
株式会社ユウクリが運営するクリエイターワークス研究所では、新型コロナウイルスによる仕事への影響についてクリエイターを対象にアンケートを実施しました。当アンケートでは、正社員・フリーランス・派遣社員などでクリエイティブ業務を行っている420名のクリエイターに回答いただきました。正社員・フリーランス・派遣社員それぞれの働き方における現状や課題が見えてきました。ぜひ参考にしてください。
目次
■正社員
社会的にリモートワークを推進する動きが強まり、このコロナ禍の状況でリモートワークを導入しているか否かは、企業の経営層が感じる以上に社員満足度に直結しています。今回はクリエイターのリモートワーク経験率、さらにリモートワークは生産性向上に有効かどうかを調査しました。
正社員の約8割はリモートワークを経験
緊急事態宣言をきっかけに在宅勤務を導入する企業が増加し、在宅勤務経験者は81.5%という割合になりました。クリエイターの多くが在宅勤務を経験しており、そのうち42.6%は現在も在宅勤務を継続しています。
クリエイティブワークの作業は場所を選ばない傾向にあるため、比較的リモートワークの導入割合は高いと言えます。そのため、現在もリモートワーク継続を継続する方も半数近い状況です。
情報管理が厳しい一部の業界・制作物、撮影などの外出が必須となる業務を除き、今後もリモートワークが広がると考えられます。
リモートワークによる生産性は「変化なし」が多数
生産性の観点で見ると、リモートワーク経験者のうち半数が自身の生産性について「変化なし」と回答し、生産性の低下を感じた割合は非常に少ない結果です。日々通勤にかけていた時間をプライベートに充て、通常通りもしくはそれ以上のパフォーマンスが可能であることに魅力を感じるクリエイターの声が多くありました。
一方、企業サイドにはリモートワークへの懸念の声が根強くあるのも事実です。
このギャップがどう埋まっていくのかが、リモートワークの拡大のポイントと言えるでしょう。
自宅の就業環境向上が課題
生産性低下の要因は幅広くありますが、オフィスレベルの就業環境を整えられないことが一種のストレスやモチベーションの低下に繋がることもあるようです。特にネットワーク通信は個々の環境に因り、社内外でのWebミーティングや容量の大きなデータを取り扱うクリエイティブ職では不便さを感じる場面があるようです。
また、意外に多かったのが「モチベーション」の問題です。
雑談をはじめとした小さなコミュニケーションがなくなったことにより、仕事以外の会話を全くしない日が発生するなど、仕事内外のコミュニケーションの問題があります。他にも職場という衆人環視下であることによる自身の律し方、様々な人との交流から生まれるインプットなど、普段は当たり前に感じていたことが急になくなったことへの戸惑いも少なくありませんでした。
■フリーランス
コロナ禍によって特に大きく影響を受けたのがフリーランスクリエイターです。特にグラフィック中心で活躍していたクリエイターは、自粛により販促・イベント関連業界がストップしていることから仕事量が激減していました。ある程度コロナウイルスが落ち着きを見せている中で、フリーランスクリエイターが置かれる状況について調査しました。
半数以上が仕事量減少
緊急事態宣言が出された4月から4ヶ月が経過しました。しかしながら、その当時から仕事量が増加しているのは約2割程度のみに留まり、半数近くはさらに仕事量が減少している状況です。前年比で見てみると前年以下の回答が約7割を占めています。
仕事量、収入ともに今後も減少傾向
コロナウイルスの落ち着きによってやかに経済活動が再開しているものの、今後もクライアントの倒産や、案件単価の減少等の懸念もあり、フリーランスクリエイターは今後も厳しい状況と見通しをしています。
また、世界の経営幹部を対象にしたアンケート(※)でも、2020年初頭レベルの経済回復するのは「2021年以降」と日本の経営者74%が回答しています。このアンケートを鑑みると、企業からの受託を受けて仕事を行うケースが圧倒的に多いフリーランスは、少なくとも年内いっぱいは我慢の時期になるとも言えるでしょう。
※公益財団法人 日本生産性本部
世界経営幹部意識調査「ポストコロナの世界と企業経営」CEO版
7割以上がフリーランス継続を希望
厳しい状況下ではあるものの、多くのクリエイターは個人事業主・フリーランスという働き方を続けていきたいと考えています。
5月に受付を開始した持続化給付金は多くのクリエイターが活用しましたが、今後の対策としては「派遣やアルバイトで働く」や「営業を強める」といった意見が多く割合を占め、自身が能動的に収入確保に取り組むようです。
■派遣社員
業績が悪化に伴い、企業の人員見直しで影響をうける派遣クリエイターは常に雇止めの不安を感じています。また、派遣社員の場合は派遣先の指揮命令下で業務を遂行する必要があるため、正社員同様にリモートワークの実施が可能かといった話題も多く挙げられていました。
今回の調査ではコロナ禍での契約状況と、リモートワークについて調査しました。
7割は契約に影響がないと回答も不安感は高まる状態
派遣クリエイターへのアンケートでは「自身の契約に影響はない」という回答が多くを占めましたが、現在もなお、コロナウイルスの影響で契約が終了してしまうケースは存在します。また、4月と比較し業務減少をから、「現在は契約に影響がないものの次回の契約更新に不安を感じる」声が多く聞かれました。
その他にも、派遣で実績を積み今後の転職活動に生かしたいと考えていた若手のクリエイターも多く、現在の状況では派遣で働くことも転職することも難しい状況のようです。
現在も5割の派遣クリエイターがリモートワークを実施中
多くの企業でリモートワークが導入されていますが、約7割の派遣社員も在宅勤務を経験しています。一方、在宅勤務が導入されていない3割は、派遣社員が業務を行うにあたって必要な「指揮命令」の体制が整えにくい点が原因のようです。クリエイティブの現場では業務量の管理や調整が行われており、在宅ではその進捗管理が難しくなるためやむを得ず出勤体制をとっている企業もあるようです。
在宅勤務における業務のやりにくさを感じる意見も多少あるものの、通勤における感染リスク低減のメリットがあるため、全体的に満足度は高い結果となりました。
■調査概要
調査期間
2020年8月24日(月)~8月30日(日)
調査対象
ユウクリに登録するクリエイター429名
調査方法
インターネット調査