UIデザイナーのポートフォリオの作り方|案件獲得を成功させる構成・事例

UIデザイナーのポートフォリオの作り方|案件獲得を成功させる構成・事例

UIデザイナーとしてキャリアを築く上で、自身のスキルや実績を効果的に伝えるポートフォリオは欠かせません。しかし、「どう作れば採用担当者の目に留まるのか?」「何を載せれば評価されるのか?」と悩む方も多いでしょう。

この記事では、UIデザイナーのポートフォリオ作成における重要なポイントを解説します。単なる作品集ではない、「成果を伝える」ためのポートフォリオ作成術を学び、あなたのキャリアを次のレベルへと引き上げましょう。

なぜUIデザイナーにポートフォリオが不可欠なのか?

UIデザイナーにとって、ポートフォリオは単なる作品の羅列ではありません。それは、経験年数だけでは測れないあなたのスキル、思考プロセス、問題解決能力を具体的に証明し、採用担当者やクライアントへの信頼を築くための最も強力なツールです。

UIデザイナーとWebデザイナーとの違いを理解する

UIデザイナーのポートフォリオは、しばしばWebデザイナーのポートフォリオと比較されますが、評価の焦点が異なります。

Webデザインのポートフォリオが、デザインの美しさや独自性を重視する傾向にあるのに対し、UIデザイナーには以下の要素を示すことが強く求められます。

  • ユーザビリティ(使いやすさ)
  • ユーザーエクスペリエンス(UX)への配慮
  • 機能性
  • 明確な問題解決のプロセス
  • デザインがユーザー行動やビジネスに与えた影響

単に「美しい画面」を見せるだけでなく、「なぜこのデザインにしたのか」「それがユーザーやビジネスにどのような価値をもたらしたのか」を論理的に説明できるかが重要です。

採用担当者はポートフォリオのどこを見ている?評価者の視点

女性の採用担当者が虫眼鏡を持って志望者を評価しようとしている

多忙な採用担当者は限られた時間で多数のポートフォリオを評価します。

彼らが重視するのは、表面的なデザインの美しさだけではありません。あなたのポートフォリオを通じて、以下の多角的な能力を見極めようとしています。

主要な評価ポイント

  1. 技術的スキル
  2. UX思考とプロセス
  3. 問題解決能力とインパクト
  4. コミュニケーションと協調性
  5. 対応可能な業務範囲と多様性

技術的スキル

  • Figma, Sketch, Adobe XDなどの主要デザインツール習熟度
  • プロトタイピングツールの習熟度

プロジェクトによっては、HTML, CSS, JavaScriptといったフロントエンド技術や関連フレームワークの知識も評価される場合があります。使用可能なツールは具体的に明記しましょう。

UX思考とプロセス

  • ユーザーリサーチの実施能力、ユーザーニーズの把握、課題定義の明確さ
  • リサーチ、アイデア創出、プロトタイピング、テストといった一連のデザインプロセスを論理的に実行できるか

最終デザインに至るまでの思考プロセス、つまり「どのようにしてその解決策に至ったのか」を示すことが最も重要視されます。

問題解決能力とインパクト

  • プロジェクトにおける課題をどのように特定し、解決したか。
  • ユーザーからのフィードバックやデータに基づいて、どのようにデザインを改善(イテレーション)したか。

デザインによってもたらされた具体的な成果(例:コンバージョン率向上、タスク完了時間短縮など)を定量的に示すことで、説得力が格段に増します。

コミュニケーションと協調性

  • デザインの意図や根拠を論理的に説明できる能力
  • チームプロジェクトにおける自身の役割と貢献を明確にし、他者と効果的に協力できるか

ポートフォリオ全体の構成や文章の分かりやすさも、コミュニケーション能力の一部と見なされます。

対応可能な業務範囲と多様性

  • 様々な種類のプロジェクト(業界、プラットフォーム、課題)に対応できる能力。
  • デザインプロセスの異なる段階(リサーチから実装まで)を担当できること。

避けるべき落とし穴

  • 最終的なモックアップ画像だけを掲載し、プロセスを省略する。
  • チームでの貢献が不明確。
  • ポートフォリオ全体の構成が分かりにくい。
  • 専門用語を多用しすぎる。
  • 質より量を優先し、低品質な作品を含める。

採用担当者は短時間で評価を行うため、情報を素早く、正確に伝えるための配慮が不可欠です。

ポートフォリオの基本構成要素:必ず含めるべき情報

パソコンでポートフォリオを作っている様子

企業採用者が目を引かれるポートフォリオは、以下の要素で構成され、あなたのプロフェッショナルとしての側面を包括的に伝えます。

プロフィール/自己紹介セクション

  • 基本的な経歴(学歴、職歴)
  • デザインに対する哲学、情熱、価値観
  • 将来的なキャリア目標

プロフィールはあなたの個性や、どのような仕事に関心があるかを示す重要な部分です。簡潔に、あなた自身を表現しましょう。

スキルセット

テクニカルスキル

Figma, Sketch, Adobe XDなどのツール名、プロトタイピングツール、関連ツール(Zeplinなど)を具体的にリストアップします。HTML, CSSなどのコーディングスキルもあれば記載します。

ソフトスキル

コミュニケーション能力、問題解決能力、共感力、チームワークなど。具体的なエピソードで示すのが効果的です。

知識・方法論

デザイン思考、ユーザー中心設計(UCD)、ペルソナ作成、ユーザビリティテストなど、習熟しているプロセスや方法論。

連絡先情報

関連するSNSプロフィールのリンクも忘れずに記載しましょう。ポートフォリオのどのページからでも簡単にアクセスできるように配置します。

(推奨)履歴書・職務経歴書へのリンク

詳細な経歴を確認したい採用担当者のために、ダウンロード可能なPDFへのリンクを用意しておくと親切です。

パーソナルブランディングの重要性

ポートフォリオ全体を通じて、色使い、フォント、レイアウト、文章のトーンなどを一貫させることで、あなた自身の「ブランド」を構築しどのようなデザイナーであるかを効果的に伝えることができます。

採用担当者を惹きつけるケーススタディの作り方

ポートフォリオの核となるのが、具体的なプロジェクト事例を紹介するケーススタディです。あなたのスキル、思考プロセス、そして成果を最も説得力をもって示すことができます。

プロジェクトの選定

量より質を優先

自信があり、スキルを効果的に示せる3〜5件程度のプロジェクトに絞り込みましょう。

多様性

異なる業界、プラットフォーム、解決した課題のプロジェクトを含めると、対応範囲の広さをアピールできます。

関連性

応募する職種や企業に最も関連性の高いプロジェクトを優先します。

冒頭に自信作

最もアピールしたいプロジェクトを最初に配置し、第一印象で惹きつけましょう。

優れたケーススタディの構成(ストーリーテリング)

各ケーススタディは、読者が追体験できるよう、物語のように構成します。

プロジェクト概要

  • タイトル
  • 簡単な説明
  • クライアント
  • 背景
  • 期間

課題設定

プロジェクトが解決しようとした具体的なユーザーニーズやビジネス課題を明確に定義します。なぜそのプロジェクトが必要だったのか、課題の深刻さを伝えます。

自身の役割と責任

チームでのプロジェクトの場合、あなたが具体的に何を担当し、どのような貢献をしたのかを明確に記述します。

プロセスと方法論

ここがUIデザイナーの腕の見せ所です。 課題解決のためにどのようなステップを踏んだのか、思考プロセスを具体的に示します。

ユーザーリサーチ

どのような手法で、どのようなインサイト(洞察)を得たか。ペルソナやカスタマージャーニーマップなど、作成物を見せる。

アイデア創出・ワイヤーフレーム

アイデアがどのように生まれ、ワイヤーフレームやIA(情報アーキテクチャ)として形になったか。

プロトタイピング・UIデザイン

なぜそのUIデザイン(色、フォント、レイアウトなど)を選んだのか、根拠を説明します。複数の画面遷移を示すことで、ユーザーフロー全体を考慮していることをアピールします。

ユーザビリティテスト・イテレーション

テスト結果から何を学び、どのようにデザインを改善したか。Before/Afterを示すと効果的です。

ソリューション(解決策)

最終的なデザインやアウトプットを提示します。

結果とインパクト

デザインがもたらした具体的な成果を定量的に示します。
(例:CVR〇%向上、タスク完了時間〇秒短縮、ユーザー満足度スコア改善など)。

可能な限り数値データを用いましょう。定性的なユーザーの声なども有効です。

学びと考察

プロジェクトを通じて得られた学びや反省点。自身の成長意欲を示します。

ビジュアルストーリーテリング:効果的な見せ方

高品質なビジュアル

鮮明で解像度の高いスクリーンショットやモックアップを使用します。

多様なビジュアル要素

最終画面だけでなく、ワイヤーフレーム、プロトタイプ、図解なども含め、プロセスを視覚的に補強します。

インタラクションの提示

可能であればGIFアニメーションや短い動画で、操作感や画面遷移を見せると理解が進みます。

一貫性と可読性

レイアウト、タイポグラフィ、配色に一貫性を持たせ、読みやすいデザインを心がけます。余白を効果的に活用しましょう。

ポートフォリオ作成の具体的なステップ

ポートフォリオ作成のための4ステップ

効果的なポートフォリオは計画的に作成されます。以下のステップで進めましょう。

ステップ1:計画とコンテンツ戦略

目標設定

誰に(どのような企業/職種)何を伝えたいかを明確にします。

アセット収集

これまでのプロジェクト資料を整理します。

プロジェクト選定

目標に合わせて掲載プロジェクトを選びます。

ケーススタディ構成案作成

各プロジェクトのストーリーのアウトラインを作成します。

ステップ2:プラットフォームの選択

Webサイト

高いカスタマイズ性、インタラクティブな表現。プロフェッショナルな印象を与えやすく、更新も容易です。Wix, Squarespace, Webflow, FramerなどのWebサイトビルダーを活用するのも手軽です。

PDF

レイアウトの自由度は高いが、インタラクティブ性に欠けます。特定の応募先への提出や印刷向け。

一般的には、アクセシビリティや更新の容易さからWebサイトまたはオンラインプラットフォームが推奨されます。

ステップ3:ポートフォリオのデザイン(UI原則の適用)

ポートフォリオ自体を一つのUI/UXデザインプロジェクトとして捉えましょう。

ユーザーエクスペリエンス重視

明確なナビゲーション、論理的な情報構造、高い可読性。採用担当者が必要な情報に迷わずたどり着けるように設計。

視覚的な一貫性

あなたのパーソナルブランドを反映させたデザインにします。

階層構造とスキャン容易性

見出し、箇条書きなどを活用し、情報を素早く把握できるように工夫します。

補足:ツールの活用

  • デザインツール:Figma, Sketch, Adobe XDなど
  • Webサイトビルダー/CMS:Wix, Squarespace, Webflow, Framerなど

ステップ4:レビューと改善

校正

誤字脱字、文法ミスがないか徹底的にチェックします。

フィードバックの収集

同僚やメンターなど、第三者にポートフォリオを見てもらい、客観的な意見をもらいましょう。

イテレーション

得られたフィードバックに基づき、改善を繰り返します。ポートフォリオは一度作ったら終わりではなく、継続的に更新・改善していくことが重要です。

さらに差をつける!ポートフォリオ差別化のヒント

基本を押さえた上で、あなたのポートフォリオをより印象的なものにするためのヒントです。

ターゲットに合わせたカスタマイズ

応募先の企業や職種に合わせて、掲載プロジェクトの取捨選択や、各プロジェクトで強調するポイントを調整します。

個性を反映させる

あなた自身の視点やデザインへの情熱を、ポートフォリオ全体のデザインや文章で表現しましょう。個人的なプロジェクトを含めるのも有効です。

プロセス重視でストーリーを見せる

完成形だけでなく、初期のスケッチ、ワイヤーフレーム、試行錯誤の過程、失敗談と学びなどを正直に示すことで、現実的なプロジェクト遂行能力や学習意欲をアピールできます。なぜそのデザイン判断を下したのか、意思決定の根拠を説明しましょう。

簡潔さとスキャン容易性

採用担当者の時間を考慮し、要点を絞り、視覚的な工夫(見出し、箇条書き)で素早く情報が伝わるように工夫します。結論を先に提示する構成も有効です。

経験豊富なデザイナー向け

  • 単なるデザインスキルだけでなく、プロジェクト全体を俯瞰する戦略的思考や、チームリーダーシップ、後輩育成経験などをアピール。
  • デザインがビジネスにもたらした成果を、具体的な数値データ(KPI改善率など)で示す。
  • 複雑な課題への対応力、困難な制約下での問題解決エピソード。
  • NDA案件は、プロセスに焦点を当てる、情報をマスキングする、あるいは代替の個人プロジェクトを掲載するなどで対応。

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ポートフォリオ作成のヒントをお伝えしてきましたが、どこから手を付ければ良いか悩んでいる方もいるかもしれません。

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まとめ:ポートフォリオを完成させてキャリアを切り開こう

UIデザイナーのポートフォリオ作成は、自身のスキルや経験を体系的に整理し、言語化・可視化するプロセスそのものが、デザイナーとしての自己理解を深める貴重な機会となります。

この記事で解説したポイントを踏まえ、あなたのポートフォリオを構築・改善していきましょう。

【最終ポートフォリオ準備チェックリスト】

  • 明確なプロフィール/自己紹介がある
  • 具体的なスキルセット(技術・ソフト)が記載されている
  • 連絡先情報が簡単に見つけられる
  • 掲載プロジェクト(3〜5件程度)が適切に選定されている
  • 各ケーススタディでプロセス(リサーチ〜テスト)が示されている
  • 各ケーススタディで自身の具体的な役割が明記されている
  • 可能であれば、成果やインパクトが定量的に示されている
  • 高品質で分かりやすいビジュアルが使用されている
  • ポートフォリオ全体のデザインやトーンに一貫性がある
  • 誤字脱字がなく、文章が校正されている
  • 第三者からのフィードバックを得て改善した
  • 応募先に合わせて内容を調整済み(該当する場合)

ポートフォリオは、単なる過去の実績集ではなく、あなたの「未来の可能性」を示すものです。完璧を目指しすぎず、まずは形にして、フィードバックを得ながら反復的に改善していく姿勢が重要です。

もしポートフォリオの作成に迷われたり、改善点のアドバイスが必要な場合はユウクリにお問い合わせください。ユウクリはデザイン・クリエイティブ専門の人材エージェントとして、これまで37,000人以上のワーカー様にご登録いただき案件獲得のお手伝いをしてきました。

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