制度は、中小企業の労働時間長期化を防ぐために作られている「職場意識改善助成金」の中の一つの項目として新設されました。

過去記事でも概要を紹介しています。
【助成金】クリエイティブ業界のサポート的存在!「職場意識改善助成金」のススメ

まず、重要となるのが勤務間インターバルの「時間」です。
助成制度を利用するために必要な達成目標は、以下の内容となります。

所属する労働者の半数以上の者に対し、休息時間数が、
a. 9時間以上11時間未満
b. 11時間以上

のいずれかの時間を設定した勤務間インターバルを導入すること

そして、導入方法は以下の3種類です。

1. 新規の導入:

勤務間インターバル制度のない企業が新たに導入すること

2. 適用の範囲拡大:

すでに9時間以上の勤務間インターバル制度を導入しているものの、対象社員が前所属者の半数以下の場合に、対象となる社員の範囲を拡大して半数以上にすること

3. 休息時間数の延長:

9時間未満の勤務間インターバル制度を導入している企業が、新たに休息時間数を9時間以上に延長すること

休息時間数や導入の方法を検討したら、次は制度を浸透させるために企業内でさまざまな取り組みを行います。
具体的には、次のうち1つ以上の内容を実施しなければなりません。

A. 労務管理担当(人事や経理などを含む)への研修実施
B. 労働者に対する研修実施などによる周知
C. 社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家へ依頼の上、コンサルティングの実施
D. 就業規則・労使協定などの整備(時間外・休日労働に関する規定の整備など)
E. 労務管理を行うためのソフトウェア(勤怠管理ソフトなど)の導入
F. 労務管理用機器(タイムカードなど)の導入
G. その他、制度導入のために必要な機器の導入

注意しなければならないのが、Dの就業規則の整備です。
就業規則の整備を実施する場合、就業規則に勤務間インターバル制度を導入するために必要な規定を盛り込むことが必要となりますが、規定の文章表現には気を付けなければいけません。例えば、朝9時という出社時刻を見込んで「12時以降の残業を禁止するものとする」という一文を加えたとしても、それは勤務間インターバル制度を導入したとはいえません。
同様に「9時より前の出社を禁止する」という定めもまた、導入とはいえません。

既定には、例えば、次のような内容にする必要があります。

【規定例】
時間外労働の終了時から翌日の勤務開始時までに、9時間の休息時間を与えた後でなければ、社員を勤務させてはならない。
なお、この場合に勤務時間が当該勤務日における勤務時間に満たない場合、満たない時間についても勤務したものとみなすこととする。

まず「終業時刻から次の始業時刻までの休息時間を確保しなければならない」という内容を盛り込む必要があります。
さらに「本来は出社しなければいけない時間分の給料をカットしない」という一文も加える必要があることを覚えておきましょう。

助成金の金額

気になる助成金の金額ですが、休息時間数や導入方法が複数設けられている通り、内容に応じて受け取ることができる助成金の上限額が異なります
また、国の予算により額は変動するため、詳細は厚生労働省の下記ページを参照ください。

厚生労働省:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

なお、令和8年度の助成金申請は令和8年4月13日から始まっているため、導入を検討している企業の方はぜひお早めに申請を。

勤務間インターバル制度を上手に活用し、デザイナー・クリエイターが気持ちよく働ける企業へ

本制度を活用することで、従業員はもちろん、企業にとっても大きなメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。

長時間労働や働き方の課題が話題にのぼりがちなクリエイティブ職において、こうした制度を設けることは、優秀なクリエイターの定着や、採用の促進にも繋がるため、積極的に導入を検討しましょう。

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