【フリーランス】「売り上げ設定」ってどういうこと?そもそもどうすればよいの?

フリーランスや副業を行う時、よくある悩みのひとつが生活の糧・事業として「売り上げ設定をどうするか」です。SNSなどでも度々話題になるネタですが、好意的に拡散されている情報でもかなり安価な設定をしている方が多く、フリーランスとして考えると「本当にそれで生活できるの?」と感じることも多々あります。そこで今回は、実際にフリーで、デザイナー・ライターを生業としている筆者の経験を基に、売り上げ設定・算出方法などをご紹介します。

 

「売り上げ設定」する前に必要な「数値目標」を立てよう

最初からちょっと複雑な話をします。

まず、売り上げ設定する前に「月(または年)にどの程度の収入を得たいか(得なければならないか)」という、おおまかな数値目標を立てることが必要です。
これには「月にどのくらいあれば生活できるか」ではなく「事業としての利益」が出るようするためにはいくら必要かを考え数値設定することが大事です。

よく「サラリーマンは自分の給料の3倍稼げ」と言われますが、これは、サラリーマンの稼ぎ=売り上げがそのまま利益になるわけではなく、人件費や設備費など必要な経費などを差し引いた後の金額が、会社にとっての利益となるためです。

フリーランスだとついつい「生活できるか」を考えがちですが、上記のように事業として考えた場合、これは会社同様、人件費(給与など)・家賃(地代)・通信費・資料代・雑費などはすべて経費であり利益ではありません。これらを支払った後にしっかりと純利益が出るように数値設定をすることは、先々に起こりうる突発的な事態などに備える上でも必要不可欠となってくるのです。
サラリーマンの例は、そのままフリーランスにも言い換えることができます。

そして業種にもよりますが、企業における人件費はおおむね30%程度が健全だと言われます。
たとえば、東京都産業労働局の「業種別経営動向調査」によれば、広告制作業の平均人件費は33.8%と発表されています。そこで、仮に人件費を30%としてあてはめると、30万円の純利益(月収)を得たい場合、約90万円の売上があれば、経営は健全であると言えそうです。

もちろん、これはあくまで単純な計算なので、実際は50や60万円程度でも構いません。現状と相談して目標を立ててみましょう。
重要なのは利益を出すことです。

具体的な設定方法として、「時間給計算」「制作物で計算」する方法が考えられます。
今回は、上述した90万円をモデルとして方法を解説していくことにします。

 

最も簡単な方法は、時間給で計算してみること

売り上げ設定を考える際に、最も簡単な方法は「時給で換算する」ことです。

たとえば、土日祝日を休みとした場合、月の平均稼働日数は約21日ほど。1日8時間働くと仮定、そうすると月の稼働時間は168時間になります。
これに対し月の売上目標を前述の90万とすると、時給は5,357円となります。時給×稼働時間=基本の売り上げ設定です。

業種や案件にもよりますが、フリーランスの時給としてはこの5,000円前後あたりがベストかと思われます。高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、見積もりは無料ですし、クライアントにも臆せず提示してみるのもいいでしょう。

交渉としても、

1、通ったらいいなと思う価格
2、このくらいが妥当だなと思う価格
3、最低限もらいたい価格

これを設定しておくと、自分の売り上げや稼働時間の見積もりがつきやすくなります。

さらに、価格交渉や時給計算を行う上では、自分が行う作業に対しどのくらいの時間を必要とするか?を常に意識しておきましょう。5,000円の案件を1時間で行えば時給は5,000円ですが、2時間かかれば2,500円となり、稼働時間を倍にしなければ売り上げ目標は達成されなくなります。そして作業時間だけではなく、打ち合わせや移動時間もプラスして考えることが重要です。

 

制作物に対して値付けをするのも有効な手段

制作物に対して値段を設定しておくのも、売り上げを決めるうえで有効な手段です。
たとえばデザイナーであれば「名刺5,000円(初案3案/片面デザイン)」とか、「パンフレット8,000円(1ページ)」などと設定しておくと、すぐに見積もりが提示できるので便利です。

価格決定にあたっては上述の時給換算から算出するもよし、グラフィックデザインであれば「公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」のデザイン料金表を参考にするのもよいでしょう。ただし、これは1994年に改訂されたものなので、現在の価格感とずれているのもあるので、あくまで参考程度ということで。

Webデザインに関しては、作業範囲・要件の定義が多岐にわたるので一概には言えませんが、制作会社のWebサイトを比較するとおおまかな相場観がわかってくるので、それを参考に自分なりの価格設定をするのもよいでしょう。

ライティングに関しては文字単価での計算方法もありますが、昨今の異様に安い価格設定に惑わされないよう、できれば時給もしくはページ単価での算出方法をおすすめします。

また、業種を問わず「修正に関しての取り決め」は必ず最初に行っておきましょう「修正は◯回まで。以降の修正は請求額の◯%」などと予め決めておくと、無駄な修正やトラブル防止になり、取り逸れることもありません。

ライティングの価格設定でもありましたが、フリーランスで仕事を長く続ける筆者から言わせていただくと、クラウドソーシングの価格を参考にするのはやめておくのがよいでしょう。相場よりかなり安い提案や案件が多く、これを設定の参考にしてしまうと事業としては成り立ちません。あくまで「事業としての利益」を出すことを目的に設定しましょう。

また、一部の企業の中には、このクラウドソーシングの相場をもとに発注金額を検討する企業もいますが、その場合は、クラウドソーシングの場合は未経験者や経験の浅いクリエイターが対応することを前提としたような金額感であり、一定の経験を持つクリエイターにとっては相場よりかなり安い金額であることをしっかりと説明する必要があると言えます。

 

まとめ

売り上げに関しては、ついつい「交渉の自信もないから、少し安くしておこうかな」と控えめになりがちな傾向があります。
しかし、それはいずれ自分の首を締めることになりますし、マクロな視点で見れば業界全体の相場を下げる行為にもなり得ることを肝に命じておきましょう。

長くフリーランスを続けられるように「自分の値段」と「スキル」をしっかり設定・把握し、健全な「経営」を目指せるようにしたいものですね。

 

参考:東京都産業労働局「業種別経営動向調査」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/chushou/7f54b3b2e7203d50383912f35d979f76_1.pdf

「公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)/デザイン料金表」:
http://www.jagda.or.jp/designfee/cf_fee.html

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