こんにちは。クリエイターワークス研究所(CWL)のまるこです。
クリエイターの仕事満足度について、前回の報告では雇用形態別で比較検証しましたが、クリエイターの属性を分類し、デジタル系(n=171)とグラフィック系(n=225)のクリエイターでどのように違うのか?検証していきたいと思います。
今回は、デジタル系クリエイターの満足度・実態についての報告です。
主に現在Web関係のクリエイティブ職としてご活躍している方や、これからこの業界を目指す学生、さらにはキャリアチェンジを検討している方にもぜひ参考にしていただけたらと思います。
50名未満の組織で働いているデジタル系クリエイターが73.7%
今回のアンケートでは、フリーランス・個人事業主、会社経営者として活動されているデジタル系クリエイターが49.4%となり、会社員として在籍しているデジタル系クリエイターは50.6%となりました。

職種では、Webデザイナー、Webディレクター、コーダー(マークアップエンジニア)が多い属性となりました。

続いて、このようなデジタル系クリエイターがどんな会社に属しているのか?会社の業種と社員人数も見ていきます。
前述した通り、フリーランス・個人事業主が多いことから会社の業態も『個人経営』が最も多いですが、会社員では『Web制作会社』、『IT企業』、『メーカー・事業会社』に属しているデジタル系クリエイターも多いようです。
社員人数では50名未満の組織で働いているデジタル系クリエイターが73.7%となり、なかでも10名以下の少数精鋭の組織で活躍している人も比較的多いということが分かります。

デジタル系クリエイターの仕事満足度71.7%!労働時間も80.9%の高い満足度!その実態とは?
上記を踏まえた上で、デジタル系クリエイターの仕事満足度について見ていきましょう。

デジタル系クリエイターの仕事全体の満足度は『満足・やや満足』が71.7%と比較的高い数字になりました。なかでも、『労働時間』に対する満足度は80.9%と非常に高いです。
ということは、労働時間は比較的ワークライフバランスが整っているのでしょうか?
平均労働時間、平均残業時間の実態を見ていきましょう。

デジタル系クリエイターの1週間の平均労働時間は40~50時間がダントツに多いことが分かりました。さらに、残業についても、今回はフリーランス・個人事業主からの回答が多いこともあり『残業全く無し』と『~10時間以内』が多くなりました。
会社の業態のグラフの通り、『個人経営』の次に多いのが『Web制作会社』に在籍しているデジタル系クリエイターですが、労働時間や残業時間は比較的残業を少なく調整できているクリエイターも多いのかも知れません。
しかし、『月50時間以上』残業しているデジタル系クリエイターも5.8%いることも見逃せません。
労働時間に関しては、二極化している実態もありそうです。
年収の満足度は48.7%と最も低い数値。その理由とは?
一方で、『年収』『スキルアップの機会』においては満足度は低い結果になっています。
特に、他項目に比べ最も満足度が低かった『年収』ですが、実態はこのようになりました。

今回のアンケートに回答いただいたデジタル系クリエイターの40.9%がフリーランス・個人事業主とのことなので、200万円台~1500万円台まで幅広く分布しましたが、300~600万円未満のゾーンのボリュームが最も厚くなりました。
さらに、現在の年収額に満足していない理由について別途アンケート調査したところ、以下の結果となりました。

『求める生活水準に対して不足しているから』という回答が圧倒的に多い結果となりましたが、『自分の能力が評価されていないから』『仕事の成果がきちんと反映されていないから』という回答もとても気になるところです。
評価は年収につながるものですから、このデータを見ると多角的な理由で満足度が低くなっているということが伺えます。ここには、デジタル系クリエイターのモチベーションアップのための課題も潜んでいるように感じます。
最も満足度の高いデジタル系職種はコーダー/エンジニア!?
今回はデジタル系クリエイターと一括りにしてしまいましたが、グラフィック系に比べ役割が明確に分類され専門領域が異なるマーケター、Webディレクター、Webデザイナー、UI/UXデザイナー、コーダー/エンジニアなどのような職種では、満足度も実態も当然違いがあると思います。
本来であれば、上記のような職種に分類し満足度も実態もそれぞれ分析検証できればベストではありましたが、n数にバラツキがでてしまったためにそれは実現できませんでした。
そこで、今回はWebディレクター、Webデザイナー、コーダー/エンジニアの3つの職種のみで満足度ランキングをしてみました(ただし、やはり職種別に分類するとn数が極端に減るため、統計上ベストなデータではありません。あくまで目安としてご参照ください)。

1位:コーダー/エンジニア
全体としてはコーダー/エンジニアが満足度が最も高い職種となりました。なかでも満足度が特に高かったのは、『職場の人間関係』、『労働時間』『仕事の評価』の項目。
現在採用市場でも熱視線を浴びているコーダー/エンジニア職。
専門領域だからこそ評価も高く、待遇の良い条件で働けているクリエイターが多いのかもしれません。
2位:Webデザイナー
『休日・休暇』では1位となり、『労働時間』も高い水準で満足度が高く、『仕事の評価』もコーダー/エンジニアと0.5%の微差。
全体的に2位が定位置となっていますが、ある意味最もバランスが取れているポジションかもしれません。
3位:Webディレクター
この3職種の中では3位となりましたが、『全体』では1位のコーダー/エンジニアとは3.9%しか差はなく、『年収』ではトップの満足度となりました。
さらに、『仕事内容』では『満足・やや満足』が81.9%と高い満足度ですが、『職場の人間関係』では3位となり、コミュニケーション力が重要となるWebディレクターという仕事のやりがいと大変さも垣間見れたような気がします。
さいごに
最後に3つの職種に絞り込んで比較検証してきましたが、いかがでしたか?
個人的に気になったのは、3つの職種いずれも『スキルアップの機会』の満足度が低いということ。なかでも、Webディレクターは『年収』の満足度よりも低い結果となっています。
Web/IT業界においては、テクノロジーやツールなどの最新情報やスキルのアップデートが欠かせません。このようなスキルアップへの意識が高いからか、満足度の低さが顕著に現れたと思います。
社内勉強会など積極的に取り組んでいる企業ももちろんありますが、全体的にはまだ社員一人ひとりの裁量に任せているところも少なくないのかもしれません。
この結果を見て、クリエイターワークス研究所(CWL)としても、デジタル系クリエイターを対象としたスキルアップを目的としたウェビナーなど開催していかねば…!と決意を新たにしました。
次回は、グラフィック系クリエイターの満足度、実態について報告していきます。
▼前回の調査報告(クリエイターの仕事満足度:労働時間)はこちら