【海外の労働事情】アメリカの産休育休事情は日本とどう違う?

現在の日本でも、働き方改革が推進され「マタニティママ」・「ワークングママ」に対する考え方や労働事情がかなりフレキシブルになりつつあります。それに対し、アメリカでは基本的に「産前休暇」がありません。また、産後も「3ヶ月以内」で『職場復帰』するワーキングママが7割を超え、最短ケースでは「2週間」での職場復帰いう場合も! 実はその理由にアメリカの制度と出産に秘密があります。今回、筆者の出産経験も踏まえ、アメリカのワーキングママ事情についてご紹介します。

日本のママが羨ましい!! 日本における産休・育休制度

日本の働く母親を取り巻く環境はまだまだ発展途上と言えますが、アメリカの働く母親の場合、産後から復帰までの平均的な期間は10週間です。7割を超えるワーキングママが3ヶ月以内で職場復帰をしていることになります。

まずはアメリカと比較するべく、日本の産休育休制度について、どのように定められているかおさらいしてみましょう。

厚生労働省によると、日本の産休・育休における制度では、産前においては「出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前から)」、産後は「出産の翌日から8週間」は就業できないことになっています(ただし、産後6週間を過ぎた後に本人が請求し、医師が認めた場合は就業可)。その後は、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間に育児のために休業できます。

また産休育児休業中については、雇用保険に加入する人が育児休業をした場合、原則として休業開始時に定められていた賃金50%の給付を受けることができます。そして、事業主が年金事務所、または健康保険組合へ申し出をすることによって育児休業などの期間中、社会保険料が被保険者本人負担分、および事業主負担分ともに免除されます。

さらに、「出産手当金」として出産日以前42日から出産日後56日までの間、欠勤1日につき健康保険から賃金の3分の2相当額が支給される仕組みとなっています。

産休・育休事情においてはアメリカの方が厳しい

それに対してアメリカの場合、産休・育休に関する連邦レベルの制度として「Family and Medical Leave Act (FMLA)」があります。このFMLAは産休・育休だけに限ったものではなく、事故や病気、家族の介護など、一時的に働けなくなった場合にも適用される制度です。

ただし、この制度は「出産、または養子を迎えるにあたり、12週間まで休業しても雇用を保証する」と言うことだけのことであって、制度としての経済的な保証はありません。しかも、この制度は雇用期間や会社の規模によっては適用されることがないので、結局、労働者の4割はFMLAで休みをとることすらできないのです。

そのため、アメリカの働く母親の実に4人に1人は、このような理由で経済的苦境を含め、産後からたった2週間で仕事に復帰しているというのが現状なのです。ちなみに、筆者自身も産後5週間で職場復帰をしました。

州や企業単位における「産休育休」への取り組みは?

連邦での制度は「ほぼないに等しい」産休育休制度。しかし、州や企業で独自に制度を進めているところもあります。

例えば、カリフォルニア州ではFMLAの12週間に加えて、16週間の雇用保証を定めており、「California Paid Family Leave Insurance Program」という給付制度を整え、民間企業では6週間の有給を取ることが可能になっています。また、ニューヨーク州は2018年から8週間まで有給休暇を取得でき、2021年からは12週間に延長予定です。ワシントンD.C.でも無給ではあるものの、雇用保障を16週間まで延長し、子どもが2歳になるまでの間ならいつでも休業できます。

さらに、民間企業である「Netflix」では、両親共に産後1年間の休暇が全額支給で一年間受けられる制度があります。また、「Airbnb」でも産後両親ともに22週の有給休暇、養子を取った場合にも最大10週の有給休暇を取ることができます。他にも「Amazon」や「HP」、「Apple」など一部の企業では、産休育休に対する企業独自の取り組みが行われています。

アメリカのママ達を取り巻く出産事情

連邦単位での整った制度がなく、また経済的な理由から、このような早々の復帰をしなければならない状況ですが、それを可能にさせている理由の一つに「無痛分娩」があるのではないかと思います。日本では、「お腹を痛めて我が子を産むこと」が母親の最初の試練であると言ったような考え方根強いかもしれませんが、アメリカに限っては、半分以上が「無痛分娩で出産」しています

筆者は日本とアメリカ両方の国で出産を経験しました。まず、日本で出産した時には、翌日に全身筋肉痛のような感じで寝返りを打つことさえ辛かったのを覚えています。しかし、アメリカで出産した際には、陣痛の最中に仮眠、産んだ当日に自分で歩いてお手洗いにも行くことができ、さらに、翌日にはもう退院して、自分で車を運転して帰宅しました。

日本ではまず考えられないことですが、アメリカでは通常分娩で翌日、帝王切開になっても3日後には退院するのが普通です。これは、寝たきりよりも早く元の生活に戻った方が回復を早めるという考え方や、日本と違って医療費が高額になってしまうために入院期間をできるだけ短くすることが考えられます。

実際、筆者においても無痛分娩によって、陣痛に耐えることなどへの体力消耗もなかったので、産後でもすぐに元の生活に戻れたように思います。

日本とはまったく異なるアメリカの労働への意識

アメリカは、先進国の中での産休・育休制度が遅れている国の一つです。多くの移民を受け入れている多民族国家という意味合いも含め、少子化問題には無縁と言うこともあるかもしれません。また、現実的な問題として、雇用や経済的な保証がない分、早く復帰せざるを得ないのがリアルな事情でもあるでしょう。

しかし、制度の遅れがある反面、働き方に関しては日本とはまったく違った部分があります。定時にはぴったり帰ることができる上に、サービス残業はもちろんゼロ。子ども同伴の出勤だったり、子どもの急な病気や家族のイベントのための有給はしっかり取ることができるようになっています。

日本のように整った制度があった場合でも、お国柄もあるのか、周りの目を気にして使うことができないということはまったくありません。筆者も公務員として働いていますが、バケーションシーズンには上司が一番しっかり休みをとって、家族との時間を大切にしています。

アメリカの考えとして、長時間働いている(職場にいる)ことが美徳ではなく、時間内にどれだけ能率を上げ生産性を高めて仕事をこなすか、そして、プライベートと仕事のメリハリをしっかりつけられるかということが重視されています。

そのため、定時までに仕事を終えられない場合、仕事の進め方や役割分担などに問題はないか、逆に注意を受けるほどです。このような仕事に対する考え方や家族との時間を何よりも重視していくという考え方が、産後のワーキングママ達の早い職場復帰を支えていると言えるかもしれません。

まとめ

同じ働く母親を取り巻く環境は、国や地域によって実に様々です。日本とアメリカを比較しても、どちらも良い点や改善すべき点があるのは、今回の産休・育休制度ひとつをとってもそうです。ただ、母親が子ども
を育てながら働くという状況は世界共通なわけで、それぞれの良い部分を取り入れつつ、働きやすい環境が整っていければと思います。

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