前回のおさらい:リモートワーク促進で希薄化する上司・同僚・部下・他部署との社内コミュニケーション
こんにちは。クリエイターワークス研究所の宮本です。
前に紹介した《クリエイターの働き方実態調査⑤》クリエイターが思うリモートの課題とは?の調査報告で、社内コミュニケーションの項目(「上司」「同僚」「部下」「他部署」とのコミュニケーションが減った)のうち、「同僚同士のコミュニケーションが減った」が3番目に多い結果となりました。
また、全回答人数のうち100名が社内コミュニケーションに関わる項目を選択していたことも分かりました。
このことから、リモートワークによる社内コミュニケーションの希薄化に懸念をしているクリエイターが数多くいることが見受けられます(下図参照)。
さらには、 《クリエイターの働き方実態調査④》リモートワークにしてよかったことは?の調査報告でも、 上司、同僚、部下、他部署との社内コミュニケーションの項目が他項目と比べ圧倒的に少なく、やはり課題として浮き彫りになったことが分かりました(下図参照)。
みんなが工夫している社内コミュニケーション方法とは?
そこで、今回は、コロナ禍でリモートワークをしているクリエイターに対しどのような社内コミュニケーションの工夫をしているのか?アンケート調査を実施しました。
今回のアンケート調査では、社内コミュニケーションの工夫をしている人が69.1%、特に何も工夫していない(できていない)人は31.9%となりました。
まずは、69.1%の工夫をしているクリエイターがどんなことに取り組んでいるのか?インフォグラフィックで表現してみました。
日報作成以外は、オンラインツールを駆使した工夫をしていることが分かります。
■グループチャット
オンラインチャットツールのグループチャットを駆使し、いつでも情報交換やデータ共有などができるよう、社内メンバーとのコミュニケーション活性化を図っているクリエイターが多いことが分かりました。
■日報
日報は、今日一日どのように仕事したのか?などの振り返りや、明日以降の仕事の進め方などを共有しコミュニケーション図るのに最適な手段。
セルフマネジメントだけでなく、 マネジメントをする立場の人にとってもメンバーの目標達成に向けた行動の把握がしやすいのもメリットですね。
コロナ前では実施していなかったものの、リモートになったことで日報の必要性を再認識し取り入れたクリエイターも多いのではないでしょうか。
■オンラインで常時繋いでおき、いつでも声をかけられるようにしている。
常時繋いでおくことでリアルの職場のような空間を再現し、いつでも相談・雑談ができる環境を作っているクリエイターも多くいるようです。
■オンライン朝礼、夕礼
フルリモートの場合、「今日一日誰とも顔を合わせず話もしなかった…」という日もあるかもしれません。
社内メンバーと朝の挨拶をすることで、一日のタスクが整理されたり雑談でモチベーションが上がったりする効果もあるので、是非取り入れたい工夫の一つですね。
オンラインチャットツールが浸透している企業であれば、比較的取り入れやすい工夫かもしれません。
■バーチャルオフィス
意外にもかなり少数だったバーチャルオフィス。
コロナ禍で社内コミュニケーションを活性化させるために開発されたものですが、意外にも導入している会社は少ない結果となりました。
社内コミュニケーションに課題を感じていながらも、まだ具体的な行動ができていないクリエイターも
冒頭で、「社内コミュニケーションの工夫をしている人が69.1%、特に何も工夫していない(できていない)人は31.9%」と説明をしましたが、その全貌が以下のグラフになります。
「該当する項目がない」という回答が多く、さらには「その他」項目も最も少なかったことから、まだ対策を打てていない、工夫する前段階で悩んでいるクリエイターも多いのかもしれません。
広告/SP系とWeb/IT系で徹底比較!工夫の傾向に差は出るか?
では、もう少し細かく分解し、広告/SP系とWeb/IT系で比較してみると違いがあるか?検証してみたいと思います。
■広告/SP系
「日報」は、Web/IT系よりも10%以上多く活用していることが分かりました。
また、「該当する項目がない」が2番目に多く、この項目を回答したのは広告/SP系のクリエイターの方が多いということが分かりました。
それ以外の他項目においては、Web/IT系に比べ回答数が少なく、Web/IT系クリエイターよりもオンラインチャットツールを駆使した工夫がまだできていない現状が見てとれます。
■Web/IT系
「 グループチャット」の項目が最も多いですが、広告/SP系クリエイターよりも「 オンライン朝礼、夕礼 」や「オンラインランチMTG」「オンライン飲み会」などオンラインツールを駆使して積極的に社内コミュニケーションを取ろうとしていることが分かりました。
一方で、今回の調査では、バーチャルオフィスは Web/IT系の職場にもあまり浸透していないことも分かりました。
その他、こんな工夫をしているクリエイターも
上記のアンケートで「その他」の項目を選択したクリエイターは、具体的にどんな工夫をしているのでしょうか?
・「週1回の部内MTGの議事録に、今週の所感欄が設けられている」(広告制作会社デザイナー/30代前半女性)
「その他」の項目を選択したクリエイターのコメントから抜粋
・「SNSの活用強化」(会社経営者/40代前半女性)
・「teamsで随時進捗確認」(広告制作会社マネージャー/50代前半男性)
・「常にブレインストームできる環境を作る」(フリーランス・個人事業主/40代前半男性)
部内MTGの場を活用したり、ソーシャルネットワークを活用するなど、あらゆる手段を用いてコミュニケーションを図ろうとする工夫が見えました。
「常にブレインストームできる環境」という工夫もとても興味深く、できればもう少し具体的に聞いてみたい内容でした。
まとめ
今回は、 【リモートワークによる社内コミュニケーション希薄化】という新たな課題に直面したクリエイターが、どのように対策・工夫をしているか?について、実態を見ていきました。
多くのクリエイターは、限られた環境やツールの中でも様々な手段を用いて工夫していることが分かりました。
・クリエイターは、オンラインチャットツールのグループチャットを駆使して社内コミュニケーション活性化に取り組んでいる
・日報、オンライン朝礼を取り入れ、社内メンバーの様子やスケジュールを共有し合っている
・常時オンラインで繋ぎ、いつでも相談・雑談ができるようにしているクリエイターも多い
・広告/SP系に比べ、Web/IT系クリエイターの方がオンラインチャットツールを駆使した工夫を積極的に取り入れている傾向がある
・バーチャルオフィスは、広告/SP系だけでなくWeb/IT系クリエイターにも普及していない