【名作デザインVol.1】映画タイトルバックを作った男、ソール・バス

デザインの名作をご紹介する新シリーズがスタートです。デザイン史として知っていて欲しい名作やクリエイティブ界で高評価を得た傑作。そして世の中で話題になった問題作。グラフィックデザインを中心にWebデザイン、そしてクロスメディアで展開するデザイン的試みまで幅広く取り上げて行きます。第1回目の今回は、現代グラフィックデザインの教科書と呼びたい、巨匠「ソール・バス」。ぜひご覧になって仲間内で自慢してください。

 

ソール・バス?

Saul Bass (1920-1996)
ご存知の方も多いでしょうし、名前を知らなくても作品を見れば「あ、知ってる」となるぐらいのアメリカを代表するグラフィック・デザイナーです。

1950年代、太平洋戦争も終わったアメリカの黄金期、時代の好景気を背景にインダストリアルデザイン、グラフィックデザインも大きく成長した時代です。そんな時代にバスはキャリアをスタートしました。
そして、彼の名を世の中へ広めたのは映画のタイトルバックです。タイトルバックを作った男とも呼ばれています。

 

映画のタイトルバック

では、最初にそのタイトルバックについてお話ししましょう。

この時代に次々と話題作、問題作を発表していたオットー・プレミンジャー監督作品の『カルメン』(1954年)でタイトルデザインを初めて制作しました。その後もプレミンジャー作品を多く手がけ話題となりました。

そのスタイルは、それまでのタイトルバックと違い映画のシーンはほぼ使わずに、グラフィックのモチーフ、線、図形、簡略化されたイラストで構成されています。ラフな線で描かれた図形が音楽に合わせて、行進したり、跳ねたり、時に集まってイラストへと変化します。

オットー・プレミンジャー監督『黄金の腕』、『悲しみよこんにちは』、スタンリー・クレイマー監督『おかしなおかしなおかしな世界』、そして近年、ジョージ・クルーニー主演でリメイクされヒットした『オーシャンズ11』の元映画『オーシャンと十一人の仲間』など。これらはこの時代のタイトルバック・スタイルを形作ったと言っても過言ではありません。

●映画「サイコ」
そしてタイトルバックで欠かせないのがアルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』です。
現在のCGアートの原点とも見える、グラフィックの帯と音楽のマッチングが見事な秀作です。とてもシンプルで、水平方向、垂直方向に行き来をする平行な太い線(帯)だけの画面に巧みにタイトル、出演者のタイポグラフィが絡みます。

さらにこの『サイコ』、映画史に残る有名なシャワーの殺害シーンがありますが、バスがこの絵コンテを描いとも、監督をしたとも言われています。シンボリックな物や表情の演出がバスっぽいのです。
ただしこの話はヒッチコック監督とソール・バスの間で意見が違っています。

【参考: [素晴らしき映画タイトル!] ソウル・バスの動画、厳選まとめ

●映画「エイリアン」のタイポグラフィ
スペース・ホラーの傑作として有名な映画『エイリアン』。宇宙船と言う閉ざされた空間の中で、次々と変化しながら襲い来るエイリアンと乗組員の攻防が大当たりし、続編も多く作られています。

その第1作目のタイトルバックを覚えている方はどのくらいいるでしょう?
タイトル文字の登場方法が当時、デザイン関係者に話題になりました。

宇宙を背景に画面中央に白い図形が現れます。そして左、右とゆっくりパースがついた図形が登場。映像の一部なのか、光の反射か、何のための白い帯なのか見ているものには判然としません。各々の間にもまた白い図形が現れ、しばらくするとそれら図形が「ALIEN」の英文字の一部であったことが明らかになります。この表現も後の映画タイトルに大きな影響を与えました。

●グラフィック処理
タイトルバックでも多く使われているグラフィック技法。
イラストと図形の間に位置するようなシンプルにデフォルメされたグラフィック表現が得意でした。その手法で多くのポスターを残しています。

映画『或る殺人』のポスターなどはその代表的なものと言えます。

或る殺人
『或る殺人』(Wikipediaより)

このほか、『悲しみよこんにちは (映画)』や『暗殺!5時12分』も同様に特徴的なデザインです。

 

ノングラフィック

50年代のアメリカは、一方で広告手法が確立されていった時代でもあります。

当時、『ノングラフィック』と言う言葉がありました。画面の魅力だけに頼らず、ブランドの利点を訴求する考え方です。現代広告では当たり前の考え方ですが、それまでの時代は画家やイラストレーターが自身の個性的な表現の魅力だけで押し切る広告も多かったのです。

●企業ロゴ
そう言った意味ではグラフィック派の最有力と言えるバスは、シンボリックな形づくりに並外れた力を発揮しています。数多くの企業ロゴを手がけていますが、そのどれもが一目見て覚えが良く印象的な仕上がりになっています。
日本企業のロゴや日本で見かける商品も多く制作していますので、すでに見知っているものがきっとあるはずです。
・京王百貨店 ハトの包装紙(http://corp.keionet.com/recruit/2016/di_symbol.html)
・紀文食品 企業マーク(紀文・コーポレートマークの秘密)
・コーセー 企業マーク(ロゴタイプ部分は2014年から変更)
・クリネックス ブランドロゴ(ティッシュ/日本製紙クレシア)

【参考:http://www.graphic-design.com/design/book-year-saul-bass

●絵本「アンリちゃんパリへいく」
バスは1962年に絵本も制作しています。バスらしいシンプルなグラフィック処理が全ページに溢れる絵本で発売当時は人気があったようです。
その後再販もされ、また日本語翻訳版がオリジナル版発刊の実に50年後の2012年になって『アンリくん、パリへ行く』と題して発行されています。
(この翻訳版までは『アンリちゃんパリへいく』のタイトルで通りが良かったので、あえて小見出しは古い表記にしています)

●フォント
そして、バスは晩年になりフォントもデザインしました。バスっぽいと言うよりも制作当時の80年代のカラーが色濃く出ています。
・レインボーバス https://www.flickr.com/photos/stewf/15801203614

 

さて、ソール・バスの魅力を少し感じていただけたでしょうか?興味を持った方は、「ソール・バス」「ソウル・バス」で検索していただくともっと多くの情報を入手できると思います。
東京オリンピックが開催される2020年は、ソール・バスの生誕100年にも当たります。日本においてもあちこちで回顧展が開催されることを願いましょう。

【名作デザイン】
Vol.1:映画タイトルバックを作った男、ソール・バス
Vol.2:ホットな日本の80年代デザインを知っているか?

 

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