【Xデーは来年?】拡大を続けるWeb市場と転職マーケットへの影響

毎年電通より発表される「日本の広告費」。今年もまた、2017年1月~2017年12月にかけての結果が発表されました。ここ毎年の傾向としてめざましい成長を続けるインターネット広告費ですが、2017年もその勢いは健在。その勢いは、転職・求人マーケットにも大きな影響を与えています。今回は、拡大を続けるWeb市場を2017年の広告費データなどをもとに解説します。
※2017年 日本の広告費(電通発表)はこちら

 

2016年の特徴やインターネット広告の詳細、Web周辺領域における変化はこちらもご参考ください。
【急成長を遂げるインターネット広告。最新の動向を解説!】
http://www.y-create.co.jp/forbusiness/advertising_expenses/

 

「2017年 日本の広告費」の概要

まずは2017年の概要をざっくりとご紹介します。

<全体傾向>
・2017年の日本の総広告費は6兆3,907億円
・前年比101.6%。6年連続でプラス成長

<個別傾向>
(マスコミ4媒体)
・新聞 :5,147億円(前年比94.8%)
・雑誌 :2,033億円(前年比91.0%)
・ラジオ:1,290億円(前年比100.4%)
・テレビ:1兆9,478億円(前年比99.1%)

(その他の媒体)
・インターネット広告費:1兆5,094億円(前年比115.2%)
・プロモーションメディア広告費:2兆875億円(前年比98.5%)

 

各媒体別の推移

マスコミ4媒体は「ラジオ」を除き前年割れ。4媒体合計でも3年連続での減少となりました。

このうち、「テレビ」は前年比99.1%でしたが、「テレビ」の広告費は「地上波」と「衛星メディア関連」の合算となっており、構成比として割合の多い「地上波」(1兆8,178億円)のみで見ると前年比98.9%と、より減少が大きい実態があります。

マスコミ4媒体以外では、「プロモーションメディア広告費」は前年割れ
この広告費は、「屋外」「交通」「折込」「DM」「フリーペーパー・フリーマガジン」「POP」「電話帳広告」「展示・映像ほか」を含んでおり、そのため全体金額が高いのですが、個別に見ると「屋外」「POP」「展示・映像ほか」の3つが増加。残り5つが減少となり、全体としても前年から減少。マスコミ4媒体と同じく3年連続の減少となりました。

そして今回のテーマでもある「インターネット広告」。
「インターネット広告」は前年比115.2%増となり、実に4年連続で2桁成長。電通も「2017年 日本の広告費」発表の冒頭でこの件に触れています。

なお、「インターネット広告費」は「広告媒体費」と「広告制作費」で構成されていますが、
・広告媒体費:1兆2,206億円(前年比117.6%)
・広告制作費:2,888億円(前年比106.1%)
といった内容となっています。
(構成・各内容の詳細はこちら
見ての通り、構成比として多くを占める「広告媒体費」が大幅に増加、少なめである「広告制作費」についても堅調に増加となっています。

他媒体が軒並み前年割れする中、「インターネット広告費」は引き続きの拡大中。
これにより、2016年はすべての広告費に対し「インターネット広告費」は20%程の割合を占めていましたが、2017年においては23.6%まで増加。いかに「インターネット広告費」の伸びがすごいのかがわかる数字です。

 

インターネットがテレビを超える日

優クリLabで2016年の広告費を解説した際、下記のような言及をしています。

「日本の広告市場は、だいたいアメリカの市場の5年遅れぐらいのサイクルで動いています。そのアメリカでは2015年にテレビの広告費をインターネットが上回りました。この点からも、2020年前後が1つの分岐点になるのではと予想されています」

実際に、ここ2年の「インターネット」「テレビ」との広告費推移をベースに、2020年までを予測してみましょう。
※参考までに、全広告に対し一番割合の大きい「プロモーションメディア」も併記します。

<インターネット>
2016年:前年比113.0%
2017年:前年比115.2%
平均:114.1%

<テレビ>
2016年:前年比101.7%
2017年:前年比99.1%
平均:100.4%

<プロモーションメディア>
2016年:前年比98.9%
2017年:前年比98.5%
平均:98.7%

とても単純な計算をしていますが、見ての通り、2019年に「テレビ」は1兆9,634億円「インターネット」は1兆9,650億円となり、わずかな差ですが「インターネット」が「テレビ」を越しています。

「インターネット」が「テレビ」を超すXデーは、早ければ2019年となるかもしれません。

実際のところ、2018年はサッカーワールドカップ、2019年は新天皇の即位、2020年は東京オリンピックと、視聴率が上がる可能性が高いイベントが続きますので、Xデーは2019年というのはあくまで可能性レベルの話とも言えます。
ですが、2020年にはほぼ確実に「インターネット」が「テレビ」を上回っているでしょう。

さらに、増加割合がこの通りに増加するのであれば、同じく2020年には広告費として一番シェアの大きい「プロモーションメディア広告費」をも上回ることになりそうです。

 

Web市場の拡大が与える転職市場への影響

停滞や市場縮小が続くマスコミ4媒体に対し、圧倒的な成長が続くWeb市場。この勢いは転職市場にも強く影響を与えています。

一番わかりやすく、かつ転職希望者にとっても気になる数値の1つが「年収」でしょう。
採用ニーズが強まれば、応募者を集め採用力を高めるために年収が高騰する傾向にあります。

優クリエイトでは、毎年クリエイティブ職の市場調査を行っており、2017年については下記のような結果でした。

上記データでは、Webディレクターと対となるグラフィック系のディレクター職のデータがないため若干直接的な比較は難しいものの、全体的にWeb職種の方が高いのがわかります。

下限金額は、若年層の年収は職種によっての差が開きづらい傾向にあります。そのため平均金額ベースではグラフィックデザイナーとWeb制作職種の差は、差こそあれある程度近しい数字になります。

一方、その職に対し最大限払える金額としての上限金額は、職種ごとの差が付きやすい金額と言えます。
実際、グラフィックデザイナー各職の平均が400万円後半に対し、Webデザイナー・コーダー職は500万円後半。100万円近くの開きがあります。
さらにWebディレクターは600万円オーバー。仮にグラフィック系のディレクター職のデータがあったとしても、おそらくはここまでの金額にはならないと想像されます。

 

Web市場のまとめ

「Web制作の仕事がとても増えている」「プロモーションの軸がWebとなっている」。
このような声を多くの制作会社の方・クリエイターの方から聞きますが、事実、Web市場はこれだけ広がりを見せ、あと1,2年のうちにテレビの広告市場を上回り、さらには分野別でも広告費シェア1位となる見込みです。

また、転職市場においても求人ニーズは圧倒的であり、その実態が年収という日々の生活にダイレクトに影響する面で数字となって表れています。

広告市場で活躍するクリエイターにとって、この状況は決して無視できない状況となっていると言えるしょう。

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