『クリエイターみんながイキイキと働ける世界』を目指すための第一歩。
こんにちは。クリエイターワークス研究所の宮本(まるこ)です。
クリエイターワークス研究所は、「クリエイターみんながイキイキと働ける世界に」をミッションに掲げ、クリエイターに対して多角的な視点から実態調査を行っています。
今回は、そのミッションを目指すための第一歩として、クリエイティブ職に就く「個人」を対象に、コロナ禍の働き方の実態に関する調査を行いました。
調査概要は以下のとおりです。
調査方法
インターネット調査
調査対象
クリエイティブ業界で活躍中のクリエイター(ユウクリ登録クリエイターも含む):511名
(※クリエイターの内訳:グラフィックデザイナー、アートディレクター、UI/UXデザイナー、Webデザイナー、Webディレクター、コーダー、エンジニア、マーケター、マネージャー、経営者など)
調査期間
2021年12月14日~2022年1月4日
・雇用形態
正社員・契約社員31.3%
派遣社員 17.8%
パート・アルバイト 4.9%
フリーランス・個人事業主 41.7%
会社経営者 2.7%
その他 1.6%
・業態
メーカー・事業会社 30.9%
IT企業 9.1%
広告代理店 7.7%
コンサルティング会社 4.0%
Web制作会社 6.4%
広告制作会社 18.1%
印刷会社 4.4%
個人事務所 2.7%
その他 16.8%
・携わっているジャンル
IT/Web系 30.1%
広告/SP系 41.5%
ゲーム系 3.1%
映像/音響 2.5%
工業/空間 2.5%
その他 20.2%
コロナ禍2年。クリエイティブ業界ではリモートワークが浸透している?
下の図、2020年11月に実施された厚生労働省の実態調査を参照すると、技術職関連(クリエイティブ関連含む)の職種は、事務職、営業職に次いでリモートワークの対象として、企業がリモート推進をしてきていることが分かります。
では、コロナ禍2年の今、クリエイティブ業界では本当にリモートワークが浸透しているのでしょうか?
ここでは、会社員(正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト)とフリーランス・会社経営者のクリエイター(n=503)とで分類し、調査をしてみました。
まず、会社員クリエイターの回答です。
意外にも、コロナ禍2年経った現在もフル出社が多いということが分かりました。
一方、フリーランス・会社経営者は逆転しています。
主にフリーランスのクリエイターはコロナ前からリモートワークをしている方がほとんどであるため、当然といえば当然の結果かもしれません。
しかし、会社員と比較すると「フル出社」は約39%も開きがあることが分かりました。
会社員クリエイターのリモート化は、案外進んでいないということが浮き彫りになりました。
ハイブリッドで働くクリエイターの出社&リモートの割合は?
さらに、ハイブリッドの働き方をしているクリエイターを対象に、出社とリモートの割合を聞いてみました。
なかには、「最近は基本的に出社で、やむをえない場合はリモート」と答えるクリエイターもいましたが、ハイブリッドの働き方をしているクリエイターは比較的出社の割合は少ないことが分かりました。
また、その他のコメントには「体調が悪い時はリモート」という心配な声も。
体調が悪いときはリモート・出社という選択ではなく、ぜひゆっくり休める体制があるといいですね。
働き方別で徹底比較!オンライン化促進された今、生産性は上がった?
コロナ禍において、チャットツールなどを導入しオンライン化が促進されてきている企業も多いのではないでしょうか。
そこで、上記の「フルリモート」「ハイブリッド」「フル出社」の働き方別で、でコロナ前と比べて生産性が向上されたかどうか?をアンケートしてみました。
※今回も、コロナ前後で働き方の変化が著しい会社員クリエイター(正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイト)に絞り込み、実態を見てみました。
■フルリモート
70%以上のクリエイターがは生産性が上がったと回答。
やはりコロナ前から一番激変した働き方のせいか、効果も分かりやすいのかもしれません。
■ハイブリッド
約半分が「変わらない」と回答しており、生産性の面ではさほど効果を感じていないクリエイターが多いようです。一方で、「上がった」「かなり上がった」の回答が約40%以上となり、ほぼ二極化している形になりました。
「生産性が下がった」
■フル出社
基本的にはコロナ前と働き方が変わっていないと思われるので、やはり「変わらない」が大半ですが、なかには「上がった」と回答するクリエイターもいました。
働き方は変化なくとも、効率化を工夫しているクリエイターもいるようです。
働き方別で徹底比較!どんなことが理由で生産性が上がった?
では、生産性が上がった理由は何なのでしょうか?
上記の問いから、生産性が「かなり上がった」「上がった」と回答したクリエイターを対象に聞きました。
こちらについても、コロナ前と現在で働き方に変化が著しかった会社員クリエイターに絞り込んでいます。
■フルリモート
「通勤時間がない分仕事ができるから」がトップ。
通勤という習慣が全くなくなったことのインパクトはやはり強いようです。
■ハイブリッド
「作業を中断されることが減り、集中できるから」が最も多い結果になりました。
これは、出社と掛け合わせて働いているからこそ、強く実感するところなのかもしれません。
また、フルリモートもハイブリッドも共通して言えることですが、意外にもオンライン商談に切り替えたことでの生産性は上がっていない、ということも分かりました。
■フル出社
「残業が減ったから」という要因が最も多い回答となりました。
コロナ禍により受注数が例年より減少してしまっている背景もありそうですが、残業が減ったことで作業効率も上げていくことができたのでしょうか。
一方で、リモートでは難しい「社内コミュニケーション」の重要性を改めて実感しているクリエイターも。
ちなみに、生産性が「下がった」と答えたフルリモート、ハイブリッドのクリエイターからは「誰かの目がないときサボりがちになるから」という声や「相手の行動が見えず、相談したいときに気軽に相談できないから」といったリモートの障害とも言える回答もあり、社内コミュニケーションの希薄さも垣間見えました。
転職する場合、『転職先の「働き方」を重視する』が約80%!
では、もし転職する場合、クリエイターは「働き方」を重視するのでしょうか?
こちらも、働き方別で調査をしてみました。
ほとんど違いは見られませんでしたが、フル出社のクリエイターは「どちらとも言えない」の割合が他と比べ多く、やはり出社することのメリットを最も実感しているからこそ、なのかもしれません。
出社とリモートの良さを兼ね揃えた「ハイブリッド」の働き方が人気!
続いて、上の問いで「働き方を重視する」と回答したクリエイターを対象に、どの働き方を選びたいか?も調査しました。
■フルリモート
やはり現在の働き方を継続したい意向が伺えます。
フルリモートでの利便性から、もう「フル出社」には戻れないクリエイターも多いのではないでしょうか。
■ハイブリッド
フルリモートよりもやや微増で現在の働き方を継続したい傾向が見えました。
■フル出社
フル出社で働くクリエイターのうち約80%は「ハイブリッド」の働き方をしたいという傾向が見えました。
フルリモートで働いたことがないとイメージがつかず、中間として「ハイブリッド」を選んでいるケースもあるのではないでしょうか。
このデータから、フル出社を希望するクリエイターは、全クリエイター411人のうち5人(1.2%)のみということが分かりました。
コロナ禍でクリエイターの働き方の意識が明らかに変化している、ということが伺えます。
まとめ
今回は、「フルリモート」「ハイブリッド」「フル出社」の働き方別で比較をしながらコロナ禍のクリエイターの実態を見ていきました。
確かに、それぞれの働き方によって異なった傾向が見えました。
しかし、どの働き方が良いかどうかは働いている人それぞれの見解があるため、ここでは実態をニュートラルにお伝えするのみとしています。
是非、今後のクリエイターの働き方改革のヒントとして、今回の調査結果をご活用いただけると嬉しいです。
- 本日のまとめ
- フリーランス・会社経営者と比べ、フル出社で働いている会社員クリエイターが最も多い
- コロナ前と比べ、生産性の高さはフルリモートで働いているクリエイターが最も実感を得ている
- 転職する場合、約80%のクリエイターが「働き方を重要視する」と答え、ハイブリッドの働き方が一番人気
- フル出社を希望するクリエイターは411人のうち5人(1.2%)のみ
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