第1回【編集ライター】紙媒体出身者がWeb媒体で注意すること~キャリアチェンジの心得~

メディアとしてWebが勢いを増している今、紙媒体で積んだキャリアをWebの世界で生かしたいと思っている方も多いと思います。そこで今回は、四半世紀以上紙媒体での編集・ライティングを生業とし、現在はニュースサイトのディレクション等で生計を立てている編集ディレクターの方に、Web業界で働く方々のリアルなご意見をまじえつつ、キャリアチェンジの心得についての解説記事を執筆いただきました。「紙媒体だけでなく、Webも・・・」と考えている編集・ライターの方必見です!

Web記事の構成はシンプル

紙媒体出身者といっても、そのジャンルは多岐にわたります。
今回は、雑誌の編集経験者およびライターに特化して話を進めていきます。

編集者、ライターにとって、雑誌とWebの一番の違いは記事の構成がシンプルという点です。
パソコンが主流だったWeb創世記には、雑誌をめくるようにページが繰れたり、画面をタップすると画像や文字がムービングしたりと、コンピューターならではの趣向を凝らしたWebサイトが多くありました。しかし、読者の使用端末多様化に対応し、タイトルと本文が縦スクロールで読める記事がほとんどとなっています。
複雑なページレイアウトを構成し、記事を執筆してきた紙媒体出身者にとって、フォーマット化されたWeb記事のスタイルは「自分にも十分対応可能」という思いを持たせます。

でも、ここに紙媒体出身者が落ちやすいちょっとした穴があります。

紙媒体記事とWebで求められる記事の違い

紙媒体で培ったライティングクオリティはWeb記事でも大きな強みになります。でも、Web編集者から「紙媒体出身者の方は、タイトルを凝りすぎているから、毎回直さなくてはいけなくて面倒」という声も聞こえてきます。

雑誌におけるタイトルの惹きは「ドラマティック性」ですが、Web記事のタイトルで重要視されるのは「SEO(検索エンジンの最適化)」です。
紙媒体を愛していると、「Web記事のタイトルをベタすぎてつまらない。これでいいわけがない。もっとこう、あるだろう!」と思う気持ちになるのはわかりますが、一見すると同じように見えても(紙媒体でもインタビューや座談会記事など、タイトルと本文のみ、という構成もありますよね)、全く別物なのです。

本文にしても、紙媒体なら雑誌を開けば全容が視覚で認知できますから、読み始めたら最後まで読んでもらえる可能性が高い。そのため後半部分にクライマックスをつくるという構成がアリです。
でも、Webの場合、スクロールしなければならず(冒頭分しか表示されない仕様もあります)、冒頭がつまらなければ離脱されてしまいます「紙媒体出身者の方の原稿はオチまでが長すぎる」というのも、多くのWeb編集者が感じている点です。

紙媒体出身者がWebでキャリアを活かすには、まず、紙媒体とWebは似て非なるものであることを心して「頑固に紙媒体のルールを持ち出さない」ということが重要です。

プロのWebライターは少数

編集者及びライターには特別な資格やキャリアが必要ではないので、自分で名乗ってしまえばその時点で即、編集者でありライターです。Webの世界ではそれが顕著で、たとえば、20代向けの記事を1日に20記事以上配信している某大型キュレーションメディアに寄稿しているのは、現役の女子大生やOLの方々です。
電機メーカーに勤務しながら、本業で得た知識を元に家電の記事をアフィリエイト系キュレーションサイトに寄稿している方、語学力を活かして海外のWebサイトから記事をピックアップし、日本語版としてトレンドサイトに寄稿している方など、二足の草鞋でWebライターをされている方も多くいます

そのため、家事アイテムの紹介記事が「楽しく家事をする方法を見つけて、ライフスタイルを楽しんでくださいね」という文章で締められていたり、おすすめ浴衣記事に掲載されている浴衣のキャプションすべてに「洗練」という言葉が使われていることもあります。紙媒体出身者なら、「楽しく~楽しむ」とひとつの文章の中に同じ言葉が入っていると書き直したくなるし、「洗練」を上品、あでやか、シック、小粋、スタイリッシュ、あか抜けた、こなれたなど、とにかく言い方を変えなければ記事とはいえないと感じると思います。

筆者が今でも思い出すたびにもやもやしてしまうのは、薄桃色のスーツケースのキャプションに、「ビビッドなピンクがかわいい!」と書いてあったこと。
ビビッド…? プロのライターなら許されざる事件ですが、実際、上で紹介した通り、Webで記事を寄稿している方々はプロでない方が多い。むしろ、プロライターは少数といえます。加えて、編集者が直さなかったということは、それでいい、ということなのです。「そこにはこだわらなくていい」と。

言葉をこねくり回すことに時間を費やしてしまう、これも紙媒体出身者が陥りやすい罠ですが、Web記事にはスピード感のほうが重要なのです。
しかしながら、「PV数を稼ぐために一定の記事量はもちろん必要。でも、実はもっとクオリティの高い原稿がほしい」とこぼすWeb編集者も多く、Web業界は、とにかく掲載できる記事があればいいという段階から、クオリティ改善に注力する第2シーズンに突入しています

ついに紙媒体出身者の活路ができたといいってもいいでしょう。

Web記事を読みながら、私だったらもっとちゃんと、しっかりした原稿が書けるのにとキリキリしている方、今がチャンスです。スピーディにクオリティの高い記事がつくれることを見せつけましょう!Web記事の場合、経費をかけて取材をした記事を納品する案件よりも、自身の知見を生かして記事にする案件のほうがより多く発生します。シーズンやトレンドを意識した企画を出すのは、紙媒体出身者の得意とするところ。
Web業界のルールを学びつつ、自身のキャリアを生かした飛躍を、陰ながら応援しております!

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