
デザインでは日々のインプットが重要。本を読んだりセミナーや勉強会に参加したりと、インプット方法は多岐に渡りますが「デザイントレンドを確認する」ことも、また大切な一つとして挙げられます。
スケジュールがタイトだったりアイデアが詰まった時の参考やストックになるよう、今回は2019年最新デザイントレンドを現役デザイナーが選びご紹介していきます。
目次
■トレンドで終わらせない工夫
トレンドはあくまでも「流行」ですので、いつかは廃れてしまうものです。せっかくインプットしても、そのトレンドが「古臭いもの」になってしまったらと考えてしまうと、なかなか食指も動かないもの。
そこで、今回のトレンドは後々にも使えるようなデザインをセレクトして集めました。デザイン業務の足しにしてそれを利用するも良し、そこからまた新しいアイデアを生み出すきっかけ作りにしてもよいでしょう。
デザインに関しては本来「視覚的」なものなので、実際の画像を確認していただきたいと思いましたが、著作権の関係もあり実際の写真を記事上に掲載していません。そのため、それぞれの段落にリンクを入れさせていただきました。そちらをご覧いただけると本文のイメージがより鮮明になり得るかと思います。
■「リキッド感」のあるエフェクト
2019年は、四角・三角・円形などのようなポピュラーな要素にとらわれない『リキッド(液体)のような』デザインが重要になってくるようです。
この「リキッド感」あるエフェクトは、単に水のような流体を表現するだけではなく、さまざまな色と組み合わせてマーブリングのような表情を出す、インクや溶けたチョコレートなど濃度を変えたデザインで多様なイメージを創り出すことができます。
また、上述したポピュラー要素のオブジェクトとの相性も良く、アートボード以上に広がりのある空間を演出できます。要素が多く広がりを見せたい時などのデザインなど、使い勝手の良さも大きな魅力となっています。他にもタイポグラフィと組み合わせることで、ポップな印象からシリアスなものまでと、幅広くユニークなデザインを実現するのに役立つデザインです。
参考URL:Behance
■鮮明さを幻想的・近未来的に配色したデザイン
モノトーンとは正反対で、カラフルな色味を使ったデザインも増加傾向です。イメージとしては原色を多用するというより、外国のグミなどのお菓子で見られるような印象で、幻想・幻覚的かつ、近未来を感じさせる色味のデザインが特長的と言えます。また、流行り廃りが激しい3Dデザインも2019年のトレンドと言って差し支えありませんが、これらとの組み合わせでさらにインパクトを与えることができます。
デザインのコツとしては『ちょっとした照り感』を与えてあげることで、「フレッシュ」なイメージになります。そして、平面で色味を構成するのではなく光の当て具合などを計算したり注意することで凹凸感を出すような感じがオススメです。
参考URL:Behance
■「空間的に広がり」のあるレイアウト
グリッドに忠実なレイアウトではなく、空間を自由に使って開放的なレイアウトを組むのも徐々に流行してきています。これは数値的・視覚的に「気持ちの良いもの」であることは大前提で言うまでもないですが、各オブジェクトの配置ルールをいったん取り去って組むことで、よりダイナミックな表現が可能になります。
このような開放的なデザインは、Webサイトではよく見られる一般的なデザインの一つですが、最近は、それをグラフィックデザインに応用するデザイナーも増加しています。受け手のワクワク感や興味を惹きたい時など、自分の中の「デザインセオリー」を敢えて外し、思い切った要素の配置や繋ぎ合わせにチャレンジしてみると、今までの発想になかったデザインが完成するかもしれません。
ただし、このレイアウトは「基本レイアウト」を理解しているところから始まるので、理解が乏しい初心者デザイナーが組むと、広がりではなく「スカスカ」した貧相な印象になってしまうので注意が必要です。
参考URL:Behance
■「Living coral」や新元号”令和”の「慶祝カラー」
PANTONEは「カラーオブザイヤー」にて今年のテーマカラーを「Living Coral」と発表しました。「Living Coral」は流行が終わっても、例えば、女性っぽいデザインや差し色に使えそうな美しいピンクです。
一般的に「コーラルピンク」と呼ばれる色より少し濃いめで、「M」にいつもより「Y」を気持ち多めに入れた感覚と言えばよいでしょうか。明るめでありながらいやらしさのない色なので、落ち着いた配色にアクセントとして入れるとよく合います。「Living Coral」については、『世界的なテーマカラー』ということもあり、デザイン会社や個人がさまざまなカラーパレットを発表しています。配色の勉強にもなるので、ぜひ一度はチェックしてみましょう。
また、今年から新元号となった令和の「慶祝カラー」も、一般社団法人『日本流行色協会(JAFCA)』より発表されています。「梅・菫(すみれ)・桜 」という日本を代表する花をモチーフに作られているので伝統色と同じように扱い、流行り廃りに左右されることなく長く使用できるものとなっています。その点では「Living Coral」と同様と言えるでしょう。もちろん、今が旬と言える色でもありますから、機会があれば積極的に取り入れていきたい配色です。
参考URL:PANTONE「Living Coral」
参考URL:日本流行色協会「令和 慶祝カラー」
■まとめ
今回は、2019年のデザイントレンドからレイアウトや色などを中心に、デザイナーとして長く使えそうなものを選んでご紹介しました。いずれも少し手を加えれば、向こう数年は一線級で使えそうなものばかりと思います。もちろん「流行だから」と言って、やたらと安直に取り入れるのは考えものですが、情報としてインプットしておけば引き出しが増え、他に応用も効くので損はないでしょう。次回はWebトレンドを中心に、デザインをセレクトしてご紹介します。