【恐怖の実録!!】フリーランスが無保険で入院すると”精神的・金銭的”にどのような状態になるのか

今回このコラムでは、筆者の体験をもとに「フリーランスが無保険(国保のみ加入)で入院すると具体的にどうなるのか?」、そして「どのような対処をすればよいのか?」などを当時の具体的な状況を挙げながら、記していきたいと思います。モデルケースは筆者〈35歳の独身男性/フリーランスのグラフィックデザイナー・ライター/保険は国民健康保険のみ〉。「鼻出血」で入院し全身麻酔にて焼灼。入院期間は2週間、その後の通院期間は1ヶ月です。

 

入院はノマドじゃない。まともに仕事はできないと思うべき

最近は病院内でもスマホやPCを使用できるところが多くなっているので、家から機材さえを調達すれば作業ができると思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、当然というべきか、まともな仕事はできないと考えていただいて差し支えありません。

入院中は自分の意思や気分に関係なく、日に何度も採血をされ、受診をし、回診を受け、決まった時間に食事が供されます。さらに見舞客への対応もあります。フリーランスはほとんどが自分の裁量で仕事をしている人といっても過言ではないでしょうから、かなりペースを乱されることは間違いないでしょう。

さらに、私の場合は失血からくる低血圧で意識は朦朧とし、鎮痛剤を打たなければ眠れないほどの痛みもあったので、もはや仕事どころではありません。病状にもよるでしょうが「身体のどこかが悪い状態」で通常の業務をこなすには、かなりの精神力を伴うことを改めて認識しました。

 

仕事を「やるか」「やらないか」という選択

上記のような状況では、無理を押してでも仕事をやるか、ひとまず関係各所に連絡をして休むかの2択に迫られます。

筆者は『今ある仕事はすべてリスケジュールしてもらい、検討中の仕事はすべて断る』ことを決断しました。身を切るような思いでしたが、制作物のクオリティや締め切りが担保できないためです。

しかし「リスケジュールを要望する・仕事を断る」という行為は、予想以上の精神力を消耗します。1件連絡を入れる度に、『これを機に契約を打ち切られたらどうしよう』と、次から次へと不安の種が蒔かれて疲弊していきます。
さらに通常と異なって心身ともに参っている状態であり、相当なストレスになってしまうのです。

仕事をやるか・断るかに関しては正直なところ正解はありませんが、退院した今となって、確実にわかったのは『担当者とは日頃から、良好な関係を築いておいた方がよい』ということで、自信を持って主張することができます。

最近の仕事形態としては、一度も顔を合わせずに仕事をすることも珍しくはありません。しかし、やはり一度でも顔を合わせた人とそうでない人とでは、やり取りのし易さやニュアンスの伝わり方が段違いで変わってきます。緊急時にこそ、普段自分がどのように人付き合いをしているということが痛いほどわかります。

 

仕事の問題と同じくらい重要な、金銭的な問題

仕事に関するディレクションなどがある程度片付き、病状も落ち着いて退院が近づくと、次に出てくるのが『金銭的な問題』です。
筆者のように独身で急遽入院となると、国保における「高額療養費制度」の認定書申請が間に合わず、窓口でいったん全額支払わなければならないケースもあります。

「高額療養費制度」とは、1ヶ月の治療費が上限を超えた場合、超過した分の金額が支給される制度です。年齢や所得によって上限額が異なりますが、年収が約370~約770万円の場合、約80,100円を上限とし、超過分が支給されます。
ちなみに入院のタイミングが悪く、月をまたいでしまう場合はこの上限に届かず、この制度すら使えないという踏んだり蹴ったりの状況になることもあります。

フリーランスのみならず、入院をしたらまず当該制度を受けられるかどうかを必ず確認し、認定証を発行してもらいましょう。金銭的な負担がかなり軽減されます。

 

退院後も数カ月は不安定な期間が続く

無事退院しても、ここからが大変になってきます。経過観察などのために定期的な通院はもとより、仕事をしていなかった期間のツケが回ってきます。

例えば、月の報酬が40万円程度の方であれば、約2週間ほど入院したとすると単純計算でおよそ20万円ほどギャラが下がることになります。
フリーランスなら「月末締め・翌月末払い」や「月末締め・翌々月末払い」のような支払い形態が多いので、1ヶ月後や2ヶ月後の実入りがかなり減少してしまいます。また、退院後も、すぐに全力で案件を回せるわけではありませんから、収入的には数ヶ月先までは不安定な状況が続いてしまうのです。この状況もまた、精神的に大きな負担となります。

この金銭的・精神的な負担は保険に入っていれば、ある程度軽減することも可能です。保険をおすすめするコラムではないため各社の比較は控えますが、実体験から言うならば、「フリーランスは保険に絶対に入っておいた方がよい!」の一言です。
また、退院直後に保険加入しようとしても審査に通らないことが多いので、健康なうちに早めに加入しておくとよいでしょう。

入院中はもちろん退院後しばらくは、例え仕事を続けていたとしても、精神的な問題と金銭的な問題が尾を引き続けます。
筆者は以前の状態に戻るまで、概ね3ヶ月ほどかかってしまいました。

 

まとめ

さて、今回の入院を経て得た教訓としては、以下の3点が挙げられます。
1. 健康なうちに、低額の入院保険でもよいので入っておく
2. 仕事をしなくても3ヶ月は生活できるくらいの貯金を蓄えておく
3. フリーランスは人一倍健康に気を配るべき

保険は言わずもがな。貯蓄に関しては強力な精神安定剤となります。また、そもそも病気を引き起こさないための健康にも気をつけるべきだと言えるでしょう。そして何より、「自分だけは大丈夫だ!」と思わないことです。
また、場合によっては、人材派遣で短期的に働く、フリーランスの仕事を紹介してくれるサイト・サービスを活用するなど、一時的にせよ、通常とは違う手段での収入や仕事の確保といったことも視野に入れておくべきかもしれません。これは今回のような入院時だけではなく、急に仕事が減ってしまったときなどのリスクへの担保としても重要です。

フリーランスの方々にとって、本コラムが少しでもお役に立てば、入院した甲斐もあるというものです。

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