【「精神を癒す方法」はクリエイターに効果があるのか!?】ストレスフルなフリーランスデザイナーが実際にやってみた

金曜日の夜にやってくる恐怖の「月曜朝イチまで」の依頼や理不尽な修正。そして、ギャラ振込の遅延やクレーム。そんな毎日でストレスいっぱいのクリエイターも多いのではないでしょうか。心が乱れると制作物のクオリティにも影響するのは周知であり、報酬以外にも大切になってくる「精神の安定」。今回はフリーランスデザイナーである筆者が、巷で言われる「精神を癒す方法」を紹介しつつ、実際に試し効果の程をご報告したいと思います。

※以下で登場する方法は、すべてが科学的な立証やエビデンスのあるものばかりではありません。あくまで「巷で言われていること」を気軽に検証したコラムになります。また、効果・結果について保証するものではありませんので、ご了承いただければと思います。

 

笑顔を作る。楽しいことを思い出す。

「笑う門には福来たる」と昔から言われています。実際に「笑い」や「笑顔」と言った効果については多くの研究結果が報告されており、信憑性は高めの方法だと言えるでしょう。個人的にもかなり効果を感じている方法の一つです。

「笑い」は脳の報酬系メカニズムを刺激するそうで、あるイギリスの研究者によれば、一回笑顔の度に「チョコバー2000個分」食べたのと同じくらいの刺激が脳に発生するそうです。

また、笑顔はストレスで分泌されるホルモンを下げ、「エンドルフィン」に代表される、いわゆる「幸せホルモン」の分泌を促す働きがあり、ストレスを感じる時こそ笑顔にならない手はありません。ストレスが溜まっている時に笑顔は難しいという場合には、作り笑いでも良く、同様の効果が得られるとのこと。困ったり嫌なことがあった時は意図的に笑顔や声を出して笑えば、本人が意図している以上に前向きになれるのです。

 

鏡に向かって自分に話しかけ、客観的に捉える


海外ドラマなどを見ていると、大事の前で鏡に映る自分に話しかけ、自信を持たせたり、暗示をかけるシーンがよく登場します。緊張している自らに「できるぞ、大丈夫だぞ」と暗示をかければみるみる落ち着くイメージもあります。

が、実際はこの方法ではあまり効果が得られません。
この場合は無理に暗示をかけるのではなく、鏡の中の「自分を客観的に観察」し、精神を落ち着かせ、イライラや緊張を癒していく方が効果的です。

例えば、プレゼン前など緊張マックスの時に鏡に映る自分をよく見ます。普通なら「絶対にやれる、大丈夫だ」と考えたり話しかけたりしますが、そうではなく、目の前に写る自分の状況をありのまま解釈するのです。

「顔がかなりナーバスになっている。かなり不安そう」など、自分の状態を客観的視することによって、驚くほど心が落ち着いていきます。これは、頭の中にもう一人の自分をイメージする、自分を俯瞰で観察する「メタ認知能力」と言われているものです。これは様々なシチュエーションで使えるテクニックでもあり、精神を癒す目的のみならず覚えておいて損はありません。

ちなみに、筆者の経験で言うと、この「メタ認知能力」は自分のデザイン業務などを客観的に確認する際など、仕事へもおおいに活用できるのでぜひおすすめしたいです。

 

音楽や自然音を聴く

こちらは誰もが試したことがある定番です。
音楽や自然音(森の中や川のせせらぎのような自然の音)を聴くと、精神が落ち着く・癒されるというのは、すでに科学的な実証や解説もされていますが、感覚的にわかる方も多いでしょう。特に自然音においては、リラックスする上で重要な副交感神経系の働きを高め、呼吸や血圧などの状態を整え安定させる効果があるという研究結果も出ています。

音楽についてはMozartの「Canzonetta Sull’aria」や Marconi Unionの「Weightless」などの曲が科学的に「効く」と言われていますが、意外にも効果は人それぞれ。ただ単に眠くなるだけの人もいるようです。

それ以上に、自分のお気に入りや「哀しい時はこの曲」と決めたものがある場合は、それを聴くことが一番のように思います。
というのも、筆者は週に2日ほど音楽Barでバーテンダーをする傍ら、10時間ほど選曲もしています。やはり音楽の力は偉大であると体感的にも感じます。いい音楽や好きな曲を聴くという行為は、間違いなくリラックスを促し精神を癒す方法であると言えます。

 

朝日を浴びたり、または日光浴をする

日光を浴びるとセロトニンが分泌され、脳と体を覚醒させ体内時計をリセットするというのは有名な話です。このセロトニンは精神安定に必要不可欠なホルモンであり、睡眠を促すメラトニンの材料でもあります。

ふだん朝型生活を送る人には当たり前すぎてわかりにくいかもしれません。しかし、夜型になると(そういう状況が続くと)その大切さを非常に感じます。
フリーランスは生活リズムが不規則になりがち。精神の不安定さに気付いたら、あるいは夜の寝つきが悪くなってきたりしたら、意識的に朝日を浴び、ホルモン分泌を促すとよいでしょう。

しかし、だからといって朝型はちょっと難しいというクリエイターもいるはず。そんな方は、
「日中に散歩や買い物に行く」「できれば自然に触れ合う」ことなどでストレスや不安定さが軽減される
でしょう。
ちなみに紫外線を浴びるとビタミンDが体内で生成されますが、これが不足すると疲れやすさ、カルシウムの吸収が鈍くなりイライラの元になってしまいます。この点からも定期的な日光浴は大事です。

 

1行でもよいから「日記」をつける習慣を持ってみる

「日記」で文章を書くことは、感情の整理や浄化の作業でもあります。内容は毎日のできごとでも気づきでも何でも構わないのです。また、無理やりでも良かったこと(楽しかったこと)を書くと「自尊心」を高めてくれる効果があるそうです。
逆に、嫌だったことを書くと、感情の安定効果があることもアイオワ大学の研究によって示されています。

筆者は、その日食べたものや行った場所、ちょっとした気付きと言った「行動記録」のようなものをつけていますが、簡単な1日の総括だけでも非常に精神が安定します。さらに、後で見直して「こんなことで悩んでいたのか」と改めてポジティブになることもあります。客観的に捉える点では、日記も「メタ認知能力」を養うことに役立っているかもしれません。
「日記」と言っても肩肘張らずにスマホでもよいし、面倒くさければボイスメモでもよいでしょう。

 

当たり前だけれども、睡眠をとる

科学の立証を問わずとも、睡眠がストレス発散や精神を癒すことに異議を唱える人はほぼいないでしょう。片や睡眠不足は脳の緊張状態が続き肉体的にも精神的にも疲労がたまるので、抑うつ状態を引き起こすこともあります。
また、寝不足時の失敗は誰もが経験あるかと思いますが、判断力や記憶力が低下し、仕事のミスや意味不明な決断と、精神の不安定を加速させる出来事も起こりやすくなります。

先の日光浴でメラトニンをあげましたが、この分泌が少なくなると睡眠障害などのリスクが高くなってきます。
海外ではメラトニンの分泌サプリが売られていますが、日本では医師の処方が必要です。リスクマネジメントの観点からも日光浴と睡眠をセットに考え、仕事の一つとして取り組むのもよいかもしれません。

 

最強の精神安定剤!? 猫動画を観る

ここまではよく言われる精神を安定・癒す方法をいくつかご紹介してきました。しかし、筆者においては「猫動画を鑑賞」することに勝る方法はないのではと思います。

ちなみに、米国インディアナ大学の研究では「猫動画」を観た被験者はよりポジティブになって、仕事効率が上昇したという結果も発表しています。今やネットを検索すれば、鑑賞しきれないほどの動画を観られますので、コスパもよく仕事効率を上げてくれる猫動画は、まさに万能の「精神安定剤」だと思われますので、一度鑑賞してはいかがでしょうか。

筆者の友人には、疲れた時や気分転換したい時などに「小さい子どもの笑顔の動画」や、変わったところでは「電車が走るところの動画」をよく見るという人がいます。
先に触れた音楽同様、自分に合ったストレス発散方法を見つけるのと同じように、「猫動画」以外にも、自分に合った動画を探してみるのも面白いかもしれませんね。

 

まとめ

今回のコラムでは、筆者の実体験もふまえてご紹介してきました。「フリーランスは身体が資本」と良く言われますし、さらに身体以上に精神状態も重要です。クライアントのみならず、自分との戦いを常に強いられるわけですから、ストレスを感じたり気分が乗らない時は、上述を試しベストな方法を見つけて毎日を乗り越えていきたいものですね。

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