【節税】いまさら聞けない、ふるさと納税って?

3月が終わり、フリーランスクリエイターの皆さんは確定申告という年1の大イベントが終了したことかと思います。この確定申告の前後で流行るワードが「節税テクニック」。今では正社員として働いている方にもお馴染みのワードとなっていますが、今年は「ふるさと納税」がTVや新聞など、メディアを通してニュースとなりました。この「ふるさと納税」、「納税」という名前から、なにやら難しい雰囲気を感じ取ってしまうからか、利用をためらっている方がまだまだ多いようです。今回は、この「ふるさと納税」を解説します。フリーランスの方はもちろん、会社勤めのデザイナーの方にもオトクな情報が隠れているかもしれません。要チェック!

ふるさと納税ってどんなもの?

まず重要なことは、ふるさと納税についての正しい知識を得ることです。

ふるさと納税とは、一言でいえば、自分の好きな地域に寄付をすることで税金の控除ができ、なおかつお礼の品ももらえちゃうというシステムです。
こう書くとちょっとわかりづらいですね。
では、イメージがわくように、ひとつ具体例を挙げてみましょう。

例:『年間所得が500万円の会社員Aさんが、ある市に対してふるさと納税として50,000円の寄付をした』

まず、覚えておかなければならないのが、
・ふるさと納税による税金控除は、年間にトータルで行った寄付金の合計額から2,000円を差し引く
ということです。

そのうえで、Aさんの場合は、寄付をした50,000円から2,000円を差し引いた48,000円をベースとして所得税と住民税の控除額を計算します。

所得税の場合、所得500万円に応じた所得税率である20%分の金額、つまり48,000円×20%=9,600円分が控除されます。
住民税の控除額は、48,000円から所得税の控除額を差し引いた金額、つまり、48,000円-9,600円=38,400円分が控除されます。

Aさんは50,000円分のふるさと納税を行うことで、所得税9,600円と住民税38,400円が控除され、お礼の品をゲットできるというわけです。

なお、ちょっとした注意点としては、Aさんは50,000円を払い、48,000円分の控除とお礼の品をゲットしています。
つまり、支払った金額≒控除額なので、控除自体と支払い額の差はほぼプラスマイナス0。より多く控除されているといったメリットはありません。
メリット部分は、「寄付金から引かれた2,000円」という少額の自己負担で様々なお礼の品をゲットできることにあると言えます。

オトクに利用するにはどうすれば良いの?

ふるさと納税には限度額がありません。つまり、10,000円でも100万円でもOKです。

ただし、税金の控除額は先ほどのように寄付をした人の所得に応じて決められているので、たくさん寄付をすればたくさん税金が控除されるというわけではありません。
「100万円も寄付したんだから、たくさん税金が戻ってくるだろう」という考えは間違いなのです。
また、寄付先や寄付回数に限度はありません。先ほどのAさんの場合のように50,000円を一括して寄付する場合でも、10,000円ずつ5か所の自治体に寄付をする場合でも、控除される税金額は同じです。

では、できるだけオトクにふるさと納税を利用するにはどうすれば良いのでしょうか?

ポイントとしては、ふるさと納税の金額を「上限金額」以内に収めることです。この上限金額は、年収や家族構成などによって異なります。
たとえば、年収500万円のAさんに専業主婦の妻と中学生以下の子どもがいるとします。この場合、年間49,000円が上限額です。
また、課税所得が400万円のフリーランスの場合、年間11万円が上限額となります。

これらの金額はあくまでも目安の額となります。詳しくは、税理士などの専門家やふるさと納税に関するWebサイトで確認することをおすすめします。

※参考
総務省/ふるさと納税ポータルサイト
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
※給与所得者の場合と事業主の場合で計算が異なるのでご注意ください。

また、ふるさと納税を利用してから税金が還付されるまでにはある程度のタイムラグがあります。
所得税や住民税から控除が行われるのは、ふるさと納税を行った翌年です。すぐにお得になるわけではないことも覚えておく必要があるでしょう。

確定申告を忘れずに!

先ほどのAさんのような会社員は、通常の場合、12月に会社が年末調整を行ってくれることになっています。
しかし、ふるさと納税を利用した場合は、給与による収入とは別の税額控除を行うことになるため、確定申告をしなければなりません。

方法としては、ふるさと納税を行った先の自治体(市町村など)から送られてくる「寄付金受領証明書」を、税務署に提出することで行います。
この寄付金受領証明書は、「この人は間違いなくふるさと納税を利用しました」という証明書類です。お礼の品に同封されていることもあれば、別々に送られてくることもあります。くれぐれも、なくさないようにしましょう。

確定申告の際に記入する申告書には、所得税・住民税ともに寄付金の額を記載する場所があるため注意が必要です。
それぞれの記載欄に「寄附金」という項目があるため、寄付をした金額(Aさんの場合は50,000円)を記載します。
ここを書き忘れると、税金の控除ができなくなりますので注意です!

フリーランスの方については、いずれにしても確定申告をする必要がありますので、ほとんど手間は発生しないでしょう。
ついでに、でも忘れずに行うようにしましょう。

知っとくと便利!「ワンストップ特例制度」

先ほど説明したように、ふるさと納税には確定申告がつきものです。
しかし、会社勤めで年末調整しか知らない人の場合、確定申告と聞くと躊躇してしまうケースもあるでしょう。

そこで、平成28年より、本来ならば確定申告をする必要がない会社員などで、年間に5つ以内の自治体に寄付をした人に限り、確定申告をしなくてもふるさと納税が利用できるようになりました。これを「ワンストップ特例制度」といいます

この「ワンストップ特例制度」は、寄付をする際に、ワンストップ特例制度の申請を希望することで利用することができます。
ネット上でも、いくつかのサイトでふるさと納税を受け付けているサイトがありますが、そのうちのひとつを選択した場合、ワンストップ特例を希望するかどうかのチェック欄が設けられているので、必ず「要望する」を選択しましょう。

すると、後日寄付をした自治体から、ワンストップ特例に関する申請書が送られてきます。
(自治体によっては、ホームページから申請書をダウンロードするところもあるので、よく確認してください)
この申請書に必要事項を記入して自治体に送ります。これで手続きは終了です。

ワンストップ特例制度は、6つ以上の自治体に寄付をした場合には利用できないため、この場合は確定申告が必要です。
また、1年のうちに同じ自治体に何度も寄付をした場合、その都度申請書を提出しなければいけないことも覚えておきましょう。

 

実はフリーランスでしっかり節税対策をされている方の場合、ふるさと納税による節税効果はあまり大きくはありません。しかしながら、様々なお礼の品を2,000円でゲットできるメリットがあります。
また、正社員として働いているクリエイターにとっては、上記メリットに加え、よりふるさと納税をやりやすい環境となってきています。
興味のある方は、さっそく気になる返礼品をチェックしてみましょう。

もちろん、寄付によってその自治体の活動が活発化する、復興支援に協力ができるといった”本来の目的”もお忘れなく。

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