【ちょっと一息。趣味の教室】あ、そうか!アイデア発想のヒント ~クリエイターなら読んでおきたい本

「アイデアが出ない!」「どうやったらいいアイデアが出るんだ?」「今週中に企画案を出さないと!」こんな悩みはクリエイターだけではないでしょう。クリエイターの感性を刺激する書籍をオススメするこのコーナーですが、今回はクリエイティブ関係じゃない人も含め、多くの人にオススメしたいと思います。いわゆる発想本の名著も含みましたが、他はアタマの中を引っかき回されるような本ばかり。ぜひぜひ、手に取って欲しい5冊です。ピピ~ンと閃めくかもしれません。

 

多くのアイデアマンに影響を与えた、名著登場!

『アイデアのヒント』 (著者:ジャック・フォスター/阪急コミュニケーションズ)

名著と言われている本からスタートです。すでに読まれた方も多いかもしれませんが、やはり外す訳にはいきません。
世の中にアイデア発想本、サイトの類いはたくさんありますが、この本の影響を受けているものも多く、ひどい場合は丸パクリであったりします。

「アイデアというのは既存の要素の組み合わせ」の考えのもとに、その新しい組み合わせ方、出合わせ方を1つ1つ丁寧に紹介しています。広告業界での長い経験に基づくその洞察力は見事なもので、1つ説明するたびの例えがとても分かりやすく実践したくなります。
ちなみに、この本でも取り上げられている「とにかく数で勝負しよう」の考え方はかつての広告界では重んじられて来ましたが、最近の効率化重視の時代ではやや疎まれつつあり残念です。

ところで、この本の冒頭にジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」について言及されています。こちらの本も「アイデアのヒント」とよく比較されるアイデア発想の名著です。実は、「アイデアというのは既存の要素の組み合わせ」の考え方もヤング氏によるもの。2冊読み比べてみるのも一興でしょう。

読了後の頭の中には、アイデア発想本と読んだと言うよりも、何か生き方の話を聞いた感触が残ります。

 

真面目かおふざけか、才人が語る目の考察

『目玉の学校』 (著者:赤瀬川原平/ちくまプリマー新書)

世の赤瀬川原平さんのイメージとはどういったものでしょう?路上観察の人?老人力の提唱者?立体視の伝道者?それとも前衛芸術家でしょうか?あるいは尾辻克彦の名で芥川賞を受賞している文学者ですか?
こう並べただけでも才人ぶりが伺え、一昨年に亡くなられたのが本当に惜しまれます。

そんな才人が自身の得意分野でもある『目』、すなわち見る事について考察した1冊です。
考察とは言っても、氏の本を読んだことのある方ならご存知のように堅苦しい物言いの研究書ではありません。軽快な時にふざけているような口調で語られる、まさに目からウロコが落ちる話たちです。

ご自身の少年時代のエピソード、線にしか見えない雨粒が粒である事を確かめた方法などは感心するとともに笑ってしまいます。また、一頃流行ってすっかり有名になったトマソン。そして路上観察学会。その先の何も意図的でない風景芸術のくだりは意図せず現代美術への示唆にも聞こえます。

読み終わった後には、見慣れたはず世界が違ったものに見えるかもしれません。

 

ここまでやるっ?徹底した言葉遊び集

『文体練習』 (著者:レーモン・クノー/朝日出版社)

映画「地下鉄のザジ」をご存知でしょうか? 1960年にルイ・マルによって映画化され大ヒットした作品です。
10歳の少女ザジが親戚に2日間だけ預けられることになり、地下鉄に乗るのを楽しみにパリを訪れますが、地下鉄はストライキ中。そして起こるザジを取り巻く騒動を当時なりのシュルレアリスム的な手法で描いています。今だに根強いファンを持っています。

さて、その作品の原作者が今回ご紹介する本の作者レーモン・クノーです。
フランス文学界においてもシュルレアリスム的な立場にいたことがあります。

そんな作者による本書は、想像し得ないとてつもない言葉遊び集です。1つの出来事を99通りのバリエーションで書き分けてあります。

『バスの中で男がちょっとしたもめ事を起こし、その後そそくさと席に座る。そして2時間後に、別の場所でその男を見かけると、連れから服に関するアドバイスを受けていた。』

これだけの話を修辞的にしたり、倒置法で書いたり、比喩的に描いたりと続けて、99通りに書き分けたのです。

全てを読み通すというより、思いついた時にパラパラと拾い読み。そんな読み方も合いそうな本ですが、99の視点の切り替えにハッと気づかされる事も多いはずです。
しかし、見事に日本語訳した朝比奈弘治さんにも脱帽、そして感謝です。

 

脳よ、脳よ、お前は何者だ?

『脳の中の幽霊』 (著者:V.S.ラマチャンドラン/角川文庫)

21世紀は脳の時代と言われています。そのせいか素人でも読みやすい脳科学の本が多く出版され、門外漢でも脳の不思議に関して一旦を知ることができるようになっています。そんな動きの先駆けとして1990年代に出版されまたたく間に名著と呼ばれたのが本書です。

神経科学者の著者が、脳の損傷や障害によって起きている患者たちの不思議な行動(体験、感覚)を実験によって解き明かしていく様子が描かれています。
・事故で腕を失った男が、失った腕の代わりに幻の腕で物に触ったりできると言う話。
・脳の障害で左の視野だけ盲目の患者が、時計の数字を右半分に1から12まで詰め込んでしまう話。
・顔認識の機能が損傷し、両親が別人に入れ替わった思い込む話。
他にも数多くの症例に対して、分かりやすく時にユーモラスに解説してくれます。

知られざる不思議な脳の中を覗き見ることは、人間を知ることに他ならず、ひいては自分自身を知ることだと思います。今回のテーマであるアイデアは自分と他人との関係で成り立っているものです。読んでおいて損のない1冊です。
また、本書を気に入られた方には「脳のなかの幽霊、ふたたび」と言うタイトルの続編も出ています。

 

読まずに読む。まるで4人組の名探偵

『「罪と罰」を読まない』 (著者:岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美/文藝春秋)

さて、最後にご紹介するのは抱腹絶倒、かなり脱力系の本です。

本を読むと偉いのか?名作を読んでいないことは恥なのか?そもそも「読む」って何だ?何をもって「読んだ」と言えるのか?
ドストエフスキーの代表作『罪と罰』。文学史上に輝く名作を読んだことがない四人組が内容を推理します。勇猛果敢?無鉄砲?前代未聞の書評本です。

しかし、この4人がただ者ではありません。

・岸本佐知子(翻訳家、エッセイスト)
ニコルソン・ベイカー、スティーヴン・ミルハウザーなどの翻訳で人気がある一方、身の回りを描いたエッセイは奇妙な味わいとして知られている。

・三浦しをん(小説家)
20代の時に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。『舟を編む』が本屋大賞に選ばれる人気作家。

・吉田篤弘、吉田浩美
クラフト・エヴィング商會の名義で装丁デザイナー、執筆をしている。著作に描かれる独自の世界観にファンも多く、それらの展覧会開催も行っている。吉田篤弘は個人名義での執筆も数多い。

この曲者4人組が推理する様はまさにアイデア発想のブレストのよう。論の展開、発想の飛躍に目を見張ります。
果たして得るものがあるのか、笑って終わるのかはあなた次第。

 

今後の連載予定
【ちょっと一息。趣味の教室】
ほっこり、じ〜ん、ほんわか。恋愛映画
~クリエイターなら観ておきたい映画

 

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