海外のクリエイティブ事情~立ち止まらずにはいられない!ユニークなデジタルサイネージ3選

日本でも主要駅などを中心にサイネージ広告が増えてきました。最近はさらに、センサーの組み込みやスマートフォンとの連携といった機能の進化を活かした、より人々を魅了するコンテンツが生まれてきています。今回は海外のクリエイターたちの工夫がつまった、優れたデジタルサイネージの事例を3つご紹介します。

 

禁煙をさりげなく呼びかける”咳する掲示板”

スウェーデンの首都ストックホルムでは、愛煙家がドキっとするこんな企画が行われました。

スクリーンの中に映る男性。歩行者が通り過ぎタバコの煙をふかせると、「コホッ、コホッ」と突然咳をします。歩行者が「自分のせい?」と驚いてふり返ると、”新しい年、新しい抱負を”というメッセージが。

実はこれ、スウェーデンのドラッグストアが禁煙キャンペーンのために設置したデジタルサイネージだったのです。

サイネージの下には煙探知器が組み込まれており、タバコの煙を察知すると映像がそれに合わせて切り替わり、男性が咳をするという仕組みになっています。習慣化してしまっている喫煙も、スクリーン中の人にまで咳をされると、自分や周囲の健康への影響を意識せざるをえません。思わずその場でタバコを捨てたくなる、効果的な企画です。

 

目の動きを読み取る”街角マジック”

カナダのフランス語圏の都市ケベックシティでは、マジックのフェスティバルの開催を前に楽しいゲームが仕掛けられました。

バス停に設置されたスクリーン。利用客が視線をやると「カードを選んで、それを覚えて」という文字が現れます。トランプのカードが十数枚表示され、指示通り選択して記憶すると「あなたが選んだのは…これ?」と1枚のカードが。「まさにこのカード! えっ、どうしてわかったの!」と参加者は思わず吹き出してしまいます。

これは当てずっぽうや読心術ではなく、スクリーンを見る視線の動きを追うセンサーを使用し注視したカードを高確率で割り出すという、とてもよく設計されたデジタルサイネージだったのです。マジックに興味を持ってもらい、フェスティバル当日に足を運んでもらえる方法はないかと考えぬかれた告知例です。

 

溶けるのをみんなでストップさせよう!暑い日のアイスクリーム・キャンペーン

マレーシアの首都クアラルンプール。気温・湿度も高いこの街ではアイスクリームもよく売れるはず、もっとたくさんの人に店舗に来てほしい。そう考えたマクドナルドは、大勢を巻き込む楽しいキャンペーンを行いました。

多くの人が行き交う街角の巨大スクリーンに”アイスクリーム”の宣伝画像。ただあまりの暑さに、そのアイスクリームがどんどん溶けていってしまいます。
「止める方法」はただ1つ。歩行者それぞれがスマートフォンのアプリをダウンロードし、画面上のファンを回して気温を下げるのです。人差し指で一生懸命ファンを回転させると、だんだんと巨大スクリーン上のアイスクリームが”元に”戻っていきます。

たくさん回してくれた協力者には、その場でクーポンがアプリに届きます。ただし、このクーポン自体もあっという間に溶けてなくなってしまう! 急いでお店へ向かい、無事に本物のアイスクリームをゲット! というストーリーです。

自分のスマートフォンとスクリーンを交互に見ながら皆が同じことを楽しむ光景は、街全体を舞台にした一大イベントのようです。参加者たちと作り上げる、デジタルサイネージの新しい楽しみ方といえるでしょう。
大勢の人がその日マクドナルドに足を運ぶことになりました。

 

まとめ

面白い機能面で日々進化し、まだまだ、様々な可能性を秘めたデジタルサイネージ。そこに優れた企画やデザインが加わると、人の行動や思考を変えるような面白い仕組みに発展していきそうです。

日本でも街や電車にたくさんのデジタルサイネージが見受けられるようになりましたが、このようなユニークなもので人々を楽しませることが日常となる日も近いのかもしれません。

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