
Webディレクターにとって、「コミュニケーション能力」と「システム構築」の知識が不可欠ですが、それに加えてもう一つ、重要なスキルとして「Webマーケティング知識」が上げられます。さらに、Webは通常のマーケティング知識とは異なったアプローチ部分もあります。今回はWebディレクターにとって、それがなぜ必要なのか、そして、その方法についてご紹介したいと思います。
目次
■Webマーケティングは何を意味しているか
Webマーケティングを簡単に言うと、Webでモノが売れる流れを作る活動のことです。あるいは、ユーザーにアクション(購買)を起こさせる仕組み作りとも言えます。
具体的な例としては、SEO、リスティングやアフィリエイトなどの広告、メールやSNSを使った集客施策、LPOやEFOといった回遊施策などです。その中で、Webディレクターが最低限もつべきWebマーケティングの知識は「Webデザイン」に関わる部分、つまりアクセス解析です。
最近では「Webマーケティング=アクセス解析」と定義されることも多くなっています。
■クライアントの説得材料となるアクセス解析
当然ながら、サイト作成には決められた予算があります。しかし、その予算は「実際にどのくらい作業コストがかかるか」ではなく、「出せる金はこれだけ」という、クライアント側の事情で設定されることが非常に多いのが現状です。
要求された項目に優先順位をつけ、その予算で「できること」と「できないこと」を仕分けていくのもWebディレクターの仕事ですが、「できないこと」をとすんなりと受け入れるクライアントは少ないでしょう。
つまるところ、アクセス解析は、クライアントへの説得材料にもなります。
WebディレクターがWebマーケティングを理解していれば、知識がないクライアントにも「肌感や感覚」と言った知見ではなく、具体的な数字を持ってWebデザインにおける「注力点」がわかりやすく説明できるのです。
「Webマーケティング=アクセス解析」という視点で、その具体的な方法をみてみましょう。
■Webマーケティングの取り組み「サイトの目的を明確にする」
WebディレクターがWebマーケティングに取り組むためにまず必要なのが、作成する「サイトの目的を明確にすること」です。
例えば、コーポレートサイトやブランディングサイトの目的は、好感度を上げ、二次的にECをバックアップするものです。これを達成させるためには「ユーザー数を増やせばいい」ということになります。
一方、メディアサイトであれば、目的は記事を読んでもらうことで二次的に広告収益を得たり、「会員数を増やすこと」が目的。なので、PV数を増やさなければいけません。
また、ECサイトであれば目的は「モノを直接売ること」であり、目標は売り上げを伸ばすことです。
ユーザーのアクションを引き出すためには、ターゲットのペルソナを正しく設定し、その購買動向をリサーチした上でデザインに反映させる必要があります。
このように、サイトの目的によって、Webマーケティングでやるべきことが変わってきます。あいまいな場合は必ず確認し、明確にした上でWebマーケティングに取り組んでいかなければなりません。
■Webマーケティングの取り組み「アクセスカウントの単位と改善の方向性」
その次に必要な知識は、Webマーケティングで「アクセスカウントに使われる基本的な単位」です。
ページビュー数(PV)、セッション数(ss)、ユーザー数(UU)、コンバージョン(CV)、コンバージョン率(CVR)、クリック数(CTR)など。それぞれ数え方が違うのは当たり前ですが、引き上げるための施策もそれぞれ違ってきますから、大前提として、知っておかなければいけないのは明白でしょう。
アクセス解析に「Googleアナリティクス」を導入しているサイトも多いと思います。Googleアナリティクスは無料領域でも、100を超えるレポートが閲覧できる、高機能な分析ツールです。
しかし、充実した解析レポートだからこそ、ただ眺めているだけで満足してしまうという状況に陥りやすくなります。
また、データをパワーポイントやスプレッドシートに張り付け、クライアントなどにレポートで提出しているだけ、というWebディレクターも少なくありません。
しかし、WebディレクターにとってのWebマーケティングは、サイト改善の提案やWebデザインの反映に使わなければ意味がないのです。
ユーザー数やコンバージョンを上げたいのであれば、参照元から成長する見込みのあるものを発見して施策を打つ、検索クリエと平均掲載順位を見て改善の余地を探り、提案するといった行動が必要になってきます。
■Webマーケティングの取り組み「カテゴライズと洗い出し」
「Similar sites」や「google Similar Pages」など、指定サイトと似たサイトを検索できるサービスがあります。扱っているサイトが、「どのサイトと一緒にカテゴライズされているか」を知ることもWebデザインを制作する上で重要です。
また、このサービスを使いながら競合サイトで成功しているものを洗い出し、扱っているサイトと比較して改善点を導き出すことも、WebディレクターのWebマーケティングと言えるでしょう。
アクセス解析の教本は多く市販されていますし、Webマーケティングのセミナーもあります。しかし、Webディレクターにとっての知識は、Webデザインに反映させるもの。そこをはき違えてしまうと、勉強量が膨大になるだけで役にも立ちません。
仮に、予算以上の労力で見た目がよく、ユーザビリティを意識したWebデザインを作成しても、最終的にクライアントが求める効果が得られなければ、Webディレクターが矢面に立たされてしまうのは周知の事実です。
■まとめ
WebディレクターにとってWebマーケティング知識は、あくまでも武器の一つであり、説得材料です。集客されたターゲットがアクションを起こすために、誘導となるべきサイトとはどういうものなのか。常にそれを意識する必要があり、それを知るために、このマーケティング知識が必要不可欠となってくるのです。