【Webライター】Webメディアを担う大手クラウドソーソングの裏側

「紙媒体が弱くなった」と言われて久しい昨今、それに反比例するように、Webメディアが台頭しています。若者を中心に「文字はスマホでしか読まない」という人も少なくありません。このような環境下、Webには膨大な「書き手」がおり、また、必要とされているということ。そしてその需要調整の中心を担っているのが、大手クラウドソーシング会社という実態があります。今回はその裏側を、発注者として利用している現役Webディレクターの筆者がご案内します。

クラウトソーシング会社を利用したライティングの受発注

Webに関わる仕事をしている人にとっては、常識となっていますが、クラウドソーシングとは、ネット上のやりとりで仕事の受発注をするしくみです。

それを仲介しているのがクラウドソーシング会社です。

クラウドソーシング会社を利用しての受発注の方法は2種類あります。

ひとつはクラウドソーシング会社が受注者と発注者のマッチングのみを扱うもの。
発注者が募集要項を掲載し、希望者が応募、お互いの合意ができれが受注成立。クラウドソーソング会社に仲介手数料を支払うというパターンです。

この場合は、いわば「ライターの1本釣り」となります。

ネット上の、かつ、利用クラウドソーシング会社の監視下にあるサーバーを利用してではあるものの、受発注者同士、直接のやりとりができます。「相手の顔がみえる」スタイルなので、「リアルな人脈では出会えない希少な方と巡り会えた」というバリューがあり、また、仕事もスムーズに進む傾向が高くなります。

しかし、これは「マッチすれば」が大前提。これがなかなか難しいのです。

圧倒的に足りない書き手をカバーするためのクラウドソーシング会社

ご承知の通り、Webメディアの多くは、1日に複数の記事を配信しています。筆者が関わってきたWebメディアの配信記事数は、最高で1日20本あまりですが、2017年11月にリニューアルオープンした『MERY』は、DeNA時代には月間6,000記事、つまり、1日200記事が配信されていました。
だからグレー記事が生じたということもありますが、200本は脅威の数としても、1日50本程度の配信数はベーシックの範囲内です。

その記事本数を配信するために、チェック機能の工数も重要ですが、まずは「書き手」が必要なのです。
前述の『旧MERY』は140人のライターさんがおり、また、『新MERY』はすでにライター50人態勢、さらに増やす計画となっています。
(この数字は2017年12月時点なので、半年経った今では、おそらくかなり増員されていることでしょう)

『MERY』は過去を踏まえて「クラウドソーシングは利用せず、すべて顔が見えるライターを起用する」と明言しています。
しかし、それは、母体が大手出版社で、紙媒体を経験した優秀な編集者やライターなど既存のリソースが充実しているからこそ可能なもの。他社が追随できるものではありません。

さらに言えば、この数のライターをひとりひとりクラウドソーシングで1本釣りしていると、物理的に間に合わないのです。
ということで、クラウドソーシング会社に「グロス発注」することになります。
これが、クラウドソーシング会社を利用しての受発注のふたつめの方法です。

ひたすら数を集めるだけに……?

発注者が募集要項を出すのは、ひとつめと同様ですが、応募してくれた方のとりまとめ、原稿のとりまとめはクラウドソーシング会社が担当します。

発注者は媒体概要、執筆ルール、必要本数分の記事テーマ、概要など、記事執筆に必要な要素をクラウドソーシング会社に提出します。それに沿って、ライターに記事を書いていただき、クラウドソーシング会社がとりまとめて納品する、という仕組みです。

発注者としてのメリットは、基本的に納期が守られるということ。
しかし、その記事のクオリティは「一本釣り」に比べ、格段に低くなります。

なぜなのか、というと、ライター個々とやりとりができないから。そして、ライターの力量が「Web記事を執筆できるレベルではない」からです。

本来ライターとは専門職のはずなのに、その常識がないWebの世界

多くのクラウドソーシング会社では、Webライターの募集は、データ入力と同様の「パソコンが使えれば初めてでも簡単にできる仕事です」にカテゴライズされています。

本来、ライターとは、システム構築の方やデザイナーと同様に専門的な技術を伴うクリエイティブな職種です。しかし、Webの場合、その観点が欠落している場合が多い。そのため、納品される原稿は、ほぼ全直しということも……。

基本的に、クラウドソーシングを利用した受発注の場合、受注者は自分が書いた記事がどのサイトに公開されるのか、教えられません。
だから、手探りで書くという状況に陥りやすいということもあるでしょう。という前提で読んでも、震えるほどのクオリティだったりもします。

それでも、0から生み出すという作業は時間も手間もかかります。書いていただいた原稿を直したほうが早いのです。
そして、最初から修正する心づもりがあれば、記事本数を担保しなければいけないWebメディアにとって、クラウドソーシングはありがたい存在なのです。なぜなら「書き手」は常に足りない状態だからです。

ライターだけじゃない、優秀な編集者も足りない!

もちろん、利用するクラウドソーシング会社には、「これだけ読者アプローチが乖離しているというのは、媒体意図が伝っていないのではないか、納品する前に、必ずユーザーにマッチした内容になっているか確認して欲しい」ということは何度も言います。しかし、それが一向に反映されない。

なぜならば、クラウドソーシング会社のとりまとめの担当者は仲介者であって、編集者(ディレクター)ではないからです。

クラウドソーシング会社の中には、オプションとして納品前の原稿に編集者をつけられるところもあります。
しかし、その編集者のレベルもわからない中で、おいそれとお金は払えない、というのが薄利なWebメディアの現状でもあります。

結局、荒れた原稿を社内で加工編集するというのがいちばん効率いい、ということになってしまうのです。

ライターにとってもメディアにとっても良し悪しあるクラウトソーシング会社

Webメディアにとって、クラウドソーシング会社は事業根幹の頼みの綱でもあります。
グロス発注した場合には、どんなライターが書いてくれているのか、発注者にはわかりません。しかし、原稿を拝見して「このライターには引き続きお願いしたい」あるいは「このライターは変えて欲しい」というリクエストはできます。そうやって、仕事を確実に依頼できる先を少しずつ開拓していくしかないのです。

発注側としては、震えるくらいよろしくないライターがいらっしゃる一方で、直接やりとりをすれば、もっとお互いにストレスなく仕事ができるんじゃないか、と思う方も、同じくらいいるという気持ちです。

ライター側の観点で考えると、初心者の方、ブランクがあってリハビリしたい方、とにかく無記名原稿を量産したい方、自宅から出たくない方などなどがクラウドソーシング会社を利用するのは大いにメリットがあるでしょう

しかし、それは、キャリアアップの起点と考え、その世界の中で閉じずにいることが、活躍の場を広げることになるのではと思います。チャンスがあるのも確かです。
現役Webディレクターとして、そこは強調してお伝えいたします。

他方、業務委託でライティングをする手段は、クラウドソーシング以外の手法も広がりつつあります。クラウドソーシングでの受発注における”負”を解消するサービス、例えばクライアントとライターの間に企業が仲介するタイプ、人材会社のようにマッチングをするタイプなど。
小~中規模であれば、そのようなサービスに移行しつつあるメディア・発注者も増えてきています。

ご自身の経験やスキル、状況などに加え、発注側の考え方なども踏まえつつ、クラウドソーシングのメリットを享受し、あるいは違うサービスを使うといった”的確な”判断が必要になってきているのではないでしょうか。

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