
ママライターという言葉をよく目にするようになりました。ママ向けWebメディアは多く存在し、そうしたメディアが「子育てしながら在宅でできる仕事」というキャッチフレーズで募集をかけたり、子育てブログを発信し続けた結果メディアからも執筆依頼が舞い込んだり、という形で、実際にライターとして活躍するママは増えてきています。そんなママライターたちが、優秀なトップの元に集まりチーム化する動きが出てきています。今回は、頼れる「主婦ライターチーム」とは何か、そしてママライターの実情を、現役Webディレクターの筆者が紹介します。
目次
■台頭する「主婦ライターチーム」とは
Webメディア業界の中で、「主婦ライターチーム」が少しずつ目立つようになってきました。
もともと紙媒体で編集やライティングの仕事をしていた人や、結婚を期に退職したWeb業界出身の人などがトップとなり、その人が複数のライターさんを束ねて「チーム」としてWeb媒体の原稿執筆を請け負っているのが、この「主婦ライターチーム」です。
チームメンバーの中核となっているのが、元「ママライター」です。
■増えるママライター。でも継続できる方は少ない実情。
ママライターとは、単に「未就学児の子どもを持つ女性ライター」という意味ではなく、「ママ向けメディアに寄稿する、自身も子育て中のライター」です。
「お小遣いにできるお金を稼ぎたい」
「子育て中でも社会とつながっていたい」
「育児や家事をきちんとしながら、自宅で、隙間時間にできる仕事をしたい」
「自分の生活の中での知見や経験を生かしたい」
というママに人気が高い仕事です。
子育てと両立できるというメリットは確かにあります。しかし、ママライターの生命は短い。なぜなら、子どもが成長するにつれ、自身の興味対象やライフスタイルが、読者とかい離していくからです。
もともと、自身の半径5mエリアの事象について記事化することを求められているのがママライターです。経費は原稿料に含まれることが多いので、「取材費ゼロ」で記事を書かないとそれこそ手元に残る報酬がなくなります。
つまり、読者が読みたい記事を取材費ゼロで書けなくなると、ママライターではいられなくなるのです。
そして、1回試してはみたものの、諸事情あって続けられない人がほとんどです。
ママライターを募集しているWebメディアは、「お子さんが病気になったときなどの納期も相談に乗ります」など、ママへの対応を手厚くしている媒体も多いですが、「やっぱり私には無理です。書けません」と離脱する人も多いですし、やりとりしている中で、連絡が取れなくなる人もいます。
ライター業は、それだけシビアな仕事で、向き不向きもありますし、気軽な気持ちでは続けられないものなのです。
そんな中、コンスタントに記事を書き、1年2年とママライターを続けられてきた方は「もっと書ける人」であり「ライターに向いている人」です。つまり「お子遣い稼ぎのママライター」の枠を超えられる人といえます。
■ママライターが成長するチャンスにもなる「主婦ライターチーム」
とはいえ、自身の日々の生活から得た知見や経験を文章にするのではなく、きちんと取材やリサーチをして記事を書くには、また違うスキルが必要になってきます。
そうしたスキルを学びながら仕事を受けられる仕組みを作っているのが「主婦ライターチーム」です。
筆者自身、「主婦ライターチーム」に発注をしています。
出会いのきっかけは、そのチームの代表の方からの営業メールでした。「紙媒体での編集経験のあるトップが責任をもってディレクションをし、クオリティを担保する」という言葉に期待して、仕事を依頼することにしました。
現在、3チームに月40本程度の原稿をお願いしていますが、納期がずれ込むことは一度もありません。チーム制なので、誰かが書けなかった場合にもチーム内部で調整しているからです。
原稿を差し戻すこともありますが、窓口がひとつなので、その業務もスムーズです。
クラウドソーシング会社との大きな違いは、取りまとめている人が「編集スキルがある」というところです。また、複数人のチームとはいえ、所帯が小さく、人の入れ替わりが少ないというのもメリットといえます。
さらに言うと、基本的に「ママチーム」なので、お互いの生活に思いやりをもって仕事をしているように見受けられるところも、一緒に仕事をしていて気持ちがいいのです。
■チーム制のメリットはフリーランスで活躍するライターにも発注元にもある
実のところ、「主婦ライターチーム」と謳っていなくても、「ひとりライターチーム」を作っているライターは少なくないのかもしれないと感じています。
あるWeb媒体で、毎月80本執筆してもらっているライターがいます。彼女は他の媒体でも数十本の執筆をしています。あまりに膨大な量を捌いて(!?)いるので、「彼女のクローン人間でも使わない限り、物理的に無理なのでは」と薄々思っていたのですが、届く原稿のトーンが明らかに違うことがたびたびあるのです。
現状、納期も守ってくださっているし、クオリティもまずまずなので、あえて本人に問い詰めたことはありません。でも、「何人かと手分けして書いているのでは」と社内でウワサになったりしています。
それでも、ひとりで80本なりを請け負ってくれるのはありがたいし、何より「窓口がひとつ」というのはメリットです。
働き方の自由度が高まっていますし、「フリーランスでないと、子育て中に女性が仕事をするのは難しい」という人もいます。しかし、ひとりで仕事を続けるというのは、精神的に不安だったり、辛くなったりすることもあります。
実際、「一人で仕事をする」ことに耐えかねて、社員の立場に戻る方もいらっしゃいます。
フリーランスで仕事をするにしても、「横のつながり」を大切にし、「チーム」を作って味方を増やしていくという方法は、自分の働き方をよりよくする、クライアントに対してもよりよいクリエイティブを提供するという点で有効な一つの手段であると思います。