【後編】Q.つまるところ、外資代理店って日本人には向いてるの?

外資代理店ってどうなの?3

外資系広告代理店に関するシリーズもいよいよ最終回。日本で外資系に勤めることの良さ、そして日本人に向いているのかどうか、そのあたりにお答えしてします。今後、転職活動の選択肢が増えることあるかもしれません。ぜひお読みください。

Q13.海外出張は多いのですか?

クリエイティブに関しては、企業や役職にもよりますが、出張はそんなに多いとは思えません

ワールドワイド・ブランドを担当するアカウントは海外出張の機会もあります。しかしローカライズと呼ばれる日本の風土にあった表現を担当する場合は、海外とのやりとり自体もそれ程多くないでしょう。

また、前回のQ8でも触れましたが、日本はアジア全体を取りまとめている「アジアリージョン」に属しますが、アジアリージョンの中心が日本ではなくシンガポール、中国などである場合、そこが会社として上層組織となります。そうなると当然、マネージメントの方はそこを訪れる機会が多くなります。

その他、クリエイティブにとって嬉しい海外出張は、授賞式でしょう。外資広告会社では国際的な賞への応募を奨励しています。
参照:「優クリ-Lab for Creator【クリエイターが押さえておきたい広告賞2016】
そして入選、入賞ともなれば授賞式へ出向いて行くことになります。この時の喜びはひとしおのものでしょう。
 

Q14.では、海外への転勤は多いのですか?

こちらもクリエイティブに関しては、言葉の壁もありますので多いとは思えません
転勤先の言語も英語も話せないアートディレクターが海外へ転勤することはまずないと言ってよいでしょう。ECD(エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)、またはそれに準ずるCDが海外へ赴任するケースはまれに見られます。それはクリエイティブを立て直す目的があったり、あるいは本人の希望でしょう。

マネージメント、アカウントは担当ブランドやリージョン組織の関係などで海外へ転勤することはあります。この辺りは広告会社の体制によってかなり違ってきます。
 

Q15.社内公用語は英語ですか?

あくまで私の知る限りですが、英語を完全な社内公用語にしている外資系広告代理店は日本では見かけません。「完全な」と断ったのは、アカウントにおいては公用語化している場面もあるからです。クライアントの担当者が日本語を解しない外国人である場合などは、そのクライアントとの打ち合わせは英語で行われます。

企業により英語の必須度は変わります。日本法人の大半が日本人で、クライアントも日本人となれば英語は必要ないでしょう。
逆に社内、クライアントともに英語スピーカーで占められていれば必須でしょう。TOEIC700点以上、800点以上と基準を定めて、その上に会話力が求められます。

クリエイティブにおいては、英語をほとんど喋れないなんて言う人も少なくありません。英語力よりはクリエイティブ力です。企業規模にもよりますが、クリエイティブのために同時通訳を雇っている企業も見受けられます。しかし、テレカン(電話会議)、ビデオ会議やメールのやり取りも出てきますので、通訳がいるとしても全く英語の理解力がないのは不自由かもしれません。
 

Q16.最近見かける外資コンサルティング会社とは違うのですか?

とても良い質問です。これは業界の未来に関わる話です。

今、外資コンサルティング会社と広告代理店が非常に接近しています。接近と言っても両社が協業するのではなく、お互いの業務に浸食し始めています。広告代理店はこれまでももちろんマーケティングを行っていましたが、コミュニケーション、プロモーション分野に限られていました。しかし時代はその戦略に変更を迫っています。

細かな説明はここでは避けますが、以下の3つの力が大きく影響しています。
・インターネット、デジタルメディアなどのテクノロジーの進化
・物流、通信の発達によるグローバル化
・上2つの影響を受けた生活者(消費者)の成熟、購買スタイルの変化

このため広告会社はこれまでの業務範囲にとどまらず、よりクライアントのバリューに対応するべく、経営戦略、事業戦略、商品開発など一貫したサービスを提供したいと考えています。

一方、コンサルティング会社も従来業務のコンサルティングやシステム構築の延長上に、企業のパフォーマンス向上につながるクリエイティブ、デジタル、モバイル、販売などの開発を手がけたいと考えています。

この流れを俯瞰して眺めると、将来的に外資系コンサルティング会社と広告代理店は違いがなくなるかもしれません。

ところで、日本の大手企業もこうした世界的な動きに対する研修や組織的な取り組みを行われていると思いますが、外資系企業ではやはり世界の流れをいち早く社内へ流していると思います。
 

Q17.外資広告代理店はクリエイティブエージェンシー?

この質問では、先に「広告代理店」という言葉を理解していただきたいと思います。

「代理店」というのは、言葉本来の意味からすると、広告媒体の販売代理をしていたことに由来します。日本では媒体料金が非常に高いので、日本の広告代理店はそのマージンが売り上げの大部分を占めていました。

しかし広告代理店とは名乗りながらも媒体を持たない会社が登場したことや、また一方で媒体の元売りを寡占してきた電通がインターネット登場以降のアイデンティティ確立に動いたこと、さらに海外でのクリエイティブブティックの登場などが影響して「代理店」の意味が変化しました。そして、ブランディングを丸抱えする会社は「広告会社」と名乗る動きにあります。

質問にある「クリエイティブエージェンシー」ですが、広告会社のうち制作を主な仕事にしている会社です。メディアを持たずに、しかしクリエイティブの一部としてメディアプランも含めて提案します。
元電通の岡康道さんが設立したタグボートが代表的な存在です。

また、クリエイティブブティックはさらに制作に特化していて、多くはマーケティングを行わないようです。クリエイティブブティック自体があまり聞きなれない言葉かもしれませんが、海外では、制作物が常に話題になるような、少人数・小規模の特化・特徴的な制作会社をこのように呼んでいます。

さて、やっと質問にたどり着きました。「外資広告代理店はクリエイティブエージェンシーなのか?」
一般的には小規模な会社を呼びますので、そういう意味では違いますが、外資広告会社の中にも特定のグローバルブランドをクライアントにして、制作グループも1つだけの少人数の会社もあります。彼らはクリエイティブエージェンシーと呼べるかもしれません。
 

Q18.日本人に向いていますか?

長くシリーズを読んでいただいた通り、外資系企業が夢の世界でないことは分かったと思います。自由な雰囲気はありますが、一方で仕事に厳しい面もあります。報酬も黙って高額を貰えるわけではありません。海外のクリエイティブ関連情報などはいち早く入って来ますが、それが日本で対応できるかは分かりません。

そういった事を考え合わせると、クリエイティブの未来に自分なりの目標を設定できる人は向いているように思います

ただ何となく入社してしまうと戸惑うこともあるかもしれません。文化の違いも確かにある環境です。
でも、英語力とか労働環境・条件などをではなく、クリエイティブを第一にしていける方であれば、非常に面白いのではないでしょうか。

 

外資系広告会社に関する質問にお答えした3回シリーズ。いかがでしょうか?皆さんの就職、転職の選択に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

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